病院をはじめとした医療や、介護、教育機関など様々な場で活躍している言語聴覚士(ST)。STの仕事は様々な場面でやりがいを感じられる反面、給与や職場環境など不満がある人も少なくありません。
転職を考えているSTの方の中には、初めての転職でどうしたら良いかわからない、失敗しないポイントを知りたいと考えている方も多いと思いのではないでしょうか。
今回は転職の際にSTが陥りがちな失敗と注意点についてまとめましたので、参考にしてみてください。
目次
1.言語聴覚士(ST)の転職で避けたい失敗例
STは専門とする分野が幅広く、医療や介護、教育など活躍できる場所が多い仕事であると言えます。また、最近の発達障害への社会的な関心や超高齢化社会も相まって、条件にこだわらなければ多くの求人の中から転職先を選ぶことができます。
しかし、転職時には様々なことを考えておかないと後悔にも繋がりかねません。これからよくある失敗例についてご紹介していきます。
知人の紹介だから…と安心してしまった
STは患者様の転院による施設間の連携や勉強会での情報交換などを通じてST同士の繋がりが強く、以前知人が勤めていた施設や先に友人が勤めている施設に転職を考えている、ということがよくあります。
もし他の施設のSTから「こちらの施設に来ないか」と誘われたり、他の施設の上司の方に紹介されたら、自分の能力や人柄を評価してくれていると嬉しく感じ、前向きに検討するという方も多いと思います。
これをきっかけに転職する場合、働き方、環境、労働時間、人事制度など転職情報サイトや面接で情報を得るよりも現実的な、実際の様子を詳細に教えてもらうことができるため、想像していた職場と違った、というような失敗は少なくなります。
しかし、紹介者の思う良い職場は自分にとっても良い職場であるとは限りません。紹介者からの情報だけでは気付かなかった難点や雰囲気に馴染めないなどの問題が生じる場合があることも考えておく必要があります。
また、紹介者を通して選考に進んだ場合には高いレベルでの臨床技術を期待され、あなた自身のハードルが上がってしまったり、転職の話が進んだ後に辞退したくても紹介者に迷惑をかけると思うと、簡単に辞退することは気が引けて言い出しにくくなるということも考えられます。
高収入が魅力に感じたけれども…
転職情報サイトには多くの求人が掲載されており、それぞれの施設のアピールポイントが記載されています。転職を考える際の条件のひとつに「収入UP」を挙げる人も多いのではないでしょうか。
現在の職場の給与に不満がある人にとって転職先の給与は特に気になるポイントです。しかしながら、転職サイト等に記載の給与が、自分が思い描く給与とずれが生じる場合があります。
例えば、残業手当についての扱いが異なる、福利厚生の充実具合を合わせると転職前のほうが良かった、資格手当がないなどの場合です。「お給料がいい」という目先の条件に惑わされず、さまざまな角度から条件を検討するようにしましょう。
すぐに次が見つかると思い、転職先が決まる前に辞めてしまったら再就職で難航した
転職をする際には、現在の職場を辞めるタイミングも重要です。退職する際は事前に最終出勤の日にちを調整したり、その日に向けて担当している仕事の申し送りをしたりとある程度計画的に進みます。
しかし、転職は採用試験の合否によって予定が左右されるため、必ず順調に進むとは言い切れません。実際、経験年数や学会発表の実績もあり、面接でも好感触だったのに採用されないということが何回か続いて次が決まらないうちに退職日を迎えてしまい、結果として一時無職になってしまったというSTもいます。
一時的であっても無職になるということは収入がなくなるため、十分な転職活動を継続することが困難になる可能性もあります。転職活動は少なからず、費用がかかります。その中で退職してしまうと、費用を捻出できなくなり、途中で挫折することにも繋がります。
また、仕事がない状況では焦りから気持ちの余裕がなくなります。この焦りは転職活動が長引けば、より強くなっていきます。焦りが強くなると、選考でも余裕がなく、十分に自分の良さを伝えることができなくなるということも考えられます。
そのため多忙でどうしても面接を受ける時間がないなど、退職しないと転職活動ができない状況でない限り、転職活動中に退職してしまうことは極力避けた方がよいでしょう。
ネガティブな理由から転職活動を始めてしまう
転職をしようと考える際には何かしらのきっかけや理由があると思います。その中にはスキルアップのためなどポジティブな理由もあれば、職場の仕事量や内容、人間関係の不満などネガティブな理由もあります。
ネガティブな理由から転職を検討することは悪いことではありませんが、「○○がいやだ」「とにかくやめたい」などの理由だけで転職活動を進めていくと、早く次の職場を決めようと本当に求めている条件が不明確になり、転職先探しが適当になってしまったり、転職先でも同じことを繰り返してしまう可能性もあります。
