作業療法士(OT)として働く、もしくは作業療法士を目指す上で給与はどのくらいもらえるのか、初任給はいくらなのかということは皆さん気になるポイントだと思います。
OTは国家資格であり、更新制度もないため一度資格を取得すれば安定した職業だと認識している人も多いと思います。
今回はそんなOTの初任給の実際と経験を積んでキャリアアップしていくための方法を多職種と比較しながらご紹介していきたいと思います。
ぜひこちらの記事を参考に、今後のキャリアプランやライフプランを立ててみてくださいね。
目次
1.作業療法士(OT)の初任給は約23万円
理学療法士や言語聴覚士、視能訓練士と合算したデータにはなりますが、令和3年の賃金構造基本統計調査にすると、OTの初任給は230,200円です。
賞与などを含めると初年度の年収は約330万円になりますが、初年度は賞与が出る事業所と出ない事業所(もしくは、出ても少額の事業所)があるため、気になる場合は事前に確認することをおすすめします。
初任給 | 230,200円 |
1年目の賞与 | 524,300円 |
1年目の年収 | 3,286,700円 |
また、初任給(月収)とは税金や保険料を含む総支給金額であるため、実際はそこから約0.75~0.85をかけた金額が手元に入ることになります。
そのため、実際手取りは172,000円~195,000円ほどになるのです。
実際に私もOTとしての初任給は手取りで20万円を若干切るくらいでした。医療介護系以外の規模の大きな企業で就職した友人と比べると同等もしくは少し低いといった印象だったと思います。
ただ、国家資格を有した職業ともあって、総合的にみても決して低いということは感じませんでした。
2.医療介護業界の他の職種と比べた時の初任給
作業療法士(OT)の初任給事情がわかったところで、医療介護業界の他の職種と比べた時、OTの初任給は高いのか、または低いのか、気になりますよね。結果としてお伝えすると、OTの初任給は低い方ではありませんが、すごく高いということでもありません。
下の表を見てもらうとわかるのですが、医師や薬剤師は格段に月給が高くなっています。この2つの職種に関しては、6年制の養成課程を経て国家資格に合格する必要があるため、それだけ給与が高いことにも納得がいきます。
その他、看護師とも初任給に関しては大きな差はありませんし、医療職の中でも診療放射線技師や臨床検査技師、歯科衛生士などよりも若干OTの方が高くなっています。
介護職員に関しては、OTよりも月給が少ない職種が多いため、結果としてOTの初任給は決して低いわけではないと言えるのです。
職種 | 初任給 |
医師 | 372,200円 |
薬剤師 | 302,800円 |
保健師 | 255,200円 |
助産師 | 261,500円 |
看護師 | 237,600円 |
理学療法士,作業療法士,言語聴覚士,視能訓練士 | 230,200円 |
診療放射線技師 | 221,900円 |
臨床検査技師 | 220,400円 |
歯科衛生士 | 235,300円 |
保育士 | 211,000円 |
訪問介護従事者 | 189,700円 |
介護職員(医療・福祉施設等) | 200,200円 |
その他の保健医療従事者 | 212,000円 |
その他の社会福祉専門職業従事者 | 212,000円 |
その他の保健医療サービス職業従事者 | 178,600円 |
私もOTとして働いていた頃、同じ医療介護分野でも様々な職種の知人がおりました。
私の印象としては、看護師はキャリアアップにつれて昇給や夜勤手当などでOTよりも給与が高くなりますが、スタートとしてはあまり差がありませんでした。
職場には、看護師介護職員、事務員(上記で言うその他の保健医療サービス職業従事者など)の割合が多いです。その中で考えると、OTはむしろ初任給が比較的高いという立ち位置にいたのではないかと感じていました。
3.新人作業療法士(OT)が収入を高めていく方法
OTの初任給は低いわけではないが、すごく高いわけでもないとお伝えしました。ではどうすれば収入を高めていけるのか。いくつかの手段があります。
これからご紹介する方法の中から自分に合った方法で収入UPを目指してみてください。
同じ職場で経験を重ねる
OTは、安定した給与を得ることができる職業ではありますが、あまり大きな昇給を見込める職業でもありません。しかしながら、同じ職場で継続して働いていると、少しずつですが年々基本給が上がっていくと思います。
長く務める予定であれば、職場を選ぶ際に昇給率も意識して探してみると良いでしょう。
部署内で役職に就く
昇給があまり見込めなくとも、主任や課長、リーダーなどの役職に就くと給与が上がる場合があります。
日頃の業務はもちろん、自己研鑽や職場内での勉強会への参加、職種間での良好なコミュニケーションをとることを意識することで、OTとしての昇格イコール給与UPを実現することもできるのです。
OTとして将来役職に就くという心構えで働きだすことも大切なことだと思います。
インセンティブ制が導入されている施設で働く
訪問リハビリ分野のOTは、そもそも給与が若干高い傾向にあるのですが、近年では訪問リハビリの分野でインセンティブ制というものを導入している職場も増えてきました。
例えば、訪問件数を増やすと1件につき数千円程度上乗せされるという制度であり、導入している職場であれば、頑張った分だけ給与が高くなるというわけです。
病院である程度経験を積んでからと考えるOTもいますが、これからキャリアをスタートさせる新人の方を募集している事業所も少なくありません。
副業OKの職場で働く
元々医療職は副業を禁止している職場が多くありました。しかし、2017年から厚労省が提唱している働き方改革に伴う副業・兼業の促進に関するガイドラインができ、少しずつ副業してもよいとされる職場が増えてきました。
OTでは、所属する職場の業務の他にも、週1回訪問リハビリのアルバイトをする、自治体などからの講師依頼や介護保険認定審査委員に参加する、など、意外と副業の術はあります。
それらの経験は給与UPだけではなく、OTとしての経験や繋がりの機会にもなります。無理のない範囲でそういった副業に挑戦するのも一つの手段として考えてみても良いのかもしれません。
4.まとめ
作業療法士(OT)の初任給やキャリア・給与UPの方法についてご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
OTとは、引き出しも多く多種多様な働き方ができる職種だと思っています。
- 仕事はほどほどに、家庭を大事にしながら働いていきたい。
- OTとしてどんどん経験を積んでスキル・キャリアアップをしていきたい。
- 家庭を支えるために、バリバリ働いて給与UPを目指したい。
あなたにとってOTとしてどうなりたいか、今後のライフプランも考えながら働き方を考えていってください。ご不明な点がございましたらPTOT人材バンクのキャリアパートナーに遠慮なくご相談ください。
関連記事
作業療法士(OT)の給料や働き方に関するおすすめ記事をご紹介。
【参照サイト】
令和3年 賃金構造基本統計調査 職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)
令和3年 賃金構造基本統計調査 職種(小分類)、年齢階級、経験年数階級別所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)