臨床現場で活躍できる作業療法士(OT)になるには、何が必要だと思いますか?

知識や技術はもちろんですが、「社会人としての資質」も重要です。自らの発言やふるまいにより相手を不快にさせるような人は、どんなに知識があっても患者さんや職場仲間からの信頼は得られません。

ここでは、そんな「ダメなOT」についてまとめました。ご自身の日ごろのふるまいに当てはまらないか…ぜひ確認してみてください。

1.ダメな作業療法士(OT)の6つの特徴

ここでは、「ダメな作業療法士」に当てはまる行動や発言などを詳しく解説していきます。

①.挨拶ができない

挨拶ができることは社会人としての基本です。もちろん、相手と目を合わさず、小さい声でボソボソと話すような挨拶は逆効果です。

相手の目を見て、笑顔でハキハキと挨拶をすることを心がけましょう。挨拶を通して、自分の顔や名前を相手に憶えてもらえるきっかけにもなり、その後の人間関係の構築を助けてくれるでしょう。

そして、「おはようございます」「お疲れ様です」などの基本的な挨拶に加え、相手に助けてもらったり、優しくしてもらったりしたときには「ありがとうございます」と必ずお礼を言うことを心がけましょう。

職場は皆でフォローし合って回っています。「やってもらって当たり前」という気持ちは捨て、どんな些細なことでも相手に感謝を伝えるようにしましょう。そうすることで、気持ちの良い職場づくりにつながります。

②.敬語が使えない

スタッフや患者さんと話すときは、基本的に敬語を使うようにしましょう。親しさを表現するために必要以上にくだけた言葉を使うと、相手に不快感を与えてしまう恐れがあります。

転職したときは、さらに注意が必要です。自分よりも若いスタッフであっても先に入職していれば「先輩」にあたります。社会人経験を経てOTになった方では、自分よりも年齢が若いスタッフに指導を受けることも珍しくありません。

「この人は年下だから敬語じゃなくてもいいや」と思わず、年齢に関係なくすべてのスタッフに敬意を持って接するようにしましょう。

私の職場で実際にあった例では、ご高齢の患者さんに親しみを感じてしまうあまりに、まるで「自らのおばあちゃん」であるかのようにフレンドリーにふるまいすぎてしまうスタッフがいました。

物腰が柔らかい性格の高齢者に対して、親しみやすく感じることもあるでしょう。ご高齢の患者さんの中には、20代のOTを孫のように親しみをもって接してくれた方もいらっしゃいました。

しかし、私たちにとって「患者さん」であることを忘れてはいけません。たとえ、ご高齢の患者さんが不快に思わなくても、そのご家族はどう思うでしょうか。

自分の大切な父親や母親が、自分より若いスタッフに名字でなく名前で呼ばれていたり、タメ口で話されていたりしたらきっと不快に思うはずです。

③.分からないことを質問できない

OTの中には、「分からないことは尋ねる」という基本的なことができない方もいます。質問できない背景には、以下のものが考えられます。

  1. 自分が「できない」「わからない」ことを相手に知られるのが恥ずかしいと感じる
  2. 相手が忙しいと、どのタイミングで質問していいのかわからない
  3. 何がわからないのかがわからない

1のパターンの方に伝えたいことは、「時間がたつにつれてどんどん質問しづらくなる」「キャリアが伸びれば、『知っていて当たり前』になってしまう」ということです。

新卒の方や転職したばかりの方は、ほかのスタッフよりもわからないことが多くて当たり前です。わからないことはどんどん質問して、仕事を覚えるように努力をすることが、成長への近道です。

「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」ということわざがあるように、わからないことをそのままにすれば、ずっとわからないまま仕事を続ける可能性もあります。そうなると、ミスにつながることもあり、OTとして信頼を得ることもできません。

2のパターンは、新卒の方によくあるかもしれません。先輩スタッフが忙しそうに働いていると、「こんなことを質問していいのだろうか…」と、質問してしまうタイミングを逃してしまうこともありますよね。

その場合、質問するときに、「〇〇について質問したいのですが、今よろしいですか?(もしくは、今日どこかでお時間をいただけませんか?)」と一言聞くといいでしょう。相手の都合を考えたうえで、質問できるようになると、相手からも好感を得られます。

3のパターンは、たとえばリハビリの訓練内容について知りたくても、どう質問していいのかわからなくなってしまう場合などがあります。質問するときに大切なことは、質問する前に自分で考える努力をすることです。

まったく自分で考えず、すぐに誰かに聞いて問題解決しようとする姿勢は、「やる気がない」「積極性に欠ける」などと評価を下げ、相手も教えてあげようという気持ちが失せてしまうでしょう。