これを避けるためには、「どうしていやなのか」「これからどうしていきたいのか」「そのためにはどのような条件が自分に合っているのか」などをよく考え、あなた自身の“これから”に繋がる転職活動を行うことが重要です。
2.転職で失敗しないために注意すること
では、これまでに見てきた失敗例のようにならないためにはどうしたらよいのでしょうか。あなたの条件にぴったりな転職先を見つけるためのポイントを以下にまとめました。
計画的に動く
現在働いている方が転職することを決めてから実際に退職し、次の職場で働き始めるまでにはある程度時間があります。退職の日を決めるとともに転職先を探し、仕事の引継ぎ、次の職場への入職準備などやることも多いので計画的に準備を進めていきましょう。
転職を決めたら、まずは情報収集から始めます。自分の条件に合った転職先をいくつかピックアップして検討した後、施設見学などを経て応募、選考と進んでいくのですが、応募に進むまでに現在の職場の退職の時期と転職先への入職時期を考えておかなければなりません。
退職を希望してから退職までの日数は民法の第8節、雇用627条1項によると次のように定められています。
” 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。”
しかし実際は、担当している仕事の引継ぎや人員の補填などもあるため、マナーとして退職希望日の2~3か月ほど前には上司などに退職希望の意向を伝える必要があります。就業規則に記載されている場合もありますので迷惑をかけることのないよう、確認しておくと良いでしょう。
退職日の目安が決まっていれば転職を希望する施設への入職の時期もおおまかに決まるため、応募の段階で転職先に伝えることができます。早めの段階から上司に相談し、無理のないスケジュールになるように調整しておきましょう。
希望の条件の優先順位を決める
良い転職先を見つけたいという気持ちはわかりますが、すべての条件が揃った施設を見つけることは簡単なことではありません。希望する条件を紙などに書き出し、共通点を見つけたり、これだけは譲れない、ここは妥協しても良いなど、優先順位をつけておきましょう。
あまりこだわりすぎると転職先探しが難航し、進まなくなってしまうことも考えられます。また、完璧を求めるあまり、入職してからイメージと違ってがっかりした、などということも起こりえますので、ほどほどに考えておくと良いでしょう。
実際に自分の目で確かめる
自分で転職サイトなどを利用して転職先を探した場合も知人からの紹介で転職する場合でも、サイトに記載してある情報や聞いた情報だけを鵜呑みにせず、選考に進む前に実際の職場を見学することがとても重要です。
あなたが履歴書を作成する時に、出来るだけ自分の良いところを相手に知ってもらおうとするのと同じで、施設も求人をする際には出来るだけよい面をアピールしています。しかし、職場の実際の環境や雰囲気など実際に見てみないとわからないことも多くあります。
そのため、忙しくても可能な限り時間をつくり、転職先となる施設を見学するなど、その施設が本当に自分の求める条件に一致しているか自分の目で確かめましょう。
困ったら転職エージェントに相談
転職エージェントは採用を検討している企業と転職を考えている求職者を繋ぎ、転職を支援するサービスを提供している、人材紹介の会社のことです。
転職エージェント会社では求人検索のほか、キャリアアドバイザーへの相談をすることができるため、なにかと不安や疑問の多い転職活動の相談相手としてアドバイスをもらい、よりスムーズに転職活動を進めることができます。
キャリアアドバイザーをいれることで第三者からの視点で一緒に検討してくれたり、情報収集の手助けもしてくれますので、うまく活用して自分に合った転職先を見つけましょう。
3.まとめ
今回は言語聴覚士(ST)の転職にまつわる失敗パターンと失敗しないための注意点についてご紹介しました。STに限らず、転職の際には事前の準備がとても重要です。
職場環境などの希望を考えることも大事ですが、特に今後どのようなSTを目指していきたいのか、そのためにはどのような施設が合うのか、自分自身を見つめなおす時間を十分にとることで、その後の応募書類作成や面接もスムーズになります。
今回ご紹介したような注意点を踏まえて、希望通りの転職ができるよう、じっくり時間をかけて準備をすすめていきましょう。ご不明点があれば、是非PTOT人材バンクのキャリアパートナーに遠慮なくご相談ください。
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