言語聴覚士としてのキャリアアップを目指して博士号を取得することを考えている方もいるでしょう。もし博士号を取得した場合には給与は変わってくるのか気になるのではないでしょうか。
今回は、博士号を取得した後に給与は変わるのかということやどのような職場で働くことになるかについて解説します。
言語聴覚士の博士号取得率・取得割合について
言語聴覚士のうち博士号を取得する人の割合はわかりませんが、日本言語聴覚士協会が発表している会員の勤務先のうち、多くの博士号取得者が働いていると思われる研究・教育機関で働いている言語聴覚士の割合は、令和6年3月31日現在で全体の1.5%です。研究・教育機関で働いていてもすべての方が博士号を取得しているわけではないので、実際の博士号取得者は1%にも満たないのではないかと考えられます。
もちろん、研究・教育機関以外でも医療現場や介護施設などで臨床に携わる博士号取得者もいると思います。また、大学の教員として働く場合には博士であることが必須ですので、そのような職場では取得率は100%と考えてよいでしょう。
言語聴覚士の博士号取得時の平均給与
言語聴覚士が博士号を取得した場合の給与については、資格を取得しただけで給与がアップすることはあまりないでしょう。したがって、平均給与は令和5年に厚生労働省が発表している言語聴覚士の平均給与額である月額約30万円とそれほど変わらないということになります。
ただし、養成校の教員や大学教員などの場合は学校法人の就業規則や給与規定によるため、臨床現場で働いている言語聴覚士よりも高額であることが多いです。職場によってばらつきがありますが、大学教員の場合、厚生労働省の「令和5年度 賃金構造基本統計調査」によると大学教授の平均月額給与は約66万円、平均年収は1,155万円となっています。
出典:令和5年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 表番号1 職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)
博士号を取得した人の職場例
ここまでも見てきたように、博士号を取得した場合の職場としては大きく、臨床の現場と、大学などの教育機関で研究したり、教えたりする職場の2種類に分かれます。臨床の現場としては医療機関がメインになりますが、福祉施設や老健施設・特養施設などもあります。ここではそれぞれの職場の特徴をお伝えします。
医療機関
言語聴覚士が働く職場としてはもっとも多く、日本言語聴覚士協会のデータによると、約78%の方が医療機関で働いています。つまり、4人のうち3人が医療機関で働いていることになります。病院のリハビリテーション科や回復期病棟などで働きますが、口腔外科や耳鼻咽喉科などで働くケースもあります。
介護・福祉機関
特別養護老人ホームや老人保健施設、デイサービスセンターをはじめとした高齢者対象の施設や訪問リハビリテーション事業者などがあります。このようなところでは、介護職員や栄養士などと一緒に摂食嚥下障害の訓練をしたり、レクリエーションなどを通して言語・認知機能の維持回復に携わったりもします。
教育機関
教育機関と言ってもさまざまですが、小中学校や特別支援学校などで教員として障害も持つ子どもの指導を行う言語聴覚士が多く、次に多いのが養成校で講師として働くケースです。大学教員や研究員として働く場合は研究・教育機関で働くことになりますが、先ほども述べたように全体の1.2%と非常に少ないです。
すぐに大学教員や研究員になれるとは限らない
大学教員や研究員になりたいと考えて、言語聴覚士として博士号を取っても、必ずしもすぐになれるとは限りません。資格を取ったタイミングでポジションが空いているかどうかは不明だからです。
そのため、数年間臨床で働きながらポストが空くのを待つことが必要になることも少なくありません。もちろん、その間に大学や専門学校の非常勤講師として働くという道もあります。
PTOT人材バンクは資格を生かした転職サポートも行っていますので、お悩みの際お気軽に相談してみてください。
関連記事
言語聴覚士(ST)の給料に関するおすすめ記事をご紹介。