作業療法士(OT)になるためには、文部科学大臣または厚生労働大臣が指定した4年制もしくは3年制の養成学校に通い、国家資格に合格する必要があります。
養成学校は全国各地にあり、どの養成校でもOTになるために必要な知識と技術を修得することができますが、学ぶ環境や特色はそれぞれ異なります。
自分はどんなOTになりたいのか、どんな環境で学んでいきたいかを考えながらこちらの記事を参考に養成学校を選んでみてください。
目次
1.作業療法士(OT)の養成校は大学・専門学校・短大
作業療法士(OT)になるための養成学校は大学または短大、専門学校のいずれかです。専門学校の場合は3年制と4年制に分かれ、短大の場合は3年制でOTになるための知識と技術を身につけます。
現状の傾向として短大は数が少なくなっています。日本作業療法士協会の「作業療法士養成校一覧(2024年度)」によると、短大は4校記載されていますが、うち1校は令和6年4月に大学部に変更になりました。もう1校も母体大学の「短期大学部」としてのくくりへと変更になっており、リハビリ業界の流れとしても大学へ移行しようとしている傾向がうかがえます。
とはいえ、大学なら4年間かけて卒業しないとならないところを、短大や一部の専門学校であれば1年早く卒業できるという点は強みですし、需要はあるでしょう。
各養成学校の学費は、概ね大学<短大≒専門学校になっており、学び方や力の入れている分野、進路にそれぞれ違いがあるため総合的に判断し、どこで学んでいくべきかを検討する必要があるでしょう。
2.各学校の違い~学費・学び方~
ここでは、具体的に各学校の違いを掘り下げていきます。学費や進路など、志望校選びに欠かせない要素を中心に解説していきます。
大学は幅広い知識を身に着けられる
学べる科目の幅が広いことが特徴の一つです。大学によって多少の違いはあるものの、語学や社会学、文学などといった文系科目や数学や化学などの理系科目がカリキュラムに多く含まれています。すべてが必修科目ではなく、自分が興味のある科目を選んで受講できるのも魅力でしょう。
そして、大学はリハビリ職種以外の学部が複数ある場合が多く、人脈を広げやすいのもメリットです。大学によって異なりますが、看護師や保育士を目指す学部や介護や福祉を専門的に学ぶ学部、そのほかにも語学系の学部や経済学部など様々です。
大学ではクラブ活動やサークル活動が盛んで、他学部の人との交流機会もあるでしょう。キャンパスライフを楽しめるのもありますが、人脈を増やし、他学部の方と意見交換をしてリハビリ専門職とは異なる視点を学ぶこともとても有意義です。実際、OTとして就職した後、病院であれば看護師や放射線技師など、高齢者施設であれば介護福祉士や社会福祉士など、放課後等デイサービスであれば保育士や教師などと、様々な職種と連携を図れる能力が必要不可欠です。OT以外の職種を目指す人と交流を図り、お互いの仕事の理解を高められることは、就職後も知識・スキルとして活きてくる場面があるでしょう。
学費面ですが専門学校や短大が450~550万程度であることと比べると、1年多い分、私立大学は必然的に学費が高めです。私立大学が約600~700万円程度が目安でしょう。しかしそのなかでも、国立や公立は200~250万円程度とかなり費用を抑えられます。その分、国公立大学は受験難易度が高い傾向にあります。
また、一定の条件を満たせば受けられる貸与型・給付型の奨学金もあるので、希望する大学の学費が高いと思った場合には検討してみるといいでしょう。
短大は多くの知識を学びながらも、早く現場に出たい方におすすめ
短大は大学と同じく教育機関として、一般教養科目が比較的多く学べます。そのうえで、大学よりも1年早く卒業できるので、時間的にも学費面でも負担が軽くなるのがメリットです。
また、大学のなかに「短期大学部」として属する形になっており、大学へ編入できる制度がある短大も。短大在学中に「より学びを深めたい」と思ったときに柔軟な対応ができることは大きな魅力です。
専門学校とは教員の違いがあるでしょう。短大には教授や准教授が在籍しているのが特徴です。現場での臨床経験はもちろん、一般教養や専門研究などにも長けた知識豊富な教員からの指導を受けられます。もちろん、専門学校でも専門研究に長けた教員が豊富な学校もあると思いますが、専門学校の教員は臨床経験豊富な方が多くそろっている印象です。
