言語聴覚士(ST)の就職試験や採用試験は新卒の場合は夏~秋頃が中心ですが、基本的には人員補充のため随時実施されています。試験内容も施設によって様々あるため、どのような試験が行われているか気になるという方も多いと思います。

今回は、STの就職試験・採用試験で採用されている試験内容についてと、試験対策について解説します。就職を希望する施設受験の際の参考にしてみてください。

1.言語聴覚士(ST)の就職試験・採用試験の内容

STの試験内容は施設により異なっており、面接や筆記試験、適性検査など様々です。

ただ、事前に対策できるものも多いため、志望先の施設がどのような方法で選考を行うのか確認して臨みましょう。

筆記試験その1:一般常識

基礎的な学力や社会人としての一般常識があるかを問うもので、国語・数学・英語などの基礎科目のほか、時事問題なども出題されます。

筆記試験による選考は、採用選考の第一段階に使用されることが多く、応募者の中で採用基準に満たない人を足切りするための判断基準のひとつとして取り入れられています。

筆記試験その2:専門知識

言語聴覚士としての基礎知識があるか、専門用語を正しく理解しているかなど基本的な部分が問われます。

一般常識と同様に筆記で実施されることが多いですが、面接の際に実習で担当した疾患の話題や、興味深かった授業など会話の流れで質問されることもあります。

適性検査

STは人と関わる仕事であるため、YG性格検査やクレペリンなどの心理学的検査を用いて適性検査を行い、人間性やコミュニケーションに問題がないかを確認します。

STもこれらの検査について勉強していますが、実際に試験を受けたことがある学生は少なく、臨床歴のあるSTであれば、ある程度その人となりがわかります。

小論文

与えられたテーマについて、決められた文字数と制限時間の中で小論文を作成します。

テーマも時事問題から自身についてなど様々ありますので、テーマの出題意図を理解し、一般的な視点と自分なりの視点で物事を捉え、自己表現する能力が問われます。

面接

面接はほぼ全ての施設で採用されており、小規模施設などでは面接のみ実施される場合もあるなど、試験の合否を大きく左右します。

公立病院や行政機関の就職試験では、筆記試験・適性検査・小論文・面接のすべてを行うことがほとんどですが、最終試験に設定されている場合が多く、ここでも重視されています。

内容としては自己PR・志望動機といった基本的な質問や「実習やこれまでの仕事で心に残っているエピソード」などがあります。

2.就職試験・採用試験に向けた準備

これまでみてきた試験内容を踏まえ、就職試験までの間にしておくべき準備やすぐに実践できる試験対策の方法について解説します。

志望先の試験内容を調べておく

先ほども触れましたが、まずは希望する施設の就職試験がどのようなものか把握することから始めます。

試験内容は求人サイトにも掲載されていることが多いですが、施設のホームページに記載のある求人情報も確認するようにしましょう。

可能であれば先に就職した先輩からも情報を得ておくと、より詳細な試験内容を知ることができます。

試験勉強の計画を立てる

試験内容を把握したら、試験の順番や自身の得手不得手なども考慮して、試験勉強の計画を立てます。

面接試験のように一人では対策が不十分となってしまうものは、早めの段階から就活支援センターで面接対策のセミナーがないか調べたり、同時期に面接試験を受ける友人と協力してロールプレイングする時間を作るなどすると良いでしょう。

社会人の場合も仕事との両立となるため、無理のないスケジュールで確実に進めていくことが重要となります。

試験勉強をルーティン化する

授業のテストや国家試験に向けた勉強の他に、これらの就職に向けた勉強時間を確保することはなかなか大変です。

専門知識は国家試験勉強と並行して行う、通学時間を利用して少しずつ進めるなど、他の勉強や生活の中で時間を上手く活用していくことがポイントになります。

時間が足りないとつい睡眠時間を減らしてしまいがちですが、授業中に寝てしまい本末転倒になったり、睡眠不足の状態では思考がよく働かず、本番で思うような結果が出せない可能性もありますので注意しましょう。

過去問題を繰り返し解く

一般常識の問題に関しては、一般企業でも多く取り入れられており、関連書籍も多く出版されています。専門知識も国家試験の過去問が有効ですので、書籍を活用すると効率よく進めることができます。

また、こちらも先に就職した先輩たちからの情報や、就活支援センターの方で毎年の傾向をまとめている場合もありますので、随時チェックしておくと良いでしょう。

時事問題・医療関連のニュースをチェックしておく

移動時間や隙間時間の活用としてもおすすめなのが、時事問題や医療関連のニュース記事をチェックしておくことです。法改正や流行疾患、感染症にまつわるニュースなどを読み、知らないキーワードについて調べたり、自分の考えをまとめたりしておくと小論文や面接対策になります。

また、スマホを活用しても情報収集ができるため、気になるページをブックマークしておく、検索キーワードを登録しておくなど短時間であっても時間を有効活用することができます。

小論文対策をする

小論文の基本的な構成は「序論・本論・結論」の3つから成り立っています。まずテーマを提示して自分の意見を簡潔に述べ、その根拠や事例、データを示し、結論を述べるという流れがつくれるように実際に様々なテーマで書いてみるのが良いでしょう。

実際の試験では当日にテーマを与えられることが多く、よくあるテーマでは「これからの言語聴覚士に役割について」「チーム医療の中における言語聴覚士の役割とは」「これから取り組んでみたいこと」などが挙げられます。

これらのテーマや時事問題、医療関連ニュースに対する自分の考えなどを、時間や文字数の制限を作って実践的に書いてみると、構成力や文章力、誤字脱字など苦手な部分が明確になります。

面接対策をする

一番重要なのがこの面接対策です。入室・退室時のマナーの確認や志望理由など基本的な受け答えなどは事前に対策しておくことが必須ですので、緊張していても自然な流れでできるよう、十分に時間をとっておくと良いでしょう。

基本的な質問への応答練習のほか、学生生活でのエピソードをいくつか用意しておき、質問に応じてエピソードを選択したり、まとめ方を変えるなど応用できるように練習しておくと、受け答えの際も落ち着いて対応できます。

3.就職試験・採用試験を受ける際に大事なこと

就職試験や採用試験を受ける際に大事なことは「事前の準備」と「計画性」です。自分自身が希望する施設なのですから、その施設が求めている人材はどのような人物で、それはどんな試験で審査されるのかを把握し、結果を出さなくてはいけません。

そのためには、試験内容など事前に知らされている少ない情報をもとに、自分自身ができる限りの準備をしておくことが大切です。情報収集が難しい場合は先輩や就活センターの力も借りながら、準備を進めていきましょう。

学業や仕事と並行しての課題となる場合も多いので、偏りがないようしっかり計画を立て、ひとつずつ確実にこなしていく努力が求められます。

また、STの臨床は患者様と2人で行う場合が多いため、セラピストがしっかりリードしていくことが大切です。はっきりとした口調や態度などSTになった自分の姿がイメージできるとより好印象な面接にできますので、練習の時から気を付けておくと良いでしょう。

4.まとめ

今回は言語聴覚士(ST)の就職試験・採用試験とその準備について解説しました。STの就職は授業やテストだけでなく、長期の実習や国家試験に向けた対策時期とも重なり、とても忙しいものとなります。

しかし、早い段階から計画的に行動し、ポイントを押さえてしっかりと準備しておくことで十分に対策することができます。STとして希望の施設で活躍できるよう、隙間時間を有効活用していきましょう。

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