すでに日本国内で言語聴覚士としての資格をお持ちの方は、海外でも言語聴覚士として働けるのでしょうか。また、海外で言語聴覚士の資格を取得することも可能なのでしょうか。この記事では、海外を目指す方が知っておきたい事柄をまとめました。
目次
海外で言語聴覚士として働く方法とは?
国によって制度は異なりますが、日本で言語聴覚士の資格を持っているならば、外国でも言語聴覚士として働くことができるケースもあります。また、国によっては「言語聴覚士」という資格がないこともありますが、日本国内で取得した言語聴覚士の資格や経験を活かして、海外の障害児学校の教員や高齢者施設のスタッフとして働けるケースもあります。
海外で受験する場合は「受験資格」に注意
日本で言語聴覚士の資格を取得していない場合には、海外で言語聴覚士やそれに相当する資格を取得して働くことも可能です。
ただし、海外で資格を取得する際にも、日本の国家試験と同様、「受験資格」を満たしていることが求められます。大学卒業以上の学歴を持っていることや、障害児教育や認知神経科学などの特定の科目の単位を取得していることも必要になるでしょう。必要な受験資格については国により異なります。
青年海外協力隊とは?国際免許書き換え試験とは?
言語聴覚士として、海外でボランティア活動をしたいと考えている方も多いでしょう。海外ボランティアと言えば「青年海外協力隊(JICA海外協力隊)」がよく知られています。
青年海外協力隊として赴任するまでのスケジュール
海外協力隊の応募から赴任までのスケジュールは以下の通りです。
- 書類選考と面接
- 派遣前訓練
- 発展途上国に赴任
任期は原則2年で、日本国籍を持つ満20歳~70歳の方が申込めます。高齢の方に関しては、青年海外協力隊ではなく「シニア海外協力隊」と呼ぶこともあります。
国際免許書き換え試験とは
青年海外協力隊に参加し、今までのスキルや経験を活かして働くためには、現在の免許を国際免許に書き換えることを求められる場合があります。ただし、言語聴覚士の資格には「国際免許」がないため、免許書き換えをおこなうことはできません。
言語聴覚士として働く主要な国はどこ?
言語聴覚士は、多くの国々で人手が足りない仕事です。いくつかの国のケースを紹介します。
オーストラリア
オーストラリアには「言語療法士」という資格があり、日本の言語聴覚士と類似する領域を扱います。言語療法士の資格保有者は不足しているため、外国人も活躍するチャンスがたくさんあります。
言語療法士の資格を取得するためには、オーストラリアの大学や大学院にある「Speech Pathology」の課程を修了していることが求められます。また、大学入学時には一定以上の英語力を保有しているかどうかも確認されますので、英語の勉強もしておきましょう。
アメリカ
アメリカでは言語聴覚士を「speech-language pathologist(SLP)」と呼び、「American Speech-Language-Hearing Association(ASHA)」という団体が認定しています。SLPの資格を取得するためには、以下の4つの条件を満たしていなくてはなりません。
- SHAが認定した学校でコミュニケーション障害学などの規定の単位を取得し、既定時間数の実習・インターンシップをおこなう
- 修士課程を修了する
- ASHAが実施する筆記試験に合格する
- コミュニケーション障害学を活かせる職場で9ヶ月以上のフルタイム勤務をおこなう
海外の言語聴覚士の求人情報について
日本国内で海外の言語聴覚士の求人情報を得ることは容易ではありません。しかし、希望する国で資格を取得すれば、養成学校や施設経由で仕事を探すことができます。
一方、ボランティア活動をおこなう場合は、日本で取得した資格を活かした仕事に従事できることもあります。どのように作業療法士の仕事に取り組みたいか、また、どの国を希望するのかを明確にしてから、行動を起こすようにしましょう。
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