専門学校はより実践的な内容が中心で、現場で役立つ手技訓練に力を入れている
文部科学省によると、専門学校は大学と同じく「高等教育機関」として位置付けられており、大学との違いはより実践的な職業教育が展開されている点です。
専門学校でも、OTとしての専門知識以外に英語や心理学、教育学などといった一般教養の講義も受けられます。しかし、大学よりも1年短い期間で多くのOT専門知識を学ばないといけない条件から、一般教養科目は1年生前期の受講が中心で、1年目から専門科目も多く履修するカリキュラムとなっています。特に演習や実習も豊富なので、より専門的な知識や実践力を身につけられるのがメリットです。
そういった背景から、高校を卒業した方だけでなく「大卒者」「社会人経験者」の入学者も多いです。OTを目指すには、知識以外に相手の話を聞く力、協力し合う力、コミュニケーション力といった「社会性の獲得」も重要視されます。そのため、カリキュラムは講義を聴講するだけでなく、グループワークでの検討・発表なども授業スタイルの一つとされています。グループワークでは、社会人経験者が豊かな人生経験・知識を活かし活躍する場面も多くあります。幅広い年齢層の人がいることで、より様々な視点を学べるのも専門学校も魅力かもしれません。
3.3年制と4年制の違い
専門学校には、3年制と4年制の2種類があります。3年制と4年制では、学ぶ時間に1年の差があるので自ずと学費も高くなり、同じ作業療法士(OT)になるのであれば3年制の方が良いという考えは確かにあるでしょう。
ただし、4年制ならではの魅力もありますので、ここでは4年制に焦点をあててポイントを2つご紹介します。
①4年制は専門科目をより深く学べる
4年制では3年制よりも1年長い分、余裕を持って勉強できます。特に1年目は実習数も多くなく、バイトをしたり車の免許を取ったりとプライベート時間も確保できるのは魅力でしょう。この点は大学でも同様です。
さらに専門学校の場合は、「より実践的な職業教育を展開する教育機関」としている背景から、専門科目に重きを置かれたカリキュラムとなります。そのため、余裕をもって専門知識を学びたい方には4年制専門学校がおすすめです。補講なども積極的に取り入れ、手厚く学習支援をする学校もあります。
②4年制は国家試験対策に時間がかけられる
4年制は、国家試験対策の手厚さも魅力の一つです。3年制に比べて時間的余裕があるため、じっくりと国家試験対策に取り組めます。私の知る4年制の専門学校では、最終学年では、前期に重点的に実習に取り組み、夏季休暇以降はすでに国家試験対策を取り入れていました。
時間的余裕があることで、自分の苦手な分野を念入りに学び直せるのは大きなメリットです。教員が積極的にサポートしてくれる学校もあるので、説明会などで質問してみてもいいでしょう。
4.養成校の選ぶときの5つのポイント
ここでは、養成学校を選ぶためのポイントをご紹介していきたいと思います。
どのように学んでいきたいかという視点を持つ
一番大切なことは、OTになるためにどのように学んでいきたいかということです。早く現場で活躍できる人材になりたいのか、幅広い引き出しと考え方の幅をもって対象者と関わっていきたいのか。
例えば、学費を抑え一早く現場に出たいという意志がある方は、3年制の短大や専門学校がおすすめです。幅広い知識を持ってOTとしての考え方を深めたいという方は大学を選択すると良いでしょう。
また、各学校のホームページには教育の強みが記載されています。他学部との交流が活発な学校、海外訪問の機会を得られる学校、最先端の機器をそろえている学校など、各校の強みは様々です。自分が得たい学び・経験を明確にして、それに合った校風の学校を選ぶといいでしょう。
国家試験の合格率を見る
学校選びで、国家資格の合格率を確認することは大切です。しかし、注意点としてOT業界は留年をしてしまうこともゼロではありません。問題なく養成校を卒業できた方、つまりは「国家試験を受けられる人=ある程度学力が合格県内に水準が届いている人」でもあるのです。国家試験に初めから落ちてしまいそうな人は、そもそも学校を卒業できないともいえる現状があり、国家試験の合格率は高い水準を維持している学校が多くなっています。
そのため、合格率だけを見て安心するのではなく、どんな国家試験対策をしているのか、どんな個別的なフォローをしているのかも、学校の支援体制も可能な限り知っておけるといいでしょう。
