作業療法士(OT)として転職する際には、希望する施設の様子を知ったうえで就職したいと感じる方が多いのではないでしょうか。
この記事では、施設見学をする時の手順や見学時のマナーなどを詳しく解説します。
目次
1.施設見学の流れ
ここでは、施設見学をするにはどのような手順を踏めばいいのか、具体的に説明していきます。
見学先の施設を選ぶ
見学をする施設は、「ここで働いてみたい」と感じる施設を選びましょう。
直に見学したり、質問をしたりすることで、ネットやパンフレットなどでは確認できない、リハビリスタッフの雰囲気や一日の流れや詳しい業務内容などを知れます。今まで勤務した職場と比較することはもちろん、未経験の分野の施設でも、安心して就職活動につなげられるメリットがあります。
反対に、「自分にはあまり合わなそうな職場だ」と感じたら、無理に就職活動をするのではなく、一度考え直してみることで転職活動の失敗を回避できます。気になった施設があれば、ひとまず施設見学を検討することが、転職活動を成功させるカギです。
施設見学の予約を取る
見学したい施設が決まったら、その施設が見学可能か確認しましょう。施設の公式ホームページを確認すると、見学を受け付けているか明記されている場合もあります。お問い合わせフォームなどで対応している場合、ネット上で予約を取ることができます。
見学可能か明記されていない場合でも、施設に電話し、見学を受け付けているか確認しましょう。電話をかける時は、施設の都合に合わせて見学ができるよう、見学候補日を複数用意しておくと、アポ取りがスムーズになります。
見学に向けて準備する
見学の日程が決まったら、特に見学したいことや質問をしたいことなどを整理しましょう。実際に見学に行くと、緊張してしまい、質問事項を聞き漏らしてしまうこともあるので、事前に質問したいことをリストアップしておきます。
そのメモを見ながら質問することで、自分の知りたい情報を尋ねられるようにします。聞いたことをメモできるよう、筆記用具も持参するといいでしょう。
また、見学後に面接をする施設もあるかもしれません。自分がその施設のどこに魅力や興味を感じ見学したいと思ったのか、そして、施設に向けて自己アピールできることは何かを踏まえて履歴書や職務経歴書を作成すると面接対策にもなります。
2.施設見学する際のポイント
「自分は見学で何を知りたいのか」をしっかりと把握したうえで見学をすることが大切です。ここでは施設見学の際のポイントをまとめたので、ぜひ参考にしてみてください。
スタッフ同士の雰囲気を確認しよう
人間関係の良い職場は、就職するうえで重要視したい条件の一つです。スタッフの表情や、コミュニケーションの様子などを観察し、職場の雰囲気を感じ取りましょう。
見られるようなら、スタッフ同士が協力し合って働いているか、声を掛け合っているかなども確認することで、働きやすい職場かどうかがわかります。
また、患者さんはどのような年齢層の方で、どのような疾患の方が多いかを知ることで、その施設の傾向を知ることができます。患者さんの表情も見ることで、職場の雰囲気の良さを感じ取ることができます。
1日のタイムスケジュールを確認しよう
就職するにあたり、残業が少ない職場かどうかを知りたい方も多いでしょう。直接的に聞きづらい時、1日のタイムスケジュールを知ることで、比較的残業が少ない職場か否かを見極められることもあります。
特に着目したいのが、「カルテの記録時間」や「勉強会」の時間が、就業時間内に収められているかどうかです。
作業療法士(OT)は、患者さんのリハビリをしたらカルテを記載することが多いです。老健などの施設では1日にリハビリをする患者さんの人数が多く、反対に回復期病院などでは患者さんの人数自体は少なくても評価内容など記録する事項が多いことがあり、カルテ記載の時間は長くなってしまうこともままあります。
また、OTはスキルや知識の向上のため、勉強会や症例検討会などを実施する職場も多いです。勉強会は短くて30分弱、長くて1時間ほど時間を割くことがあり、タイムスケジュールに組み込む職場とそうでない職場の2パターンがあります。できれば、業務時間内に自己研鑽の時間が組み込まれている方がいいですよね。
もし、勉強会についての説明がなければ、質疑応答の時に勉強会の有無や実施回数、時間帯を質問することで、実情を教えてもらえるかもしれません。
以上のことから、タイムスケジュールの中に「記録時間」「勉強会」の時間を別に設けてあることで、残業をしなくてもいい仕組みづくりができている職場かどうかがわかります。
毎日通う場所だからこそ、立地は大切
毎日働く場所ですから、立地や交通の便の良さ、通勤のしやすさは重要です。車通勤を希望する場合は、職員用の駐車場が整備されているか確認するといいでしょう。余裕があったら朝の時間帯に自宅から職場までの道を走ってみると、道路の混み具合や通勤にかかる時間などがわかります。
また、場合によっては夜遅い時間に帰ることもあるので、周辺環境も把握することが大切です。特に女性で公共交通機関を使う場合は、最寄りのバス停や駅が近いか、道は明るいか、コンビニなどの店舗が近くにあるかなど、安全面のチェックもしましょう。