自分で調べたり考えたりしても、それでもわからなかった場合は、素直に聞くのが一番です。「自分はこうだと思ったのですが、○○はわかりませんでした。どうすればいいでしょうか?」などと、自分で考えたところも併せて聞くと、相手が何を教えたらいいのかがわかりやすくなります。

④.協調性が欠落している

リハビリは、患者さんとの1対1の訓練となることが多いですが、ほかのスタッフと連携は必要不可欠です。

リハビリ時間を設定するときも、病棟(または施設)のスケジュールとすり合わせないといけないですし、リハビリ室を使う時はほかのリハスタッフの都合も踏まえて使う必要があります。

また、OT以外に理学療法士(PT)や言語聴覚士(ST)の訓練も受けている患者さんの場合は、患者さんの目標に合わせて他職種同士で訓練内容をすり合わせていくことが大切です。

「自分が思ったリハビリができれば、それでいい」という、協調性のない考え方では効果的なリハビリは提供できないのです。協調性がないOTは、ほかのスタッフに迷惑をかけることはもちろん、患者さんにとっても良いOTとは言えないのです。

特に新卒の方は、慣れないOT業務を覚えることに必死で、周りの状況に気を配ることができないかもしれません。そんなときは、意識的に周囲の状況を観察し、コミュニケーションを密にとりながら、円滑に業務が進むよう心がけてみましょう。

⑤.遅刻が多い

遅刻をしないことは、社会人として当たり前のことです。遅刻をしないよう、余裕を持って早めに出勤することを心がけましょう。

万が一、遅刻をしそうになってしまったら、わかった時点で職場に連絡を入れることがマナーです。遅刻しそうになる理由は「寝坊をしてしまった」「通勤途中で体調が悪くなってしまった」など様々ですが、次は同じことを繰り返さないよう、必ず改善策を練るようにしましょう。

⑥.注意をされたときに言い訳をする

一生懸命仕事をしていたとしても、ときには自分のミスや力不足について、指導を受けることもあるでしょう。しかし、なかには注意されたり叱られたりしたときに、素直に謝ることができずに言い訳をしてしまう方もいます。

基本的には、指導をする方は、指導される相手に成長してほしくて厳しい言葉を言っていることが大半です。注意を受けたときには、ひとまず素直に謝ることが大切です。

そのうえで、知っておいてほしいことがあれば、「実はあのときはこういった状況で、○○してしまったのですが、配慮が足りませんでした。次からは気を付けます。申し訳ありません。」などと、発言の仕方に気をつけながら、思いを伝えることが大切です。

注意をされたときに、悔しくてついカッとなりやすい性格の方も、なかにはいるかもしれません。そんなときは、一呼吸して、冷静になれるよう心がけるようにしましょう。カッとなりやすい方は、「一呼吸する」「一瞬目を閉じる」「5秒数えてから発言する」など、自分が落ち着ける儀式のようなものを知っておくといいかもしれません。

注意を受けると、落ち込んでしまったり、悔しくなったりしてしまう気持ちはとてもよくわかります。しかし、その注意を受け止め、悔しさや悲しさをバネにして、仕事に対して前向きに取り組むことで、OTとしての成長につながるでしょう。

2.できる作業療法士(OT)になるために

ここでは、前項のダメな作業療法士(OT)の特徴を踏まえて、どうしたら「できるOT」になれるのかを考えていきましょう。

社会人としてのマナーを身に付ける

まず、新人の方に覚えておいてほしいことが「社会人としてのマナー」です。具体的には以下のことが挙げられます。

  • 挨拶をしっかりする
  • 相手に敬意を払ったコミュニケーションを心がける
  • 時間やルールを守る
  • 身だしなみに気を配る
  • 「ほうれんそう(報告・連絡・相談)」を忘れない
  • 体調管理をしっかりする

特に、体調管理は社会人としてとても大切なことです。新卒で真面目すぎる方は、仕事に時間がかかりつい残業しすぎてしまったり、わからないことを調べて没頭しすぎるうちに睡眠時間を削ったりしすぎてしまうということもあるかもしれません。

しかし、無理をすれば必ず体調を崩してしまいます。すると、かえって職場に迷惑をかけることにもつながります。

相手の意見を聞けるOTになる

前項でも述べましたが、先輩スタッフの意見にはしっかり耳を傾けましょう。

アドバイスはもちろん、注意など耳が痛くなることでも、相手の意見をしっかりと聞くことが大切です。第三者の意見を取り入れることで、ときに自分が知らなかった知識や技術を得るきっかけになり、自分の成長につながったり、新たなものの見方ができるようになったりします。

