職務経歴書は、今までの仕事内容とそれを通して培ってきた知識やスキル、経験などを転職先でどう生かせるかを採用担当者に伝えるための書類です。

STはリハビリの効果や実績を数字として示しにくい分野ですので、どのような経験をどういった姿勢で取り組んだのかを具体的に書くことがポイントになります。

この記事では、STさんが職務経歴書を書く際の手順を、具体例を挙げて分かりやすく解説していきます。

自分自身のプレゼンテーション資料とも言える重要な書類ですので、必要な情報を端的にまとめ、かつアピールポイントや希望などを伝えることができるように準備していきましょう。

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1. 魅力的な職務経歴書を作成する5つのポイント

まずは、職務履歴書を書くための準備として、5つポイントをご紹介します。

言語聴覚士(ST)としての自分を分析

STとしての経験や実績、興味関心、問題意識などを整理しましょう。

具体的には、業務内容、特に力を入れたこと、評価されたこと、苦手なこと、心に残るエピソードなどをなるべく多く箇条書きし、それらを整理しながら経験や実績をまとめましょう。

この作業を通して、転職するきっかけとなった出来事や問題意識が明確になるので、今までの経験と応募先に魅力を感じる理由とを関連付けられ、一貫性のある自分らしい職務履歴書に仕上がります。

応募先の求人情報から求められている人物像を把握

職務経歴書はSNSのプロフィールのように多くの人に読まれることを想定したものとは異なります。応募先が求めている人物像やスキルを考え、それに合わせた書き方の工夫が必要です。

基本的なひな形を用意し、必要な経歴をピックアップしながら微修正していくのが効率的です。

以下の例のように、転職先の状況によって経験のアピールポイントは異なります。

例:嚥下内視鏡検査(VE)や嚥下造影検査(VF)の経験

転職先のVE・VF検査体制           経験の書き方
有る実績を記す
例: VF検査では、食形態、姿勢、一口量などを主治医とともに主導(約5例/月)
無い観察上の評価にVE・VF検査での経験を生かせること、今後VE・VF検査を導入予定であれば積極的に引き受けたいことなどを記す
例:VF検査結果と観察評価を結びつけ、食事の注意点や観察ポイントを病棟や多職種に分かりやすく伝達。

業務内容は経験を伝える

業務の体制や環境、その中で担っていた役割と経験・実績を記載します。STは複数の委員や役割を担うことが多いので、自ずと様々な経験を積んでいることと思います。なるべく具体的にかつ端的にまとめて記述しましょう。

だれが読んでも同じ解釈ができるように、正しい用語を使用し、数字を正確に記入するよう心がけます。

アピールポイントは強みの訴求

アピールポイントは、今までの経験から得た知識やスキルなどの強みを、応募先との関係も考えながら3点前後記載します。

この際、必ずしもリハビリスキルのみをアピールする必要はありません。リハビリへの取り組み姿勢や仕事への熱意にも触れましょう。意欲的に仕事に向き合ってきた事実は大事な実績ですので、転職先でも活躍していける人材であると評価されるポイントになります。

自己PRにはキャリアプランも

自己PRには、今までの仕事を通して培った能力や強みを記載しますが、アピールポイントや履歴書の志望動機と同じ内容にならないよう注意します。

応募先でどのように活躍し、その上で将来どのような働き方をしたいかなど、自分のキャリアプランと応募先の特徴が合致する部分について記載できるとなお良いでしょう。

2.職務経歴書の具体例

それでは、ポイントを押さえた職歴書のサンプルをご紹介します。

職務経歴書(見本例)
2021年4月15日
氏名 〇〇 〇〇

【職務経歴】
勤務先会社名 医療法人〇〇会 △△病院(12診療科:脳外科、耳鼻科、リハビリテーション科を含む)
経験期間 2018年4月~現在
従業員数   250名以上(リハビリ科:理学療法士15名、作業療法士10名、言語聴覚士2名)
経験職種 言語聴覚士
雇用形態 正規職員

【業務内容】
♦概要:主に脳血管疾患後の言語・嚥下障害に対する言語聴覚療法に従事。回復期を中心に、急性期から維持期まで患者様とじっくりとかかわることで、各ステージで必要な支援を学ぶ。病棟運営に関わり、責任ある立場で多職種と協業。
♦配属
① 2018年4月より 
発症から在宅まで一貫して担当   担当患者数:約20名 単位数:19単位/日
急性期、回復期、外来の業務を学ぶ。
② 2019年7月より
回復期リハビリテーション病棟配属 担当患者数:約10名 単位数:20単位/日
 ●2019年12月より:回復期病棟 言語聴覚部門 責任者
 病棟の運営に携わり、医師・看護師・多職種と共に業務改善や勉強会を主催
 ●2020年4月より:訪問歯科との連携を提案し病棟へ導入。歯科医との協業
 ●2020年8月より:訪問リハビリ事業所開設。訪問リハビリテーション担当兼任
♦担当業務
・個別訓練(失語症、構音障害、嚥下障害、高次脳機能障害、認知症)
・嚥下評価・訓練(嚥下造影検査・嚥下内視鏡検査を耳鼻科医・リハ医と協働実施)
・グループ訓練
・カンファレンス
・家族指導、自宅環境調整、退院後のフォロー・外来訓練
・外出訓練、社会復帰支援(ジョブコーチなど)
・院内の他職種へ対して失語症・嚥下障害の知識の普及や指導
・失語症友の会(自助グループ)の運営

