今回は、言語聴覚士(ST)のクリニックでの仕事内容と魅力を紹介させていただきます。

クリニックでのSTリハビリは、退院したけれど、まだリハビリが必要な患者様が自分で足を運んでリハビリを行うため、病院でのリハビリと訪問リハビリの間のような位置付けのサービスになります。

そのため、病院でのリハビリとも訪問リハビリとも異なった時間の流れで、リハビリを提供していくことになります。

それでは、具体的にSTのクリニックでの仕事内容とその魅力をお伝えしていきます。

1.そもそもクリニックとは

そもそもクリニックとは、診療所や医院を指す言葉です。「病院」とは異なり、厚生労働省によると19床以下で、有床診療所と無床診療所があります。

急な発症の疾患や重篤な疾患は「病院」での治療が必要になりますが、クリニックでは、症状が落ち着いたあとの経過観察や、軽い風邪などの症状のときに受診できる医療施設です。定期受診で薬をもらうなど、患者様と距離が近く地域密着な特色を持っています。

こうした背景からクリニックを利用する患者様は状態が安定していることが多く、クリニックでのSTのリハビリもそういった人が対象となります。

クリニックは、自分で動ける患者様も多く比較的元気な患者様が多い印象があります。しかし自分でできることが多い分、退院して自宅生活に戻ったけれど、病気の後遺症と実際に生活して困る場面に直面した患者様を多くおられます。

患患者様の生活の様子や気持ちのヒアリングをし、適切なサポートを提供することが重要な職場だと言えるでしょう。

2.クリニックにおける言語聴覚士(ST)の業務内容

では具体的に、一般的な外来クリニックにおけるSTの業務内容やタイムスケジュールを見てみましょう。

外来リハビリのため、患者様が来るのを待つスタイルになります。こちらから移動することがないため、訪問系の仕事と比べると遅刻する心配はなく、余裕のあるタイムスケジュールかもしれません。

患者様は自宅に戻ってから言語機能が変化する方も多く、退院されて病状が落ち着いているぶん、集中して自主トレを積極的に取り組まれるかたもいらっしゃるため、外来リハビリ開始直後は病状やニーズが変化しやすいケースがあります。

そのため、言語機能・摂食嚥下機能・高次脳機能の最新の評価と利用者さまのニーズを把握して、高次脳機能や発音の練習用のプリントなど、利用者様に合わせた教材を用意し、筋力訓練の負荷を調節することが大切です。

時間業務内容
09:00~09:10出勤、準備
09:10~09:30朝礼、MTG
09:30~10:30リハビリ業務1
10:40~11:40リハビリ業務2
11:40~12:00カルテ記載
12:00~13:00休憩
13:00~14:00リハビリ業務3
14:20~15:20リハビリ業務4
15:30~16:10リハビリ業務5
16:10~17:00カルテ記載、事務作業
17:00~18:00会議、リハビリ室の清掃
18:00退社

3.クリニックで働くメリット

クリニックでの言語聴覚士(ST)リハビリは、外来リハビリと訪問ハビリの二種類があります。

外来リハビリのほうは、比較的ゆったりしている雰囲気があり、患者様も家で生活できるレベルの人なので医療的なリスクも低く、緊急性や緊張を要する場面が少ない現場だと言えます。

外来リハビリにいらっしゃる患者さんの場合、病院や訪問リハビリ業務のように、車いすやベッドに移乗する場面がほとんどないので、体力が無いセラピストや、体格の小さなセラピストでも働きやすい環境だといえます。

また、冒頭で述べたように、退院した後は病院での生活と自宅での生活のギャップがあり、言語聴覚機能が変化しやすい利用者様の悩みに寄り添うことが大切な職場です。

患者様と関係を作りながら都度適切なリハビリを提案して、家での様子も踏まえてリハビリメニューを立案するので、利用者さまの気持ちや生活に寄り添いながら仕事ができるやりがいがあります。

また、クリニックでの訪問リハビリの業務ではたらくメリットに関しては、別途こちらの記事をご参照ください。

4.クリニックで働くデメリット

反対に外来リハビリでのデメリットを紹介すると、業務やリハビリがルーチン化しやすく、新しい症例に出会う機会が少ないことです。

言語聴覚療法について深く勉強したい人や、様々な症状やリハビリを経験したい人には不向きと言えます。

反対に、患者様一人ひとりとしっかり関わりたい方、退院されてから自宅に戻った時の環境変化に伴うリハビリのサポートをしたい方、自分の時間を持ちたい方にはおすすめです。

5.まとめ

クリニックの言語聴覚士(ST)のリハビリは、訪問リハビリと、外来リハビリがあり、外来リハビリは状態が落ち着いている患者様が多く、急変や緊急性の高い症状のかたが少ない傾向があります。

そして言語聴覚士(ST)のクリニックリハビリのメリットは、時間に余裕のあるタイムスケジュールで仕事ができることであり、デメリットはルーチンなリハビリになるため、症例件数が限られてしまい、勉強や経験を積みたい場合は不向きな環境であることです。

クリニックでの外来リハビリは、体力的に精神的に負荷が少ないため、家庭と仕事を両立する場合や、体力に自信のないセラピストでも働きやすい環境といえます。

転職の際に参考にしていただけたら幸いです。

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