国家試験について知りたい方はこちらもご参照ください。
就職率と就職先をチェックする
OT業界では、現在もリハビリ需要の高さから比較的求人が多く、就職率は高い学校が多いです。幅広い分野の施設に就職実績のある、もしくは自分の就職したい施設に就職実績があるという視点も養成学校を選ぶ上で大切になってくるでしょう。
ただし、施設数が少ない小児分野や福利厚生が充実している総合病院など、人気が集中しやすい求人に対しては必ずしも就職できるとは言えないのも事実です。そのため、卒業生が実際どんな職場に就職しているのかは、養成校の就職斡旋の強さの指標の一つになります。
もし、将来的に大学病院で働きたいという思いがあるのなら病院附属の大学を狙うのも一つの手です。
教員の専門分野をチェックする
大学を希望する場合にチェックするとよいポイントです。大学には、教授や准教授、講師が在籍しています。大学ホームページには、教授・准教授の専門分野や研究などの経歴が載っているところも少なくありません。
特に精神分野や小児分野など特定の分野で働きたいと目標が明確な方は、その専門分野に特化した教員が多く在籍する大学を選んでみてもいいかもしれません。
また、専門学校でも教員によって貴重な体験を聞くことができたり、得意分野においてより詳しい指導を受けられたりすることもあるでしょう。質の高い指導ができる教員がいることでより実りのある学びが得られるでしょう。
WFOT(世界作業療法士連盟)認定校であるかを見る
WFOT(世界作業療法士連盟)とは、世界のOTを代表する公式の国際組織です。作業療法教育において基準を国際的に定めることで、作業療法の教育の基準を維持し、研究や実践の発展を目的としています。
WFOT認定校の卒業生であることで、世界的にOTの有資格者として認知されます。海外でOTとして働いたり、大学院に入学して研究したりしたい場合に、まずWFOT認定校の卒業生であるかチェックされます。反対に外国のOT 有資格者が日本でOTとして働く場合も、厚生労働省がWFOT認可校か確認することで、一定の水準を満たしたOTなのかを判断しているのです。
そのため、将来海外で活躍したいと考える方はもちろん、一定水準を満たした質の高い作業療法教育を受けたいと考える方はWFOT認可校を選びましょう。
養成学校選びに迷ったら、オープンキャンパスに参加するのがおすすめ
志望校を決めるにあたり、公式ホームページやパンフレットなどで情報収集をするのも一つですが、オープンキャンパスに参加してみるのもおすすめです。オープンキャンパスとは、土日や夏休み期間などに、受験生を対象に学校内を開放し、施設内見学や相談会などを開催するイベントです。教員はもちろん、現在在籍している学生から話を聞ける場合もあり、学校の雰囲気を直に知れる絶好のチャンスです。実際に学校に出向くことで、自宅からの通いやすさもわかります。
オープンキャンパスに参加する際には、事前に何を知りたいかを明確にしましょう。たとえば、医療機器や図書館の蔵書の充実さ、学食やコンビニの有無など、学校内の設備を確認するといいでしょう。専門的な講義や実習はどう展開されるのか、教員と生徒との雰囲気はどうかなども、ポイントです。特に、作業療法のカリキュラムでは、解剖学や運動学といった座学だけでなく、精神科などで活用される作業活動(アクティビティ)なども含まれるのが特徴です。私の出身校では、陶芸の教室やはたおり機、革細工などをする教室などもあったのが特徴的でした。カリキュラム自体は大きく変わらなくても、学校によって、設備はもちろん、どんな授業展開をしていくのかは特色があります。学校の情報を知る中で、自分に合った学校が明確になるかもしれません。
学校によっては、学生や教員による質問タイムなどを設けている場合もあります。実習や国試対策の内容や、就職実績なども聞けるかもしれません。パンフレットなどの紙面上では伝わり切れない、学生の生の声、詳しい情報を知る絶好のチャンスなのでぜひ活用しましょう。
オープンキャンパスは、大学はもちろん専門学校でも開催しているところが多いです。しかし、オープンキャンパスの日程は学校によってばらつきがあります。開催日数が少ない学校もあるので、気になる学校があれば早めに予定を確認しておきましょう。
5.通信教育だけで作業療法士(OT)の資格は取れる?
