作業療法士(OT)としてキャリアアップしたいと考える中で、海外留学を視野に入れている方もいるでしょう。
OTは海外でもその専門性を認められている職業の一つであり、養成校の中には、卒業することで世界作業療法士連盟(WFOT)の資格を有することができる学校も多く存在します。
今回の記事では、OTとして海外留学をする場合のメリットデメリットを理解した上で、留学先の選び方や準備などを具体的にご紹介していきたいと思います。
目次
1.作業療法士(OT)が留学するメリット
OTとして留学を考える際、何のために留学するのか、これからどんなキャリアを積んでいきたいのかを考えることが大切です。
下記で紹介するメリットを踏まえながら、自身の海外留学の理由と今後のキャリアを一度考えてみてください。
進んだ知識や技術に触れることができる
アメリカやカナダ、イギリス、オーストラリアなどの英語圏は日本に比べリハビリ領域の歴史も深く、最先端の知識や技術が臨床現場で活かされています。
日本ではまだ触れることのできない最先端のリハビリを提供している現場に触れられるというのは海外留学の一番のメリットと言えるでしょう。
また、日本に比べてアメリカでは大学院に進み、より専門的な学びや研究ができる場が多いため、キャリアアップと共に極めたい分野がある人にとってはオススメです。
転職の際に有利になる
海外留学していたからといって、給与が上がるということはほとんどありません。しかし、その経験や取得した学位などによって、採用の面で優位になる場合もあります。
そして一番ポイントなのは、臨床現場で働く先に、OTの養成校教員になることを視野に入れている方にとっては、海外留学の経験はとても強みになります。
WFOTの認定校では、海外のOT事情を学ぶ授業もあるため、そういった人材は貴重であり、採用される一つの理由となり得るでしょう。
海外で働く道が開ける
海外で取得した学位などを活かして、そのまま現地で働く道が開けることもあります。
OTとして海外で働くためには、国によって条件が異なりますが、その国の養成校に通い新たに資格を取得する必要がある場合もあります。
明確にこの国でOTとして働きたいという希望がある場合には、海外留学を決めてその国の養成校で学ぶという方法が一番着実な方法であるのです。
2.留学するデメリット
海外留学では魅力的なメリットがある一方で、もちろん困難なこともたくさんあり、デメリットも潜んでいます。
デメリットもしっかりと理解した上で、留学するかどうかの決断をしましょう。
手続きや資格取得までに時間を要する
海外留学したいと思っても、すぐできるとは限りません。
海外で生活するだけの最低限の語学習得や海外での免許取得のために語学試験を合格することが条件に挙げられている国もあります。
海外留学でその国の養成校に入り、実際に資格取得するまでには時間も労力も必要となるため、しっかりとした覚悟を持って臨むことが大事になってきます。
費用がかかる
海外で暮らすというのは、もちろん日本と物価が違いますし、渡航費用や生活費、学費など大きな費用が必要となってきます。
海外留学でいくら必要になるかを事前に想定した上で、貯蓄や計画を立てるという準備が必要になるでしょう。
日本での臨床経験にブランクができてしまう
日本である程度経験年数を重ねていても、海外留学をするとなった場合には休職または仕事を辞める必要がでてきます。
もちろん、その間日本での臨床経験にはブランクが出ることや、日本のリハビリ事情に触れる機会は減ってしまうのも一つのデメリットと言えるのではないでしょうか。
3.留学先の選び方
留学先としてどの国を選ぶのかという視点はとても重要です。
世界各国、それぞれの地域で作業療法の特色や環境が異なるため、自分は何を学び、今後どのように海外留学での経験を活かしていきたいかを明確にした上で、留学先の選び方のポイントをご紹介していきます。
先進国で最新のリハビリ事情を学びたい
作業療法士(OT)としてキャリアアップをしたい、興味のある分野をより深く学んでいきたいと考えて海外留学を考えている方は、リハビリ領域の先進国と呼ばれるアメリカやカナダ、イギリス、オーストラリアなどの国を選ぶと良いでしょう。
また、リハビリとは切っても切れない福祉用具に関してはデンマークやスウェーデンが有名です。
このように、リハビリ先進国の中でも、どの分野に力を入れているか、なぜ進歩してきたかの背景を調べることで、自分の学びたいこととのマッチングができます。
発展途上国で自分の力を試したい
ある程度日本でOTとしての臨床経験を積んでおり、自分の力を海外で試したいという方の場合は、ベトナムやタイ、スーダンなどの発展途上国へ海外留学することで、臨床の場を経験しながら海外のリハビリ事情を学ぶことをオススメします。
日本とは環境のことなる発展途上国でOTを提供するという経験は、自分にとっても、留学先にとっても双方に貴重であり、帰国後OT養成校などの授業に講師として呼ばれる場合などもあります。
特定の分野で専門性を極めたい
OTの中でも、特に自分の興味のある分野を突き詰めたいという場合、学びながら研究をするには海外留学は適しています。
その場合、自分の興味のある分野において最先端のリハビリを行っている国を調べ、留学先として選ぶのが良いでしょう。
4.作業療法士(OT)が留学する際の準備物
作業療法士(OT)として海外留学する際には、留学先の国によって指定の必要書類や準備すべきものもあります。
海外留学を現実的に検討するために、事前に必要なものを確認して備えましょう。
必要書類や費用
OTとして海外留学する場合には、国によって必要な書類や手続き、条件が異なります。
国によっては、WFOT認定校の卒業証明書や就業証明書が必要になる場合があり、その他にも申込書類やVISAの取得が必要となってきます。
海外留学の場合、渡航費や生活費と何かと費用もかさむことに加え、手数料や登録費としても費用が発生する場合があります。
英語力
リハビリ先進国は英語圏が多く、そのほとんどの国で留学の条件として英語試験が必須となっているのです。
日常会話はもちろん、医療や専門的な用語に関しても、語学習得に関しては事前に時間をかけて準備する必要があるでしょう。
法律や制度、倫理等の勉強
留学試験の中には、その国の法律や制度、倫理等に関する問題も出題されます。留学したい国が決まった段階で、その国についても事前に勉強しておく必要があります。
5.まとめ
OTとして海外留学をするのは、決して容易なことではありません。
しかしながら、日本で働いているだけでは得られない貴重な経験やキャリアアップに繋がるメリットも多くあります。
大事なことは、海外留学をして何を学びたいか、将来どんな風にキャリアアップしていきたいかを明確にすることです。
海外で挑戦するOTはまだまだ貴重な存在ですので、ぜひ前向きに検討し、活躍していっていただきたいと思います。
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