作業療法士(OT)になるには、大学や専門学校で専門的な知識を身につけるだけでなく、国家試験に合格しなければなりません。
今回は作業療法士の国家試験対策として、過去問の出題傾向や効果的な活用法、おすすめの勉強法について現役OTが解説します。
目次
1.現役OTが解説!過去問の出題傾向や活用法、勉強法
国家試験に向けてどのように勉強していくと良いのでしょうか?国家試験に合格し、OT資格を持つ私の体験も交えながら、効率よく学習を進めるポイントをお伝えします。
出題内容(筆記試験科目)については、以下でご紹介しています。
第60回作業療法士国家試験の合格発表、合格率や合格点、難易度など【2025年】
過去問は厚生労働省のサイトからチェック!
厚生労働省は過去の試験問題と解答を公開しています。これを活用することで、養成校で学んだ知識がどのように出題されるかを把握したり、出題傾向を理解し、効率的に対策を立てたりすることが可能です。さらに、問題数を把握することで、試験本番での解答ペースを調整するのにも役立ちます。
(出典:厚生労働省 | 第59回理学療法士国家試験、第59回作業療法士国家試験の問題および正答について)
得点の多い実地問題で点数を稼げるようポイントを抑える
実地問題を正解するためのポイントは2つあります。
1つ目は、一般問題つまりは「基礎知識の定着」をコツコツと進めておくことです。
実地問題を解けるようになるには、ひたすら実地問題の過去問だけを解けばいいというわけではありません。なぜなら実地問題はOTとしての知識を総合的に用いて答えを導き出す問題が多いのです。解剖学や運動学、各疾患の特徴などの基本の知識があることを前提に、治療方法などを考察していく必要があるのです。
しかし、基礎知識の定着を国家試験勉強の追い込みの時期にしていては間に合いません。最終学年の前半のうちに自分の苦手な基礎科目を重点的に勉強するなどして、苦手な知識をしっかりと身に着けるようにしましょう。基礎を固めることでおのずと応用問題も理解できるようになっていきます。
そして、2つ目に大事なのは、過去問を最低でも5年分、もし手に入るようならそれ以上の年数の問題を解き、「実地問題の傾向をつかむ」ことです。実地問題に取り扱われる内容は細かい違いはあれど大きくは変わりません。たとえば脳血管疾患や整形疾患、装具(スプリント)などは出題頻度が高いです。過去問を何度も解くことで自分の苦手の傾向を知れるだけでなく、出題傾向をつかんで効率よく勉強できるのです。
過去問の答えは自分で説明できるぐらい理解を深めよう
上記の項目を見て、過去問で出題傾向を把握することの大切さはわかっていただけたと思います。しかし、過去問を解く際の注意点があります。それは「過去問の答えを暗記しないこと」です。何回も繰り返し過去問を解くと、過去問の答えを覚えてしまう場合もあるでしょう。しかし、それでわかった気になってしまうのは非常に危険です。なぜなら、本番の国家試験では似たような問題が出ることはあっても、過去問と同じ問題が出ることは絶対にないのです。過去問が解けても、なぜその答えを導き出せるのかという根拠が分かっていなければ本番では正答は得られません。
実際私も過去問を暗記してしまい、学校で国試対策の小テスト(過去問を抜粋した問題)があると問題文を見ただけで答えを選べるようになってしまいました。私は「これではまずい!暗記力に頼ってしまって、小テストでは自分の本当の理解度がわからない…」と思い、なぜその答えになるのか自分の言葉で説明できるようにしました。
まず国家試験の問題集の解答をしっかり読み込み、その中でわかりづらいところは教科書で調べ直しました。そして自宅での学習では、解説をしながら答えを導き出すようにしました。自分の言葉で話すことで知識が整理され、おのずと理解できているところとそうでないところがわかり勉強するポイントが明確になったのです。
アプリやブログの活用も
最近では国家試験対策向けのアプリがあり、過去問を解いて間違えた問題だけを繰り返し解き直せたり、正解率が表示されたりする機能もあるようです。対策法について書かれたブログやTwitterなどのSNSもあるようですので、それらも参考にしながら自分に合った勉強法を見つけるのもよいかもしれません。
2.短期集中で国試を乗り切るポイント
作業療法士養成校では最終学年時に一番大切な臨床実習を行うことが多いです。それに加え国家試験の勉強もしていかなければならないため、短期集中型でいかに効率よく勉強していくかが重要になるでしょう。
私の卒業した養成校では、4年生になると国家試験対策が始まり模擬試験などを受け始めますが、臨床実習が12月初旬まで詰まっていましたので、本格的な国家試験の勉強を行ったのは12月から2月末の試験当日までの約3ヶ月間でした。
その3ヶ月間は皆朝から晩までほぼ休日も関係なく学校に籠り、ひたすら参考書や過去問を使って勉強する日々です。一人の勉強では集中やモチベーションを保てないこともあるので、ときにはクラスメイトと問題を教えあい切磋琢磨したり、国試対策を知り尽くした教員に相談したりすることも大切です。
もしまだ養成学校を悩んでいる段階の方であれば、国家試験対策にも力を入れている学校を選ぶのも一つの手でしょう。
3.まとめ
今回は、作業療法士(OT)国家試験の過去問の出題傾向や勉強法についてお伝えしました。
過去問は厚生労働省のサイトで公開されており、出題傾向の把握や解答ペースの確認に役立ちます。特に実地問題では、基礎知識の定着と過去問の分析が重要です。最低5年分の過去問を解き、頻出テーマを押さえましょう。また、過去問の答えを暗記するのではなく、解答の根拠を理解することが大切です。アプリやSNSを活用するのも効果的です。
さらに、最終学年では臨床実習と並行して短期間で集中的に勉強する必要があります。クラスメイトとの協力や積極的に教員に頼ることで、モチベーションを維持しやすくなります。
勉強を重ねるほど不安になるかもしれませんが、学んだ知識は国家試験のためだけでなく、OTとして働き始めたときに大いに役立ちます。未来の自分や患者さんのためにも、自信を持って取り組んでください!
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