作業療法士(OT)は通信教育だけでは受験資格は取得できません。それは、OTのカリキュラムの中に実習が盛り込まれているからです。厚生労働省は臨床実習の在り方について、「理学療法士・作業療法士学校養成施設カリキュラム等改善検討会報告書」のなかで、「22単位分の臨床実習の拡充」「臨床実習については、実習時間の3分の2以上は医療提供施設において行われること」「訪問リハビリテーション又は通所リハビリテーションに関する実習を1単位以上行うこと」と明言しています。
つまり、通信教育だけでも養成校の座学だけでもOTの受験資格は得られず、養成校での学びと医療提供施設での実習は必ず行う必要があります。
6.社会人におすすめの学校は?夜間学部についても解説
今の仕事を退職して作業療法士(OT)を目指したい方で、「できるだけ早く卒業してOTとして活躍したい」場合は、短期間で即門的な知識・技術を重点的に学べる専門学校、特に3年制がおすすめです。すでにほかの学部の大学を卒業しているのなら、一般教養科目は受講を免除されるので単位取得の負担が少し軽くなります。
高校を卒業して社会人経験があり、大卒資格を取りたい場合は大学がいいでしょう。
もし金銭的な事情などから、働きながらOTを目指したい場合は専門学校の夜間部があります。学ぶ年数は3年制と4年制の2パターンあります。日本作業療法士協会によると、OTの養成校の夜間部は全国で12校です。うち3校は募集を停止しておりその数は多くありませんが、東京都や大阪府、福岡県などに点在しています。
夜間部のメリットは、昼間に時間ができることで医療や福祉関係の現場で働きながら、並行してOTの専門的な勉強ができるのでより実践的な視点を学べるでしょう。また、夜間部の養成校は昼間部も併設していることも多いので、隙間時間に教員に質問をして自分のペースで勉強ができます。
夜間部の注意点としては、講義は夜間でも実習は日中に医療機関などに出向かないといけません。そのため、実習期間中は仕事を休むなどして丸一日時間を確保する必要があります。さらに、夜間部であってもレポートなどの課題もあるため働きながら勉強時間の確保も必要です。学校によっては土曜日に講義を開講する場合も。時間を有効活用できる分、自分で勉学と仕事の調整をしメリハリをつけた生活をしていくことが求められます。
7.作業療法士(OT)を目指す2年制の専門学校はある?
結論から述べると、2年制の専門学校はありません。
作業療法士の資格取得において、2年制の学校がない理由は、教育に必要なカリキュラムの量や実習時間の確保に関係しています。作業療法士の資格を取得するには、医学、心理学、リハビリテーションなど幅広い専門知識を学ぶ必要があり、また、臨床実習での経験も重要です。このため、知識と技術を十分に身に付けるためには、3~4年の教育期間が求められます。
具体的には、国家資格の取得要件として定められた学習カリキュラムと実習時間のクリアが必要です。日本の文部科学省の規定では、作業療法士になるためには、3年以上の専門教育が必須とされています。2年制では、こうした学習内容を網羅することが難しく、質の高い実践力を身に付けるのも困難とされています。
8.養成校への入学に年齢制限はある?
