作業療法士の中には専門分野で博士号を取得した方もいらっしゃるでしょう。博士号を持っていると作業療法士としての給与も高くなるのでしょうか。この記事では、博士号を持っている作業療法士の平均給与やキャリアパスについて紹介します。

博士号を取得した作業療法士の平均給与

博士号を取得した作業療法士の平均給与について

作業療法士に関しては、学歴と給料はあまり関係がありません。大卒1年目の方も短大・専門学校卒1年目の方も給料は同じで、勤続年数や経験によって基本給が上がっていくことが一般的です。

賃金構造基本統計調査によりますと、給与額は以下の通りです。企業規模が大きくなればなるほど、年間賞与や特別給与の額が大きくなることが分かります。

企業規模 現金給与額 年間賞与・特別給与 年収
10人以上全体 287.5千円 646.4千円 409.64万円
10~99人 310.4千円 561.8千円 428.66万円
100~999人 282.1千円 628.1千円 401.33万円
1,000人以上 288.3千円 734.8千円 419.44万円

参考:e-stat「賃金構造基本統計調査2019年」

国公立病院や大学病院などでは大卒が短大卒よりも基本給が高い

ただし、国公立の病院や大学病院などの一部の医療機関・介護施設では、大卒と短大卒(専門学校卒)では初任給の金額に差があります。

とはいえ、大卒以上の方は、大卒でも修士修了、博士号取得者でも給料に違いはありません。同じ年齢で比較するならば、大卒の作業療法士のほうが博士号取得者よりも勤続年数や勤務経験が長くなる分、給料が高くなるでしょう。

専門卒・短大・4年制と待遇は異なる?

学歴による待遇差はない

給料だけで見るならば、専門学校卒も短大卒、大卒、大学院卒もあまり大差はありません。早く現場で実務経験を積みたい方なら、3年間で作業療法士の国家試験を受験できる専門学校か短大に進むほうが良いでしょう。

ただし、将来的に作業療法士以外の資格を取得したいと考えるならば、大卒以上の学歴を持っていると有利になることがあります。例えば、学びたい講座が大学院にある時は、大卒以上の方なら大学院入学試験に合格するだけで学び始めることができますが、短大卒や専門学校卒の方なら「学士」を取得してから大学院入試を目指すことになります。

博士号を取得した作業療法士のキャリアパス例

博士号を取得した作業療法士のキャリアパス例

作業療法士として働き続ける場合、博士号を取得していることは特にアドバンテージにはなりません。給料だけを見るなら短大卒や専門学校卒と同等ですし、将来的に他の資格を取得する場合でも大卒と同じ過程を経ることになります。

しかし、博士号を活かした仕事を目指すならば、長い時間を勉強と研究に費やした価値を発揮することができます。博士号取得者のキャリアパスの例を2つ紹介します。

例1:短大や大学、大学院の教員を目指す

博士号取得後も学校に残り、介護分野や保健分野、医療分野での教員として働くこともできます。学生に実践的なアドバイスをするためにも、できれば数年は医療や介護の現場で作業療法士としての経験を積んでおきましょう。

学校によっても職位は変わりますが、研究員から講師、準教授、教授とキャリアアップしていくことが一般的です。学生を指導しつつ、自身の研究にも力を入れ、医学界や介護業界、福祉界の発展に貢献していきます。

例2:行政関係の仕事を目指す

国家公務員採用総合職試験を受験し、国家公務員として行政に携わることもできます。保健系・医療系の博士号を取得しているなら、厚生労働省に入省し、制度面から医療業界・介護業界を変えていくこともできるでしょう。

ただし、国家公務員採用総合職試験を受験できるのは30歳までなので、博士号取得後に作業療法士として進むと間に合わなくなってしまいます。行政職を希望する方は、早めにキャリアプランを立てるようにしましょう。

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