言語聴覚士(ST)を目指す上で、どのような1日を過ごすのか気になる方もいるのではないでしょうか。

平日はもちろんですが、どのような休日を過ごしているのかも知りたい部分だと思います。

今回は、そんな言語聴覚士の日常について紹介させていただきます。お休みの日や業務時間以外でSTがどんなことをしているか参考になれば嬉しいです。

1.言語聴覚士(ST)の1日

後ほど病院を例に詳しく1日の流れをご紹介しますが、STの一日は勤務先や事業所によって大きく異なります。

勤務内容が職場によって変わることはもちろんですが、ライフサイクルへの影響を考えると、勤務体系や業務後の勉強会などは特に確認した方が良いかもしれません。

シフト制や早番・遅番になると、8時-17時や9時-18時という一般的な定時とはずれますし、土日休日でなくなることもあります。また、業務終了後にある勉強会・症例検討会の頻度やかかる時間も勤め先によって大きく違ってきます。

一方で、休みや業務終了後は、仕事の疲れを取りリフレッシュすることができますが、新人の頃は自分の時間を使って勉強や講習会に行くケースも多いと思います。

言語機能はもちろん、病気の症状や個人差の程度、臨床でのリスク管理などわからないことが多く、様々な分野の勉強を一通りしたくなる時期でもあります。

仕事に慣れて、自分のリハビリのスタイルが定まってくると自分に必要な勉強は何かピックアップして学ことができるので、プライベートと仕事のバランスがとりやすくなります。

2.言語聴覚士(ST)の仕事の日と業務内容

それでは、病院勤務を例にSTの具体的な1日について見ていきましょう。

7時00分頃:起床して出勤

朝起きて、出勤の準備をします。朝礼に間に合えばいいのですが、私は余裕をもって出勤してしました。

特に休み明けなどは患者様の様態が変化していることがあるので、少し早めに行くと気持ちにゆとりを持つことができました。

ギリギリに出勤してしまう日もありましたが、早めに出勤した方が業務のパフォーマンスも良かったです。

8時30分頃:朝礼

朝礼で、リハビリ科全体と、言語聴覚部門両方の伝達事項の確認や、患者様の変化の情報共有や、嚥下機能や高次脳機能評価のその日の割り振りを行います

9時00分頃:午前のリハビリ業務

リハビリ業務をします。ベッドサイドや言語訓練室で一人40分~60分の単位で、言語訓練や嚥下訓練などを行います。2~3人くらい担当することが多いです。

12時00分頃:食事場面のリハビリ

昼食に合わせて食事場面の評価をし、食事形態や食べ方が適切か確認します。

一人当たり20分~30分くらいで、1人か2人見て回ります。評価する人がいなければ普通に自分のお昼休みになります。

13時00分頃:休憩

他のリハビリスタッフと休憩時間が異なるので、開いてる言語聴覚室でこっそり食事をとることが多いです。

14時00分頃:午後のリハビリ業務

午後のリハビリ業務です。午前と同じか少し多い3~4人程度回ります。

16時30分頃:事務作業

その日行ったリハビリの種類やコマ数の確認、日報の作成、カルテにリハビリ内容を記載、計画書・報告書の作成などを行います。

17時30分頃:院内勉強会・リハビリ準備

リハビリ科や病院全体での勉強会が週に1回程度あるので、参加します。内容は言語聴覚だけではなく看護や医療知識のものなど様々です。

STは言語機能や高次脳機能に関する脳トレプリントや絵カードなど教材を使うことが多いので、印刷や必要な品物をピックアップして次のリハビリの準備をします。

18時30分頃:帰宅

仕事を終えて帰宅します。STは集中力を使う場面が多いので、それぞれ自分なりのリフレッシュやケアを行います。

私は食事をしっかりとってよく寝ることで回復していました。また、趣味でリフレッシュするのは休日が多かったですね。

STの平日はこんな感じ

時間内容
07:00~08:00起床。身支度をする
08:00~08:30出勤。余裕をもって出社
08:30~09:00朝礼。その日の情報共有
09:00~12:00リハビリ業務。2~3件
12:00~13:00昼食の嚥下評価。1~2件
13:00~14:00休憩。ほかのリハスタッフと別でとる
14:00~16:30リハビリ業務。3~4件
16:30~17:30事務作業。カルテや報告書など
17:30~18:30勉強会参加。リハビリ道具の準備
18:30~帰宅。リフレッシュをして就寝

職場で違う働き方

1日の仕事や求められる役割は、施設形態や職場によってことなります。

PTOT人材バンクでは、言語聴覚士(ST)の施設形態や診療科目別に業務の特徴をまとめていますので、気になる方はぜひ参考にしてみてください。

【今ある施設形態や診療科目一覧】
病院での働き方クリニックでの働き方
精神科での働き方耳鼻科での働き方
脳外科での働き方循環器内科や心臓血管外科での働き方
公務員の働き方老人ホームでの働き方
介護老人保健施設(老健)での働き方デイサービスでの働き方
デイケアでの働き方訪問リハビリでの働き方
児童施設での働き方小児理学療法での働き方
廃用症候群リハビリテーションでの働き方