「意見を聞く相手」は、OTだけに限らず、理学療法士(PT)や言語聴覚士(ST)、看護師(Ns)といった他職種、患者さんやそのご家族も含みます。第三者からの意見は、ある意味で自分を客観視してくれているので、自分が気づかなかった視点に気づけることもあるのです。

また、リハビリをしていると、同じ患者さんを受け持つPTやSTと治療方針が異なることもあるでしょう。意見の食い違いには、「患者さんを良くしたい」という思いが根底にあります。

そんなときは、自分の意見ばかりを主張せず、相手の思いを汲みながら、意見をすり合わせていくことが大切です。そうすることで、より良いリハビリ方法やゴールが見つかるでしょう。

自分の意見も発信できるOTになる

自分の意見・考えを持つということは、OTにはとても大切です。OTは患者さんの意見を聞きながら、患者さんのゴールに近づくために、リハビリ方法や環境調整を積極的に行っていく立場にあります。

特に身体障害の患者さんに対して、OTは日常生活動作(ADL)に重きを置いた訓練をすることが多いです。

自宅退院予定の患者さんのカンファレンスでは、できる能力に見合った自宅の環境設定(住宅改修や家具のレイアウト変更など)について積極的に発言を求められる場面も少なくありません。

もちろん、患者さんやそのご家族から直接相談を受けることも多いので、自分の考えをわかりやすく相手に伝えられる能力は必要不可欠です。

さらに、勤続年数が増えてくれば、学会発表などを勧める職場もあるでしょう。自らの治療成果をまとめ、院内・院外問わず発表することは容易なことではありません。労力を要することではありますが、その分自分の知識を深め、キャリアアップに貢献してくれるでしょう。

リハビリの知識や技術を高める努力ができるOTになる

リハビリの知識・技術は常に進化しているものであり、できるOTになるには自己研鑽が欠かせません。

仕事でわからなかったことがあれば、積極的に文献で調べたり、先輩に質問したりする努力が必要です。ときには、職場以外で実施される勉強会などに参加して、新たな治療方法などを学ぶことも効果的です。

今までに自分が学んだことを後輩に伝えられるOTになる

最後に、できるOTは後進指導にも尽力できる人であることも多いです。自分の得た知識・技術を他者にわかりやすく伝えるというのは、案外難しいものです。自らの知識を相手が理解できるように伝えるには、その内容をしっかりと自らが熟知している必要があります。

そのため、後進指導にあたることで、自身の学習の再確認につながったり、コミュニケーションスキルなどが上がったりする効果もあるのです。

また、後進指導をすることで、後々自分をサポートしてくれる人材が育ち、より自らが働きやすい環境づくりにつながっていきます。

3.作業療法士(OT)として不安になった方へ

ここまで、ダメなOTの特徴を述べてきましたが、OTを目指している方や新卒の方などは、「自分はできるOTになれるだろうか…」と不安になってしまった方もいるかもしれません。

そんな方には、まず、社会人としてできることを頑張ってもらえるとよいでしょう。

特に、2章でお伝えした「社会人としてのマナーを身に付ける」「相手の意見を聞く」というのは、意識的に直していくことで、変化が現れやすいポイントです。

自分だったらどんなOTと一緒に働きたいか、どんなOTにリハビリをしてもらいたいかを想像し、その人物に近づけるよう、今までの自分の表情や服装、話し方、行動などを一度見直してみるといいでしょう。

自分の改善点が分かったら、できるかぎり直す努力をしてみましょう。直すのに時間はかかっても、毎日意識することで、自然となりたい自分に近づくことができます。

もし、自分ではどこを直したらいいのかわからないと思った方は、家族や友人など、素の自分をよく知っている相手に相談してみてはいかがでしょうか。

自分では気づかない改善点を見つけてくれるきっかけになるかもしれません。そのほか、過去に教員や先輩などに注意されたことを振り返ってみると、自分の改善点がわかってくるかもしれません。

これらのことを意識すると、改善点だけでなく、自分の良いところも見つけられると思います。改善すべきところは直しながらも、自分の良いところを積極的に伸ばすことで、できるOTに近づけるでしょう。

4.まとめ

これまで「ダメなOT」「できるOT」について解説してきました。もし、「ダメなOT」に当てはまってしまうことがあれば、それらの改善を試みて、ご自身の理想とするOTに近づいてみてください。

また、後進指導に当たっている方で、これまで述べた問題点に当てはまる後輩がいる場合は、問題点の対応方法として参考にしてもらえると嬉しいです。

お悩みの際は、是非PTOT人材バンクのキャリアパートナーに遠慮なくご相談ください。

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