言語聴覚士(ST)を志している方で、自分には適性があるのかどうか不安になることもあると思います。

そもそも、STにとっての適性とはどのようなものでしょうか。また、採用試験ではどのように適性を見られるのでしょうか。

ここでは、STの適性や、採用時における適性検査やその対策について解説していきます。

1.言語聴覚士(ST)が受ける適性検査の内容と対策法

就職活動を行う上で、STが受ける適性検査とはどのようなものでしょうか。ここでは、その内容と、対策法についてご紹介します。

適性検査の概要と特徴

適性検査とは、主に「性格検査」と「能力(学力)検査」の2つに分類され、面接や筆記試験など他の要素からは見えにくい能力を見ていくものです。

採用側が求める職務要件を満たしているか、潜在的にもっている能力が入社後にどの程度貢献する可能性があるかなどを判断していきます。一般企業では、筆記テストやWebテストといった検査がこれらにあたります。

STの場合は、人間性やコミュニケーションに問題がないかということが重視されるため、YG性格検査やクレペリンなどの適性検査が行われることがあります。

しかし、国家資格を取得している時点で、基礎的な知識や専門性を有していると認められる資格的な背景があるために、適性検査を検査形式で行わず、面接が適性検査を兼ねている場合が多くあります。

適性検査の対策方法

まずは、STとして求められる適性や、職場が求めている人材像などを把握していきましょう(STの適性については、後述していきます)。

職場が求める人材像については、ホームページに記載されている企業理念や、採用募集ページなどから参照したり、職場訪問や実際に働いている方から話を聞くことで、ある程度把握することができます。

採用試験では、求められている適性に沿った人間性をしっかりと伝えていくことが大切です。

注意したいのが、良く見られたいがあまりに、偽りを述べたり、その場限りの取り繕いをしてしまわないようにすることです。採用担当者は、何人もの面接や採用活動を行っているので、そういった態度は見抜かれてしまいます。

自分を必要以上に大きく見せようとせずに、自分らしさを大切にして面接に臨みましょう。

2.言語聴覚士(ST)が考えるSTに必要な適性

STは、話す、聞く、食べるといった分野を中心に活躍している専門職種であり、何らかの疾患や障害により、それらの行為が困難になった方に対して、適切な訓練や指導を行っていきます。

そのため、試験とは関係なく必要とされる適性もあります。ここからは、STに必要な適性について、ポイントを纏めましたので、一つずつ見ていきましょう。

もちろん、すべての適性を満たしていないとSTに慣れないわけではありません。一つの参考程度に考えていただければと思います。

コミュニケーション能力

STとして関わる患者様には、急な事故や様々な疾患による障害を抱え、自身の身体の変化を受け入れられない方も多くいます。中には、言語障害や構音・音声障害などの影響で、上手く話せない方や、自身の意図を上手く伝えられずに辛い思いをされている方もいらっしゃいます。

そのような方が、前向きにリハビリを行っていけるように、時には想いを傾聴したり、共感し、しっかりとした信頼関係を築いていけるようなコミュニケーション能力は非常に重要となります。

また、医療はチームアプローチが必要なため、他部署との連携やスタッフ間での意見交換などの円滑なコミュニケーション能力も同時に必要とされます。

臨機応変で柔軟な発想や対応力

病名や病状が同じであっても、一人ひとりができること、できるようになりたいことは異なります。それらには、患者様の家族や社会的背景、これまでの人生からの経験や価値観なども大きく影響します。

患者様に寄り添ったケアをしていくためにも、自分の提供したい訓練と患者様の目指したいところや、また病院や施設で提供できる人材的・物質的資源などの状況を上手く擦り合わせ、臨機応変、柔軟に対応することが求められます。

わかりやすく説明する能力

患者様やご家族様は介護経験も無く、医療や介護に関する知識のない方がほとんどです。そのような方に患者様の障害や状態、介護をする上で必要なことをわかりやすく伝え、しっかりと理解をしていただく必要があるため、わかりやすい説明能力は重要となります。

時には言語障害があり、理解が十分に行えない患者様が、どのようにしたら理解できるかを考えて対応していくことも必要です。

また、患者様やご家族様に限らず、スタッフとの情報交換やカンファレンスでも、限られた時間で簡潔に語弊なく伝える能力も求められます。

ある程度STとしての経験を積んだ後は、食事介助や摂食嚥下に関する知識が不十分なスタッフに対し、知識や技能の伝達、勉強会の開催などを求められることもあるため、説明能力に加えてプレゼン能力が必要となることもあります。

向上心がある

医療は日進月歩で進化していきます。

常に最新の情報を取り入れ、臨床で活かせるように、勉強会や研修会などに積極的に参加し、情報を取り入れて学んでいくという姿勢が大切になります。

3.言語聴覚士(ST)に向いてない人とは

STの適性について述べてきましたが、逆に、適性のない人とはどのような人でしょうか。

STの仕事上、まず高齢者や障害のある方に関わることが多いため、そういった方に対して理解があることが必要です。相手の障害の特性、抱えている状態などを理解せず、偏見を持ってしまう人はSTとして向いていないと言えるでしょう。

また、上手く意思伝達できない患者様に対して、相手を理解しようと話を傾聴し、共感することが難しいと、信頼関係が築けずSTとして訓練を行っていくことも難しくなります。

4.まとめ

言語聴覚士(ST)を志そうと思っている方は、STという仕事に興味や関心があることからも、STの適性に当てはまるところが何かしらある方が多いのではないでしょうか。

適性とされる要素が十分に満たせていなくても、不安になる必要はありません。STの特性は、人との関わりの中で十分磨いていくことのできるものなので、苦手と気付いた時点から身につけようと努力をしていくことで適性が身につくことも十分あり得ます。

STの適性を知り、採用時に必要とされる適性検査やその対策をしていくことで、自信をもって就職活動に臨めると良いですね。

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