作業療法士(OT)の対象分野は幅広く、それぞれの分野でも提供するリハビリの内容は異なります。

その中でも、障がい者施設は、サービス内容や対象者が施設によって様々です。

また、対象が知的障がいや発達障がい、身体障がいなど多岐に渡り、生活訓練だけではなく、就労や社会参加に向けた支援も行うため、OTとしての力量を存分に発揮できる魅力ある職場の一つでもあります。

今回の記事では、OTが障がい者支援施設で働く場合の役割や仕事内容を具体的にご紹介していきます。

1.障がい者施設で求められる作業療法士(OT)の役割

障がい者支援施設とは、知的障がいや発達障がい、身体障がいなどで介護や援助が必要な方に対して、生活介護や自立訓練、就労支援などを行う施設です。

そのため、OTは施設の特色や対象者の障がいに合わせて、利用者の方が自立した生活を送れるよう機能訓練をするだけではなく、環境設定や就労に向けた作業訓練等幅広くサポートしていくことが求められるのです。

時には、利用者の方の就労先への情報共有や支援方法のアドバイス等も行っていきます。

2.作業療法士(OT)の障がい者施設での仕事と患者さん

では、障がい者施設でOTが働く場合、具体的にどんな仕事を行い、どのような患者さんと接することになるのかを解説していきます。

患者さんの特徴

障がい者施設の患者さんは、知的障がい、発達障がい、身体障がいと様々で、施設の特色により障がいの種類や程度が異なります。

障がい者支援施設の中でも、主に「介護給付」を受けている方は、比較的障がいや介護の程度が重く、日常生活を送る上での食事や入浴、排せつ等に介助が必要となる方が多いです。

また、「訓練等給付」を受けている方は、精神・身体面に障がいがありながらも、日常生活の自立に向けた援助を行ったり、就労に向けた訓練を行うため、比較的身体介助の程度は低いと言えます。

障がい者施設で提供する作業療法

障がい者施設で提供する作業療法は大きく分けて2つに分かれます。

1つ目は、日常生活を送るためのADL訓練や機能訓練です。これは、OTの専門領域である身体障がい、精神障がい、発達障がい、老年期障がい、どの領域でも行われるもので、その方が生活上困難となっている事柄に対して、動作訓練をしたり、身体機能訓練で能力の維持向上を図ったり、環境設定や道具を工夫するなどのアプローチをしていきます。

2つ目は、社会復帰に向けた就労支援です。これから一般企業に就労したいと考えている方に対して就労に向けた知識・技術を修得するための訓練を提供したり、一般企業等に就労することが難しい方に対して、実際に雇用しながら能力向上を目指して訓練を行っていきます。

こちらに関しては、“作業”や“障がいやその方自身の特性を適切に評価する”ことを専門とするOTにとって、腕の見せ所とも言えるのです。

3.障がい者施設での勤務イメージ

障がい者施設でOTが勤務する際の一日のスケジュールをご紹介します。今回は、特に就労支援を主に行っている施設の場合を紹介します。

就労支援を主に行っている施設では、午前午後どちらも集団での作業活動が行われます。そこで、OTは全体を把握しながら、一人ひとりの作業の様子を観察し、アドバイス等を行っていくのです。

そして、空いた時間で書類の作成やカンファレンス、関連スタッフとの連携等も行っているイメージとなります。

時間業務内容
08:30~09:30業務開始、朝礼、準備
09:30~12:00就労作業訓練(集団実施)
12:00~13:00昼食
13:00~15:30就労作業訓練(集団実施)
15:30~17:30事務作業、多職種カンファレンス等
17:30~退勤

4.作業療法士(OT)が障がい者施設で働く魅力

障がい者施設でのOTは、日常生活を送るためのサポートだけではなく、病気や障がいを抱えながらもその人らしく社会と繋がっていくための社会参加という点を重視し関わっていきます。

身体機能面だけではなく精神機能面も専門領域とし、多職種と連携しながらその人らしく生きるために多角的に診ることができるというのはOTだからこその強みだと思います。

病気や障がいを抱えた方も地域で暮らしていくことが勧められている日本の仕組みの中で、その方々の生きづらさをどれだけ軽減させ、いかに自分らしく生きていけるかということに関われることはOTの一番のやりがいだと言えるでしょう。

5.まとめ

今回は、障がい者施設で働く作業療法士(OT)についてご紹介させていただきました。

OTとして障がい者施設で働く場合には、身体機能面だけではなく精神機能面の知識、そして、社会参加に向けた多職種連携や多角的な視点が必要となります。

リハビリの職種でもOTの他に理学療法士(PT)や言語聴覚士(ST)がいる中で、障がい者施設は、他の職種には代えがたいOTだからこそできることが詰まっている職場ではないでしょうか。

障がい者施設でのOTに興味がある方は、ぜひ一歩踏み出してみてもらいたいと思います。

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