設備の充実さは、リハビリの行いやすさにもつながる
施設内の設備の充実は、働きやすさにも直結するため、リハビリ室は十分なスペースがあるか、訓練のための器具は幅広くそろっているかなどを確認しましょう。
作業療法では、立位訓練や歩行訓練といった基本動作訓練に加え、上肢機能訓練、高次脳機能訓練を実施したり、分野によっては作業活動なども実施したりするため、バリエーションに富んだ訓練道具が必要です。
特に、上肢機能訓練は患者さんの身体状況に合わせて段階づけて訓練をする必要があるため、ペグなどの訓練道具がある程度そろっている方が、柔軟なリハビリがしやすいという特徴があります。
実際、規模の小さい職場では訓練道具自体があまりそろっておらず、時には自分の考える訓練をするために、新たに訓練道具を用意することもありました。その場合、施設に掛け合い必要な道具を購入してもらいますが、会社(組織)の予算が少ないと購入できないものもあり、自分で道具を手作りするところから始めなければならないこともあるのです。
回復期病棟などでは、日常生活動作(ADL)訓練のための畳などの和室や浴槽の模擬セットなどがそろった施設もあります。リハビリ設備の充実さを確認することで、その施設がどれだけリハビリに力を入れているかがわかります。
特にキャリアが浅い方や、さまざまなリハビリ方法を学んでいきたいと考える方は、できるだけリハビリ設備やOTスタッフの数などが充実した施設を選ぶことがおすすめです。
自分がどんな訓練をしたいかを事前にイメージすることで、見学先の施設が自分の求める条件に合っているかどうかを確かめられます。
福利厚生などの条件を確認しよう
求人票がある施設では、年間休日や就業時間、賞与も含めた給与など、ある程度の福利厚生を知ることができます。
しかし、実際に話を伺うことで求人票にはない情報も得ることができます。疑問に思ったことは積極的に質問するようにしましょう。
3.施設見学で押さえておきたいマナー
最後に、施設見学時のマナーについて大切なポイントをお伝えします。マナーができていないと施設のスタッフの方に良くない印象を与え、面接までつながらないこともあります。
社会人としての装いを心がけよう
あいさつ、服装、時間管理など社会人としての一般的なマナーを心がけてください。服装については面接と同様に考え、スーツを着用すると印象が良くなるでしょう。
現職の仕事帰りに見学に行く場合など着替えが難しい場合は、ジャケットを羽織るなど、できるだけ清潔感のある服装を選ぶようにしましょう。
言葉遣いやコミュニケーションに注意する
コミュニケーションの際は、相手の目を見て明るい表情で、はきはきと話すようにしましょう。敬語はもちろんのこと、話す内容についても声のトーンやスピード、相手に伝わりやすい言葉選びを意識しましょう。
OTは患者さんやスタッフとのコミュニケーション能力も重要視される仕事です。そのため、礼節は守りつつ、積極的にコミュニケーションをとるようにしましょう。話すのが苦手だと感じる方は、すれ違う方に丁寧な挨拶と笑顔を心がけるだけでも、好印象を与えることができます。
そして、大切なことは施設の方や患者さんへ見学させていただくことに対して感謝の気持ちを持つことです。その気持ちを忘れなければ、自然と表情は笑顔になり、言葉遣いも柔らかで丁寧なものになるでしょう。
積極的な姿勢で見学に臨もう
見学の姿勢、特に積極性があるかどうかも評価されるポイントです。施設に興味を持ち積極的に知ろうとする姿勢は、人事担当者に好印象を与えます。
質問をするためには見学先の予備知識が必要になります。事前にホームページを確認して利用者さんや患者さんの傾向、施設の規模、リハビリ室などについて把握しましょう。
見学中、もしくは質疑応答の際には、「何か聞きたいことはないですか?」と尋ねられることも多いです。質疑応答では、気になったことは積極的に質問しましょう。見学中に興味深く感じたことを覚えておき質問することで、より積極性が感じられるでしょう。
ただし、注意が必要なのがメモを取る場合です。見学中はもちろん、面接中でも、どうしてもメモを取りたいと感じた時は必ずスタッフの方に一言声をかけてからするようにしてください。中には、患者さんがそばにいる場合、個人情報保護の観点から、メモ取りを好ましく思わない施設もあります。
4.まとめ
施設見学は、場合によってはそのまま面接に移行することもあり、見学自体が面接の一部であることも。見学者が施設を知ろうとするように、施設のスタッフの方も、見学者が働いてほしいと感じる人物であるかどうかを見ています。
そのため、しっかりと事前準備をしたうえで、見学に臨めるといいでしょう。強く「就職したい!」と感じる施設ほど、見学は緊張するかもしれません。そんな時には事前にこの記事を読むことで、自信を持って見学に臨んでみてください。
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