3.言語聴覚士(ST)の休日と自己研鑽

今度はSTの休みの日について紹介します。しっかり休む日ももちろんありますが、ここでは勉強をする日を例にご紹介します。特に新人の時には、こうした日を過ごすことも多いと思います。

言語聴覚士や医療に関する勉強会や講習会は、やはり土日に開催していることが多く、数時間のものから数日間にわたるものまで種類が豊富です。

自分が身に着けたい知識や技術の講習会を調べ参加すると、日常の臨床だけでは身につかない知識やスキルが会得できるので、興味がわいた時や必要性を感じた時に学ぶと吸収しやすいです。

中には毎週職場とは関係のない講習に行く人もいますが、月に1回何かしらの講習会に足を運ぶだけでも、刺激になるので、日々のリハビリに変化がもてる感触です。今はzoomで開催されているウェブセミナーもあるので、忙しい人や体力に自信のない人もうまく活用できると良いと思います。

8時00分頃:起床・出発

起床して、荷物や必要なものを確認して準備します。

普段行き慣れない会場で開催されることが多いので、ルートの確認を丁寧に行って、道や電車を間違えても間に合うように30分前には会場付近にいられるようにしています。

10時00分頃:目的地到着・講習会

目的地に到着したら、受付時間を確認して入室しますが、余裕がある場合はカフェで時間を過ごすことが多いです。

6時間程度の講習は集中力を使うので、昼食は眠くならないようなものを食べて対策します。ガムやコーヒーも便利です。

17時00分頃:帰宅・復習

帰宅します。一息ついた後は資料をめくって復習すると、覚えやすいです。後日出勤するときに見返せるように資料は仕事場に持っていくことが多いです。

講習会や勉強会は体力も使うので、終わった後はしっかり休むことも大切です。

STの休日はこんな感じ

時間内容
08:00~9:00起床。持ち物確認や準備をする
09:00~10:00出発・移動。30分前には到着がオススメ
10:30~16:00講習会。
16:00~17:00講習会終了。帰宅。
17:00~帰宅。復習とリフレッシュをして就寝

4.言語聴覚士(ST)の良いところと大変に思うところ

STの一日についていろいろと説明してきましたが、これからSTを目指す方も多いのではないでしょうか。最後に、私がこのSTの仕事の良いところと大変に思うところをご紹介していきます。

良いところ

STの良いところは、やりがいがあることと、就職先に困らないことです。

言葉・嚥下機能・児童の発達に携わる仕事なので責任が重い分野を取り扱いますが、先輩STがいる所で学び、勉強の仕方を身に着ければ、少しずつスキルアップと経験が身についてくるので、自分のリハビリのやり方にだんだん自信が持てていきます。

患者様や利用者様と直接会話をしてふれあうので、役に立てた時や、笑顔を見たときは、頑張ってきてよかったと思えますし、もっと良いリハビリをしようというモチベーションになります。

また、STの人口は求人に比べて少なく、STが欲しいのに見つからない施設が多いです。地域や自分の勤務形態にもよりますが、働き口は見つかりやすい職業であります。

大変と思うところ

大変なところは責任が重い仕事が多いこと。自己研鑽が必要な職業ということです。

言語機能は日常のコミュニケーションと切っても切りはなせない能力なので、回復のニーズが強いですし、発達障害はお子さんのこれからの人生に関わります。嚥下障害は評価を誤ると肺炎を起こす危険があるので的確な評価が求められます。

新人の頃はとくに責任やプレッシャーを感じやすいため、相談できる先輩や友人を持っていることが特に重要になります。3年~5年程度働くと、経験値やスキルも身につくので精神的な負担は軽減する人が多い印象があります。

また、言語聴覚士の分野もほかの医療分野と同様に、常に病気のメカニズムや薬、疾患の評価やリハビリ方法など新しい情報が出てきます。学会に足を運ぶ、医療雑誌を読む、論文を読む、インターネットで情報を拾うなど、新しい情報に触れる工夫が必要です。

5.まとめ

今回は言語聴覚士(ST)の1日と、STのいいところや大変に思うことを紹介しました。STの1日は、就職先によって大きく異なり、シフト制・土日休み・朝晩遅番業務があります。

病院の場合は朝7時頃に起きて、8時30分頃出社し、朝礼が終わった後にリハビリをして、夕方は書類業務や勉強会、リハビリ道具の準備があります。帰宅は18時半頃が目安です。

休みの日はリフレッシュに使う以外にも、自己研鑽で講習会を行くこともあります。人によって頻度はまちまちですが、月に一回行くだけでも刺激になります。講習会の分野は多岐にわたるので、新人のころは様々な分野に参加し、経験を積んだ後は、自分に必要な分野をピックアップできるので、プライベートとのバランスがとりやすいです。

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