養成校の入学には年齢制限はありません。実際、私の出身校では40代、50代の方が入学しており、年齢が理由で入試を落とされることはありませんでした。中高年で養成校に入学する方は、作業療法士(OT)としての現場での活躍を目指す方が多いですが、なかには向学を目標としている方もいました。
年齢の高さが原因でOTになれないことはない
養成校の入学に年齢制限がないように、国家試験の取得にも年齢制限はありません。OT免許を取得すれば更新もないので、定年のない職場なら長く働けます。実際、総合病院などでは定年制度を設けていますが、教育機関や小規模の職場(通所サービスや訪問サービスなど)では再雇用制度もあるので、年齢にとらわれずに働けるのがOTの強みです。
また、就職においては競争率の高い総合病院などでは、採用者は「できる限り長く働いてほしい」と考える傾向にあるため、もしかすると若い方よりはわずかに不利かもしれません。しかし、OTは需要が高い職種なので、職場を選べば就職ができないことはまずないでしょう。
学校生活のなかでは、若い方よりも負担を感じるときもある
中高年の方がOTを目指すとなると、若い方よりも大変と感じる場面は多くあるでしょう。一つ目は「記憶力」です。OTの専門知識は膨大で、暗記も多く求められます。それこそ、1年生の時には全身の筋肉、骨などの名称、臓器の位置などを細かく覚えなければならず、年齢問わず学生は苦労します。
そして二つ目は「体力」です。実習などでは、知識の習得やレポートの作成などで、睡眠時間が大幅に削られることもあり疲労がたまります。そんななかで体調を崩さないよう、自己管理が求められます。特に1~2週間などの短い実習では数日欠席してしまうだけで「留年」に直結します。睡眠不足のなかでも体調を崩せない、休めないという体力勝負が求められるのは否めません。そして、実際にOTになれば患者さんを抱えるなどの体力仕事も避けては通れません。
これらの理由からいくつでもOTは目指せますが、年齢が上がればある程度の覚悟は必要といえるでしょう。
9.大学院を目指すなら
作業療法をより深く学び研究したい方には、大学院という選択があります。大学院に進学するためには、大学で作業療法の専門課程を卒業して学士号を取得することが必要です。もし作業療法士(OT)を目指した段階で、将来的に大学院進学を視野に入れているのなら、院を持つ大学に進学するのもおすすめです。内部進学であれば、教員や先輩から情報を集めやすく院での生活もイメージしやすいでしょう。
そして、4年制の専門学校でも大学院進学は可能です。「高度専門士」の学位が得られる専門学校を卒業していれば、大学院へ進学ができます。しかし3年制の専門学校では、卒業しても「専門士」の学位しか取得できず、大学院を目指す場合は大学への編入が必要になりますのでご注意ください。
OT業界では、新卒の頃は大学院進学を考えていなくても、現場でOTとして活躍するうちに研究してもっと知識を深めたいと大学院進学を志す方もいます。私の職場にも、働きながらもしくは一時的に休職をして大学院へ進学するOTもいました。職場によってはシフトを考慮してくれたり、休職制度を利用して退職せずに進学できるようにしてくれたりするところもあり、向学のためのサポートは得やすいのがOTの魅力です。
大学院に進学するメリットとしては、自分の興味のある分野をより深く研究できることでしょう。キャリアを高める証明の一つになり、将来転職する際にも選択肢の幅が広がります。特に教員など後進指導の道を志す方におすすめです。
10.卒業する学校によって就職後の給料や年収は変わる?
