作業療法士(OT)は病院や施設、就労支援事業所など働く場所の選択肢が様々あり、数年で転職を経験することで様々な知識と経験を得て個人の技術を高めていく人が多い業界です。

その中でも、病院勤務は教育体制が整っており、様々な病期・症例を診ることができるため、
OTとして学びの多い現場です。採用人数も多いため、いつの時代も一番多く選ばれています。

今回は、そんな病院勤務の実態について、メリットデメリットを踏まえてご紹介していきます。

人気ではありますが、最終的には自身の興味のある分野やリハビリを通してどんな支援をしていきたいかで働く場所を決めていくことが一番ですので、ぜひ職場選びの参考にしてみてください。

1.病院勤務の作業療法士(OT)の1日

病院勤務では、一日を通してリハビリの時間が詰まっていることが多い職場です。

リハビリ時間や内容は患者様一人ひとりに合わせたものが設定され、20~60分のプログラムを午前午後共に3~4名程度実施します。

曜日によっては、業務時間内に患者様の状態を多職種で話し合うカンファレンスが開かれます。また、勉強会や症例検討などが業務終了後に実施されることもあり、特に病院勤務は多いといわれています。

以前、病院勤務の友人と会った際に、「思った以上に多くて大変だけど勉強になる」という話をしたのを覚えています。

時間イメージ業務内容
8:30~8:45出勤、準備
8:45~9:00ミーティング(朝礼)
9:00~12:30リハビリ
12:30~13:30昼食休憩
13:30~15:40リハビリ
15:40~16:40カンファレンス
16:40~17:30事務作業、掃除片付け、業務終了
17:30~18:30勉強会(実施される日もある)

2.年収や給料の仕組み

作業療法士(OT)の年収や給料はどのくらいなのか。多職種との比較や給料UPの実状を詳しくご紹介していきます。

年収の平均は約427万円

作業療法士と理学療法士では給与額はほぼ同じです。毎年厚労省が調査している賃金構造基本統計調査の令和3年版のデータによると、理学療法士や作業療法士、機能訓練士との合算ではありますが、OTの月給は約29万円、ボーナスが約70万円であり、年収の平均は426.5万円とされています。(残業代や交通費込)

調査機関は異なりますが、国税庁のデータによると日本の平均年収は467万円であるため、OTの年収は平均よりも若干少ないのかもしれません。

しかし、医療や介護分野の中で考えると経験上OTの年収は決して低い方ではありません。

病院勤務の給料は上限が決まっている

病院勤務のOTの場合、給料は上限がある程度決まっています。

年数を重ねることでわずかながら給料はUPしますが、病院の経営上リハビリや医療行為で得られる点数にはルールが決められており、リハビリの提供数や1日に担当できる患者様の数が決まっているため、売上に大きな変動がないことがその理由です。

そのため、長年勤務したからと言って大幅に給与がUPするということは難しいでしょう。

年収UPは昇進か他業種への転職

病院勤務のOTが年収をUPさせたい場合には、リーダー・管理職へ昇進することでリハビリ以外の貢献度を高めていくことが一般的ですが、給料を優先する場合は経験を積んだ後に他業種へ転職する方法もあります。

OTの活躍の場は医療機関だけではありません。近年では、訪問リハビリで訪問件数を増やすことでインセンティブ制を導入している事業所も増えてきています。頑張りが給料に反映される場所で働くというのも年収をUPさせる一つの手段だと言えるのです。

3.作業療法士(OT)が病院勤務する魅力

OTが病院勤務は、勉強会が多くなりがちなことや大幅な給料UPを望むことが難しいなど、ネガティブな面も確かにありますが、それ以上に多くの方が病院勤務を希望する理由があります。ここからは、病院勤務する魅力を一つずつご紹介していきます。

病期や症例の幅が広い

病院で働くと、リハビリテーション科に所属し、急性期から回復期など幅広い病期、様々な疾患の方を担当することになります。

また、入院や通院できる期間も短いため、患者さんの回転率も速く、かなり多くの症例を診ることができるのです。

数多くのスタッフと関わる

様々な疾患の方をリハビリテーション科として担当するため、病院では多職種連携がとても重要です。医師や看護師、介護士、ソーシャルワーカー、栄養士、薬剤師など、それぞれの分野の情報交換を密に行い、退院までを総合的にサポートするのです。

そのため、リハビリの知識経験だけではなく、医療・介護分野では大事な多職種連携を実践の場で経験しながら学んでいくことができるのが病院勤務の一つの魅力とも言えます。

OTは病院勤務から始める人が多い

10年以上の経験があると、最もやりたい分野をベースとして自分に合った勤務先を選びますが、新卒で知識や経験が浅いうちは少数で働く現場に出るには勇気が必要です。

病院勤務では経験豊富な先輩も多く、教育体制が整っている職場がほとんどです。医師の近くで様々な症例を診ることができ、勉強会なども充実しているため、安心して働くことができます。

OTは活躍の場が多種多様で、一人職場も少なくはありません。特に、訪問リハビリや保健センターなどの行政機関、職業訓練施設などの地域の現場になると一人で判断し、適切なリハビリを提供する必要があります。

そうした環境でも自信を持って働けるように、幅広い臨床経験を積めキャリアに活かせる病院勤務は人気となっているのです。

4.医療業界は業務時間が長く不規則になることも

作業療法士(OT)は夜勤がありませんが、近年では365日リハビリを提供する病院がほとんどですので、年末年始の休暇や固定の休みがない場合が多いです。

また、先ほどご紹介したように勉強会や研修への参加も多く、業務時間外での活動が長くなることもあります。様々な症例を担当する病院だからこそ、他の職場に比べ症例発表にも積極的に取り組んでいることも多いです。

そのため、日々の業務外でレポートを書いたり、症例発表の準備をしたりとOTとして働いている時間は不規則で長くなりがちだと言えます。

5.まとめ

病院勤務の作業療法士(OT)の実状をご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。

病院勤務の場合、実質労働時間や給与面において負担となる部分もありますが、多くの人に選ばれるだけの魅力があるのです。

OTとしてもっと高みを目指したい、様々な症例の患者様を診て自分のスキルを高めていきたいという方にとっては、この上ない経験と実践の場となります。

職場として何を望むかによって、あなたに合った職場を選択してみてください。

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【参照サイト】
令和2年賃金構造基本統計調査 厚生労働省
平均給与 国税庁
令和3年 賃金構造基本統計調査 職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)
令和3年 賃金構造基本統計調査 【参考】職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)(役職者を除く)
令和3年 賃金構造基本統計調査 職種(小分類)、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)
令和3年 賃金構造基本統計調査 職種(小分類)、年齢階級、経験年数階級別所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)