現在、言語聴覚士(ST)として働いている方の中には転職について悩んでいる方も多いのではないでしょうか。これまでに何度か転職経験のある方は、転職回数が多いことで評価に影響はあるのかなど不安に感じることもあるかもしれません。
この記事では気になるSTの転職事情や、転職回数が多い場合にどうすれば再就職を成功できるのかについて解説します。
目次
1.言語聴覚士(ST)の転職事情
STが転職をする理由は、リハビリの仕事内容が大変で転職を考えるというよりも、自己研鑽を目的としている場合や、より希望に近い環境を求めて転職するという人が多いようです。STの主な転職事情について3つ挙げてみました。
スキルアップ目的で転職する
STとして能力を伸ばしていくためには臨床での経験を積むことや、自己学習による情報収集が必須です。勉強会への出席や自身での学習はどこに勤めていても可能ですが、臨床での経験は施設の分野や傾向により様々です。
そのため、働いていく中で、「興味ある特定の分野・疾患の経験をより多く積みたい」「別の施設でもっと知識を得たい」などと感じた際に転職を考えるという人も多いです。
同じ分野であっても患者様の傾向が異なっている、環境を変えてより多くの知識・技術を学びたい、といった意識から転職回数が増える傾向にあります。
自身の興味のある分野についての経験を多く積むことで、自身のスキルアップに繋がるだけでなく、施設にとっても患者様により良いリハビリを提供できたり、新人など周囲のスタッフの教育を任せることができたりするため、双方にとってのメリットにもなります。
施設により待遇にばらつきがある
STは主に病院や介護施設などで働いている人が多いですが、その施設ごとに給与や資格取得のための補助、使用している検査機器などにばらつきがあります。とくに給与や手当は生活にも直結する問題ですので、気になる方も多いのではないでしょうか。
求人に記載されている給与が良くても、実際働いてみると昇給額が低い、家賃や交通費などの手当が少ない、といったことも考えられます。
お金がすべてではありませんが、給与の低さや、STとしてのスキルアップの支援が少ない施設よりも、安定した給与で自身のスキルを高めながら、安心して働くことができる職場に勤めたいと考えるのが自然です。
生活の変化
現在の職場に満足していても転職を考えなければならないこともあります。同居するパートナーの転勤などに伴う転居や、妊娠出産・育児などによる働き方の変化など、現在の職場に勤め続けることが困難になる場合です。
可能であれば施設の制度などを利用しながら、勤め続けられることが望ましいですが、やむを得ない理由で、現在の職場との折り合いがつかない場合には転職を考えるという人も多く、場合によっては転職回数が増える要因となります。
2.転職回数が多くても転職は上手くいく
これまでにも転職を繰り返している、という場合に気になるのが転職先の施設からの評価・イメージです。
転職の理由にもよりますが、言語聴覚士(ST)の場合、基本的には目的がはっきりとした理由があれば、転職回数が合否を左右するという可能性は低いと考えられます。
人手不足な施設が多い
STはこれまでの医療・介護の場を中心に、教育機関や民間の言語教室など、STとしての能力を求められる分野が広がってきています。しかし、養成校の少なさや国家試験の合格率の低さから、有資格者数の大幅な増加の見込みは低く、人手不足に陥っている施設が多く存在します。
そのため、STの求人は年間を通じて多く掲載されており、施設側にとっても様々な経験を積んだSTはもちろん、比較的経験年数が浅いSTも活躍できる可能性が十分にあります。
ニーズの増加
高齢化が進行する日本において、医療・介護分野でのSTのニーズが減る可能性は少ないと考えられます。今後も加齢による言語・嚥下障害や認知機能障害などリハビリのニーズは高まり、それに伴いSTのニーズも増加していくと予想されます。
また、最近では発達障害や学習障害など子供に対するニーズも増えてきており、障害の早期発見や早期介入の促進が必要と考えられますので、STが必要とされる場面は増えていくのではないでしょうか。
経験が重視される
STは臨床での経験はもちろん、育児や家族の介護など臨床以外の人生経験も臨床に役立てる事ができる職種です。
転職回数が多くても、これまでの経験を転職先の施設で活かすことができると判断されれば、むしろあなたにとっての強みになります。
そのためには、転職した先で何がしたいのか、これまでの経験のどのような部分が活かせるのか、あなた自身がしっかり理解しておくことが重要です。
3.短期間の転職には注意
いくら転職回数が転職の際の評価に直接的に影響しにくいといっても、短期間での転職・退職を繰り返していると、忍耐力など人間性に問題があるのではないかと悪いイメージに繋がりかねません。
施設側は転職希望者に対して、「できるだけ長く勤めてほしい」と考えている場合が多く、短期間での転職を繰り返していると、必ず理由について問われることになります。
転職の際には目的を明確にし、自分の希望に沿った転職先選びができるように転職エージェントを利用するなど、転職に向けてしっかり準備することが大切です。
4.転職回数が多い時は職務経歴書を意識する
これまで解説したようにSTが転職する場合には、施設側の需要やこれまでの経験が重視される傾向にあるため、転職回数が直接的に影響する可能性は低いと考えられます。しかし、転職を成功させるために注意すべきこともあります。
それは転職の際にはっきりとした理由や転職に対する目的意識を持つことと、転職回数がプラスの印象になるような職務経歴書を作ることです。
転職回数が多くてもそのひとつひとつが、自身をスキルアップするためである、人生の転機に伴うやむを得ない転職であるなど、きちんとした理由があれば特に強く指摘されることはありません。
職務経歴書については言語・嚥下・高次脳機能障害などさまざまな分野・疾患の臨床経験や、急性期・回復期など各病期での経験について自身の強みを強調し、転職回数が多いことのメリットをアピールできるとよいでしょう。
5.まとめ
今回は言語聴覚士(ST)が気になる転職事情や、転職回数が多い場合にどうすれば再就職を成功できるかについて解説しました。
STは経験が重視される職種ですので、転職回数が多いということで転職の成功率が大きく左右されるという可能性は低いと考えられます。
しかし、転職回数が多いメリットをしっかり伝えられないとマイナスイメージと捉えられてしまうため、転職の際には自身の経験や強みをアピールできるよう、事前にこれまでの経歴について整理しておくなど、準備をして臨むようこころがけましょう。
PTOT人材バンクでは無料の転職サポートも行っていますので、お悩みの際お気軽に相談してみてください。
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