勤務先によっては専門学校卒業よりも大学卒業の方が初任給はわずかに良い場合があります。具体的な差額は職場によって異なりますが、国公立系の総合病院では1万5千円~1万円程度、民間の総合病院では1万円弱~5千円程度の差額が生じる傾向にあります。
私が実際に働いてみたり、求人を調べてみたりして感じた傾向としては、差額があるのは総合病院などの規模の大きい職場が多いです。反対に放課後等デイサービスや高齢者向け通所デイサービス、訪問リハビリなど、小規模の職場では大卒と専門卒とで差はないことが多いです。しかし、小規模の現場は即戦力となる中途採用の方が需要が高いので、そもそも新卒採用は少ない…という実情も影響しているかもしれません。
大卒か専門卒かで差がつくのは正社員であり、非常勤では条件は変わらないところがほとんどです。また、入職の時点で大卒か専門卒かで基本給に差がつくことが多いですが、中途採用であればそれまでのキャリア年数やスキルが給料に加算されるので、一概に専門卒が損をするとも言えないでしょう。
総合病院などの大きい組織に新卒で入職して、転職はせずに定年まで働き続けるのであれば、専門卒よりも大卒の方が若干得かもしれません。しかし、作業療法士(OT)は求人が豊富であり、自分の働きたい・挑戦してみたい分野が変わったりしたとき、結婚や出産でライフスタイルが変わったりしたときに転職しやすい業種です。実際スキルを磨いてより給料の良い職場に転職するOTも多いので、あまり大卒か否かはこだわらなくてもいいと私は感じています。
それよりも、自分が学びたいと思える環境がそろっているのか、自分の意向を優先して養成校を選ぶことをおすすめします。
11.作業療法士(OT)を目指せる全国の大学・短大一覧
作業療法士(OT)を目指せる養成校は全国に多くあります。日本作業療法士協会では、全国の養成校をわかりやすく一覧でまとめています。定員や学ぶ年数も記載しているので、ぜひ参考にしてみてください。
こちらでは大学・短大一覧を抜粋しており、学校名から公式サイトへアクセスできます。
大学一覧
短大一覧
学校名 | 都道府県 | 課程 |
平成医療短期大学リハビリテーション学科作業療法専攻 | 岐阜 | 3年 |
愛知医療学院短期大学リハビリテーション学科作業療法学専攻 | 愛知 | 3年 |
大和大学白鳳短期大学部総合人間学科リハビリテーション学専攻作業療法学課程 | 奈良 | 3年 |
仙台青葉学院短期大学リハビリテーション学科作業療法学専攻 | 宮城 | 3年 |
【参照】日本作業療法士協会 作業療法士養成校一覧(2024年度)
12.まとめ
ここまで記事を読んで、養成校の選びには多くのポイントがあると知っていただけましたか。「養成校選びのポイントがわからない…」という方が、具体的なポイントやその内容のイメージがつかめるのにお役に立てれば、とても嬉しいです。
自分に合った養成校選びは、まず自分がどんな作業療法士(OT)になりたいのか、どんな教育を重点的に受けたいのか、プライベートも含めてどんな学生生活を送りたいのかを明確にすることから始まります。
それらを明確にしたうえで、公式ホームページやパンフレットなどで情報を集めたり、オープンキャンパスに参加して学校の雰囲気を直に感じたりして、自分に合った養成校を選んでみてください。
不明点があれば、是非PTOT人材バンクのキャリアパートナーに遠慮なくご相談ください。
作業療法士(OT)の求人・転職情報はこちら
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【参照サイト】
日本作業療法士協会 作業療法士養成校一覧(2024年度)
e-Gov法令検索 専門職短期大学設置基準
e-Gov法令検索 専修学校設置基準
世界作業療法士連盟 世界作業療法士連盟へようこそ
日本作業療法士協会 WFOT養成施設認可の目的と意義
厚生労働省 理学療法士・作業療法士学校養成施設カリキュラム等改善検討会報告書(概要)