作業療法士(OT)は国家資格であり、結婚や出産、転職などでしばらくの間ブランクがあったとしても、またOTとして現場復帰できる職業です。

しかしながら、ブランクが長い場合や、出産子育てなどで家庭の状況が変化した際に復帰する場合には、大きな不安を抱えてしまうこともあります。

そこで、OTとしてブランクがありながらも復職する場合のよくある不安点をご紹介しながら、それらを解消していくためのポイントをお伝えしていきますので、これから復職を考えている方は、ぜひ参考にしてください。

1.作業療法士(OT)はブランクがあっても復職できる

OTの場合は一度手にした国家資格は基本的に失われることがなく、一度免許を取得すれば、退職後にブランクがあったとしても、いつでも復職できるというのが魅力の一つです。

そのため、結婚や出産を機に一度退職し子育てに専念していたけれど、子どもが保育園や小学校に行く入るタイミングで復職するという方は多いです。

また、OTとして仕事を続けてきたけれど、一度他の仕事にも就いてみたいと退職し、様々な経験を活かして再び復職する方もいらっしゃいます。

私自身、出産子育てのタイミングで一度OTを退職しましたが、いずれまたOTとして復職したいと考えております。

2.復職する時の主な4つの不安

スキルの衰えに対する不安

作業療法士(OT)のような医療専門職の場合、十数年のブランクを経て復職する方も珍しくありません。知識や経験は現場を離れていると少なからず忘れてしまうこともあります。

そんな中で同年代のOTはどんどん経験を積み、新しい世代も活躍しているに飛び込むのは勇気がいることだと思います。

しかし、そこは働きながら徐々に感覚を戻していけば問題ありませんし、職場内でのコミュニケーションを大切にしていき、情報共有や感覚を取り戻す練習相手になってもらうと良いでしょう。

新しい知識に関しては、復職前に最近の医療・リハビリの動向について調べておくと「復帰してわからないことだらけ…!」という状況を回避できます。

医療・介護保険など制度の変化に対する不安

病院や施設、事業所などでは働くことが多いOTは、医療や介護保険制度の中でリハビリを提供することになります。

医療診療報酬改定は2年毎、介護報酬改定は3年毎に実施されています。

そのため、OTを離職している間にリハビリ環境において重要な制度が変わり、ついていけないのではないかという不安を抱えることがあります。

この不安に対し有効だと考えるのが、日本作業療法士協会から定期的に発行されている機関誌をチェックすることです。この協会誌には、最新の制度事情やOTに必要な情報が協会から発信されているため、時間がない方でも必要な情報をピンポイントに得ることができるのです。

職場環境の変化に対する不安

医療分野のように変化の激しい職場では、たった数年の間にシステムがガラッと変わってしまうのはよくあることです。医療技術はもちろん、電子カルテや患者認証システムといったICTの進化について行けないのでは…と不安を感じてしまうのも無理はありません。

しかし、このような環境の変化は誰もが戸惑うものです。「自分だけついて行けない」と考えず、徐々に使いながら慣れていくことが大切です。

家事・育児との両立に対する不安

小さなお子さんがいて復職を考える場合、「家事・育児との両立」も不安要素のひとつです。子どもの急な発熱や幼稚園・学校の行事など、何かと仕事を休むことが多くなるため、「職場に迷惑をかけるのでは…」と復職をためらう人も少なくはありません。

復職先を選ぶ際は、子育て中のスタッフや管理者がいる職場を選ぶと、状況を理解してもらいやすく心理的負担が少なくなります。家事に関しては、「今までのように十分な時間はかけられない」と割り切りましょう。

子育ても家事も…とすべてを一人で抱えようとせず、復職前にパートナーと役割分担を話し合っておくことが復職をスムーズにする秘訣です。

3.作業療法士(OT)として復職する際のポイント

長期のブランクを経て復職する場合、職場見学や面接の際にぜひ確認しておきたいことをいくつかご紹介します。

職場に直接聞きにくいことでもPTOT人材バンクの担当者が間に立って質問してくれますので、就職を決断する前に納得のいくまでしっかりと確認するようにしましょう。

託児所の有無

託児所が併設されている職場は送迎時間が短縮するのはもちろん、急病時の対応もスムーズにできるため安心です。「保育園探しが大変」という方は、職場探しの時点で「託児所あり」の施設に絞ってみるのも良いでしょう。

しかし、注意していただきたい点は、託児所が併設されている職場であっても必ず利用できるとは限りらないということです。職場によっては希望者に対し定員が少なく、看護師が優先される職場もあるため、託児所の定員と対象の職員をしっかり確認しましょう。

セラピストの人数

人員に余裕のない職場に就職すると、ブランクがあって不安要素が多くともいきなり担当を任されてしまうということも考えられます。

常に忙しく、業務に追われているスタッフが多い職場の場合、入職直後でわからない点を質問することも気が引けるかもしれません。

そういった職場であると、お子さんの体調不良などで急な休みにも対応が難しいことも多いです。

規定の人員配置基準に対し、セラピストは何人いて、一人当たりおよそ何人を担当しているのかを聞いてみるなどして業務量を確認してみましょう。

勤務領域と残業の有無

勤務する病院や施設、領域によって、それぞれ忙しさが異なります。

急性期病院は特に、日々の業務や勉強会等で忙しく、残業があることも考えられます。仕事と家庭のバランスをとりながら無理なく働きたいという方は、比較的ゆとりをもって働くことができる老年期障害領域の施設や訪問リハビリ等を選ぶことをおすすめします。

就職する前に、残業の有無は確認しておいた方が良いでしょう。

休暇や勤務形態の変化に柔軟な職場かどうか

ブランクを経て復職する場合、いきなりフルタイムで勤務するというのは心理的ハードルが高かったりもすると思います。

そんな時は、「始めはパート勤務や時短勤務で復職し、いずれは常勤で働きたい」「子供の成長に応じて徐々に勤務時間を増やしていきたい」など、勤務形態や条件に融通のきく職場を選ぶと良いでしょう。

お子様がいる方にとっては、看護休暇が使えるかも重要なポイントです。職場によって取得できる休暇内容が異なる場合がありますので、就業規則や福利厚生なども確認してみましょう。

子育て中のママセラピストが多く働いている職場は、比較的子育てに理解があり、働きやすい職場である場合が多いですので、どんな方が働いているかも見学の際にチェックしてみると良いですね。

中途採用者への教育体制

長期ブランクを経て復職する場合、「一から学び直す」気持ちで現場に戻る方がほとんどです。復職先を選ぶ際は、教育体制や中途採用者への指導がどのように行われているか確認することが大切です。

数年ぶりの復職にも関わらず、復職先のスタッフからは「経験者」と見られて十分な指導が受けられない…という声も耳にします。「一から学びなおしたい」という方は、中途採用者やブランク者への教育・指導体制が整っている職場を選ぶようにしましょう。

4.まとめ

ブランクが長くなればなるほど、復職に対する不安は大きくなりますよね。

しかし、せっかく取得した資格を活かさないのももったいないですし、OTは働く場所も多様化してきているため、あなたに合った職場がきっと見つかるはずです。

今の状況やこれからのライフステージを考え、無理なく働ける職場を見つけることが大切ですので、PTOT人材バンクなどを有効活用しながら、復職に向けて一歩踏み出してみてくださいね。

それでも不安や不明点があれば、一度PTOT人材バンクのキャリアパートナーにご相談してみてはいかがでしょうか。

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