言語聴覚士(ST)として働いている方の中には、退職金について気になっている方も多いのではないでしょうか。あと少し勤めれば退職金をもらえそうなので、転職を我慢した方がいいかどうか悩んでいる方もいるかもしれません。
今回は、転職する際にも気になる「退職金」をテーマに、退職金制度の内容や、言語聴覚士(ST)の退職金事情、相場などについて解説します。
退職金制度とは
最初に、一般的な「退職金制度」について考えてみましょう。「退職金」とは言うまでもなく退職に際して勤めていた企業から支払われる賃金のことですが、大きく分けると「退職一時金制度」と「企業年金制度」の2種類あります。
「退職一時金制度」は、一度にまとめて支給される制度で勤め先の規定に従って支払われるものです。一方、「企業年金制度」は一定期間にわたって決まった金額を年金として支給することになります。職場によっては、この2種類の制度を併用しているところもあります。
企業によって退職金制度が異なる
この制度は法律で決められているわけではないため、会社によって制度の有無や金額も異なるのが実情です。ただし、2016年に行われた人事院の調査によれば、制度がある企業は92.6%に上っているという結果が出ているため、多くの勤め先ではこの制度があると考えられます。
後で詳しく触れますが、言語聴覚士(ST)として働いている場合も同じような傾向があると言えます。
退職金の相場とは
相場は企業によって大きな差がありますが、ここでは一例として東京都の中小企業の相場(大学卒の場合)を見てみたいと思います。
勤続年数 | 自己都合 | 会社都合 |
---|---|---|
10 | 121.5万円 | 157.4万円 |
15 | 229.8万 | 283.6万円 |
20 | 373.3万円 | 435.8万円 |
25 | 569.7万円 | 636.3万円 |
30 | 785.2万円 | 852.3万円 |
定年 | ― | 1,203.4万円 |
ここまでは一般的な会社での話でしたが、本題となる言語聴覚士(ST)の場合を考えていきましょう。
言語聴覚士(ST)の退職金事情
言語聴覚士(ST)の職場には公的な職場も含まれているので、公務員並みの待遇を提示していることがあります。例えば大手病院では多くの場合、福利厚生として退職金制度があることを明記しているケースが見受けられます。
また、地域のリハビリセンターでも、退職金を含めて大手病院の求人と同じような条件が提示されていることもあります。退職するときのことを考えると、このような職場を候補とするのもよいでしょう。
言語聴覚士(ST)でも正社員の場合にはほとんどの職場で退職金制度が採用されている一方で、アルバイト・パートとして働く場合は、このような制度がないケースが多いと言えるでしょう。
言語聴覚士(ST)の退職金相場は?
先ほどは一般的な中小企業での場合を挙げましたが、言語聴覚士(ST)の給料は一般的な企業の大卒と同レベルの金額にはおよばないため、退職金もそれよりも低い可能性が高いと言えます。もちろん、平均的なモデルですので、どのようなところで言語聴覚士(ST)として勤めているかによって実際の金額は異なってくるでしょう。
ちなみに多くのところでは、退職金を次のような計算式で算出しているようです。
退職金=基本給(1か月分) × 働いた年数 × 事由係数(自己都合の場合は0.5、会社都合の場合は1.0など)
この場合、基本給が18万円で3年勤務し、自己都合で辞めた場合は27万円です。多くの病院や施設ではこのような形で計算していますので、言語聴覚士(ST)の方も参考にできるでしょう。
退職金だけでなく、トータルで考えることも重要
退職金がもらえる条件を満たすまで、言語聴覚士(ST)として同じところで働いた方がよいかどうかについては、長い目で考えることも必要です。たとえば年収500万円の職場で30年間言語聴覚士(ST)として働いたケースと、転職して年収600万円の職場で30年間働いた場合を考えてみましょう。
年収500万円(基本給25万円)の場合、500万円×30年で1億5,000万円になり、退職金が750万円になります。
それに対して年収600万円の場合は30年で1億8,000万円になり、退職金がなくても2,000万円以上の差がつくことになります。
このようにトータルで考えれば、たとえ退職金がもらえないとしても、早い段階で給料の高い職場に転職する方が生涯賃金についてはメリットが大きいと言えるでしょう。もちろん、条件がよい求人はほかの人も入職したいと考えていて、結果としてライバルも増えることになりますので、履歴書の作成や面接などにも力を入れる必要があるでしょう。
ご不明点があれば、是非PTOT人材バンクのキャリアパートナーに遠慮なくご相談ください。
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