【アピールポイント】
●臨床業務への意欲的な取り組み
失語症、構音障害、嚥下障害の臨床に注力して参りました。患者様の症状やニーズに合わせた個別のリハビリを行うため、言語障害構造の仮説構築~検証~課題解決を繰り返し、患者様の障害の核心に対してアイディアや工夫を凝らしてスモールステップで解決する努力を重ねてきました。また地域の勉強会や学会に積極的に参加して臨床技術の向上に努めました。
●業務改善と実行力
口腔ケア、食事のレベルアップ基準などを、看護師や栄養士と共にマニュアルを作成し全病棟へ周知することで基準や用語が統一され、口腔衛生の向上や誤嚥リスクの早期発見につながりました。訪問歯科との連携の必要性を感じ、歯科医院の選定や連絡調整などを主導し実際に病棟へ連携システムを導入しました。
●家族の視点に立ったケア
急性期から回復期・維持期までを一貫して担当したこと、失語症家族会の運営を行った経験から、ご家族の抱える悩みを知り、ご家族にこそ十分な支援が必要であることを学び寄り添ってきました。

【保有資格・スキル】
保有資格:言語聴覚士

【自己PR】
言語聴覚士として、コミュニケーション障害を持つ方の言葉に置き換えられない思いを丁寧に傾聴して汲み取ることに注力してまいりました。患者様の状況・人柄・ニーズに合わせたケアができるように多職種と協働し、皆で「患者様に必要な支援は何か?」を考えてきました。復職を目標とした若い失語症患者様を担当した際には、理学療法士と共に職場までの通勤訓練を、作業療法士と共に職場へ同行しジョブコーチを行うなど様々なリハビリを提供できましたが、一方で他の言語聴覚士の方ならどのようなアプローチをするのか、アドバイスを求められる環境で働きたいと強く感じました。このような持ち前の行動力と問題解決力を生かして、貴院のように経験豊富な言語聴覚士の方々がいらっしゃる環境でさらに学びを深め、質の高いリハビリテーションを提供していきたいです。

3.気になる職務経歴書の疑問

ここまで、STが職務履歴書を書く際の具体的なポイントを見てきました。次に、実際に書き始めるにあたっての疑問となりやすい一般的な内容についても見ていきましょう。

職歴書は編年体式で

職務履歴書は履歴書のように定型の書式はありませんが、推奨される書き方としては3つのタイプがあります。

編年体式  ・最もポピュラーな書き方 ・同じ職種に長年携わっていた方、経験が浅い方にもおすすめ ・年月を見出しに入社から現在までを、時系列で業務内容を記載
キャリア式  ・経験豊富な管理職などにおすすめ ・職務内容や文やごとにかく書式のため、時系列で書くと長くなってしまう場合にもきれいにまとめることができる
プロジェクト式  ・プロジェクトを組んで開発を行うようなエンジニアや技術職の方におすすめ ・プロジェクトごとにまとめて書くことができ、複数のプロジェクトを同時進行した場合などにも分かりやすくまとめられる

PTOT人材バンクでは、STさんにとっての経歴をまとめやすい、編年体式で書くことをお勧めしています。

職歴書は手書きではなくPCで作成

履歴書は基本的には手書きをおすすめしていますが、職務経歴書は必ずパソコンで作成しましょう。

まとまった文書作成ができ、パソコン操作スキルを伝えられることに加え、先に述べた応募先に合わせた微修正が容易になります。

資格や専門用語は正確に

職務経歴書は略称や一般的な名称ではなく、誰が見ても同じ情報が得られる正式名称を用いて書きましょう。

  • 悪い例:ST、老健、〇〇病院 など
  • 良い例:言語聴覚士、老人保健施設、医療法人〇〇会●●病院など

4.まとめ

職務履歴書はこれまでの自分の経験や能力、興味などを、転職先の担当者に正確に伝えるためにあります。決して、大げさに書いたり、自分の能力の高さをアピールするための書類ではありませんが、ポイントを押さえて書くことでより魅力的に仕上げられます。

是非、今回の解説を参考にご自分の特長を伝えられる職務経歴書を作成してみてください。

PTOT人材バンクでは、履歴書の書き方についての相談業務を行っています。転職のプロが第三者として的確にアドバイスさせていただきますので、お気軽にご相談ください。

職務経歴書の意義や書き方の基本などについては、下記ページにもまとめていますので、もしよろしければこちらも参考にしてみてください。

リハビリ職の職務経歴書の書き方
リハビリ職の職務経歴書の書き方(2ページ目)

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