作業療法士(OT)は様々な病気や障がいを抱えた患者さんを対象とする仕事です。決して楽しいことばかりではなく、自分の不甲斐なさを感じる場面もあります。
しかし、OTだからこそできる関わりがあり、やりがいの多い職業だと私は思っています。
今回の記事では、そんなOTの楽しさややりがい、OTを目指したきっかけなどをご紹介していきます。
目次
1.作業療法士(OT)の楽しさ
OTの仕事内容は幅広く、患者さん一人ひとりに対してリハビリアプローチが異なります。だからこそ、患者さんのことをじっくり考え、多方面からサポートする必要があるのです。
そんなOTの楽しさを感じるポイントをご紹介します。
患者さんの暮らしを共に考えられる
OTは身体のことだけではなく、日常生活に必要な動作や今後の生活、仕事についてなど、より患者さんの近くで生活のリハビリを行います。
そのため、リハビリをしている限られた時間だけでなく、生活場面を見たり、会話をすることが大事です。
患者さんのこれからの人生のために重要な仕事ではありますが、その分共に考え、目標に向かってどのようにリハビリを頑張っていくかを考えられるのはOTの楽しみの一つではないでしょうか。
趣味を仕事に活かせる
OTの提供するリハビリの中には、手芸や園芸、料理など、趣味活動や復職に向けて様々なアプローチの方法があります。
OTとして引き出しを多く持っていることは強みになりますし、自分の趣味でさえ仕事に活かすことができるのです。
多職種連携で患者さんをサポートできる
医療や介護の分野では多職種が連携して患者さんをサポートしていきますが、OTは患者さんの生活のことや退院後の暮らしなどを考える上で、より多職種と連携することが大事になります。
多職種連携することで学べることは多いですし、本当に必要なリハビリを提供することに繋がっていきます。一緒に喜びや悩みを共有できる仲間が増えることは楽しく仕事をする上で大事なことですよね。
2.作業療法士(OT)のやりがいを感じる瞬間
OTがやりがいを感じる場面は多々あります。その中でも特に代表的なものを3つ挙げてみましょう。
患者さんの機能回復
リハビリをする上で、やはり一番やりがいを感じるのは患者さんが徐々に機能回復していく場面ではないでしょうか。
患者さん全員が必ずしも良くなるわけではありません。また、機能回復に関しては患者さん本人の回復力や他の専門職の関わりも大きく関係しています。
しかし、OTが患者さんの回復する力に合わせてより良いリハビリアプローチができれば、患者さんの機能回復や退院後の生活は劇的に変わることもあります。
担当した当初から退院する時まで患者さんが機能回復して良い変化が見られた時には、OTとしてやりがいを強く感じられるでしょう。
患者さんがその人らしい生き方を見つけられたとき
患者さんが機能回復してくれることはもちろん良いことですが、OTは、必ずしも機能回復を最終ゴールとするわけではありません。
病気や障がいを抱えながらも、その人らしい生き方を見つけ、それに向けてアプローチしていくからです。
そのためには、諦めなければいけないことや患者さんとのより深いコミュニケーションが必要です。
そんな関わりの中で機能訓練や生活リハビリ、代替手段の提供や使えるサービスの提案を行っていくことで、患者さんがその人らしい生き方を見つけることができ、それが実現できたとき、OTとしてのやりがいを感じることができます。
「ありがとう」の声
患者さんが退院できたときやその人らしい生き方を見つけて歩めるようになったとき、患者さんから心からの「ありがとう」をもらえることがあります。
それだけではなく、OTは多職種と関わることも多いですし、患者さんを支える家族ともお話をする場面が多くあります。懸命に患者さんや家族と向き合うことで、「ありがとう」と言ってもらえることは、OTとしてやりがいに繋がっていきます。
患者さんや家族からそんな心からの「ありがとう」をもらえるような関わりをOTとして努めていきたいですよね。
3.作業療法士(OT)を目指したきっかけ
作業療法士(OT)を目指すきっかけは人それぞれです。しかし、人と関わる仕事であり、病気や障がいを持った方を支えていくという、ある意味覚悟のいる仕事であるため、OTを目指す方には共通した想いがある場合が多いです。
実際に私がOTを目指したきっかけにも触れながら、どのようなきっかけが多いかまとめてみました。
ケガの治療や入院をしてリハビリをした経験から
OTという職業は、まだまだ一般の方には知られていないことも多いです。そのため、幼い時に実際に自分もしくは家族がケガの治療や入院をしてOTのリハビリを受けて、OTに憧れて目指すという方がいます。
OTを身近に感じる場面があると、どんな職業か、OTの魅力などを知ることができるようです。
人に寄り添う仕事がしたい
OTは患者さんや家族、他職種など様々な人と深く関わる仕事です。人の役に立ちたい、人と関わる仕事がしたいなどの思いがある方は、OTを目指すことが多く、その中でも「人に寄り添う仕事がしたい」という方がOTを目指す場合が多くあります。
そのような志をもってOTになる方は、OTになってからもやりがいと誇りをもって仕事をしていけることでしょう。
資格を取得して安定した仕事に就きたい
OTは国家資格であり、一度資格を取得すれば職に困ることはほぼないと言えます。
そのため、安定志向の学生はOTなどの医療職を目指すことも多いです。最近では、親の勧めでOTを目指したという方も少なくはありません。
おばあちゃんが大好きだった
かく言う私の場合は、小さい頃からおばあちゃん子で、高齢者が身近な存在でした。おばあちゃんが大好きだったことから、おじいちゃんおばあちゃんの役に立ちたいと思い、OTになることを選びました。
OTの対象は、小児から高齢者まで幅広いですが、やはり高齢者と関わることの多い仕事です。OTの知識や資格を持っていれば、身体機能や認知症など、高齢者と関わりながら多角的に支援することができるため、楽しみとやりがいをもって働くことができるのです。
4.作業療法士(OT)になって思うこと
OTという仕事の強みは、医療や介護の専門知識を持ちながら、患者さんがその人らしく生きるためにはどうすればよいかという視点が持てるということだと思っています。
身体機能に対するリハビリだけでなく、その人の想いや家族に寄り添い、環境設定や福祉用具など、サービスや道具を上手く活用していくこと。そして、多職種と連携しながら最良の選択を共に考えていくこと。
そういったOTとしての経験や考え方は、医療や介護現場だけで活かせるものではなく、自分自身の生活や他のどんな仕事にも活かしていけることではないでしょうか。実際に私も、今はOTの臨床現場から離れていますが、別の仕事でOTでの経験が軸となっています。
OTの職業領域が多様化している今、OTとしての経験や考え方は尊く、魅力ある仕事だと思っています。OTの仕事が大変で悩んでいる人でも、OTが活かせる職場はたくさんあります。OTとして学び、得てきたことを誇りにしてほしいです。
5.まとめ
OTの楽しみややりがい、OTを目指すきっかけをご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
患者さんの暮らしやこれからに寄り添うOTの仕事は決して楽しいことばかりではありません。しかし、自分はどのように働いていきたいかを考えてみると、どのような職場を選択し、どんなことにやりがいを見出せるかが見えてくるのではないでしょうか。
OTとして、楽しみややりがいを感じながら働けることを願っています。
今回の記事が皆さんの職場選びの参考になると幸いです。