作業療法士(OT)として働く上で収入が安定している点は魅力的ではありますが、収入アップを狙うとなるとそれなりの努力が必要となってきます。
この記事では、OTとして年収1000万円到達が可能なのかという点や、500万・700万・1000万と収入を上げる具体的な方法、働き方について紹介していきたいと思います。
OTとして収入アップを目指している方の参考になれば幸いです。
目次
1.作業療法士(OT)として1000万円は難しい
2021年3月末に公表された厚生労働省の賃金構造基本統計調査をもとに計算すると、2020年のOTの平均年収は約408万(残業代を除く)となっており、1000万円に到達するのはなかなか難しいと言えます。
もちろん、OTの平均年齢が低いことも少しは影響していますが、最も影響しているのが診療報酬制度です。保険を適用してリハビリを行う際の回数と金額に上限が設けられているため、OTが生み出す利益も決まっており、給料として1000万円分の利益を上げることはできません。
また、訪問リハビリテーション事業所や訪問看護ステーションではインセンティブ制度を導入しているところもありますが、業績が良い場合でも年収600~700万円が現実ラインでしょう。
そのため、年収1000万を目指すためには、役職への昇進や開業、副業などでキャリアを積み重ねていくことが不可欠だと言えます。
OTの給与についての詳細は下記の記事をご参照下さい。
2.作業療法士(OT)の収入と働き方
OTの就職先や働き方は近年多様化してきていますが、それによって収入も変わってきます。まずはOTの年収別の働き方やスキルについて解説していきます。
年収500万円
診療報酬や介護報酬によってOTが得ることができる利益の上限が決まっており、今後の制度改正によって左右はされますが、年収500万円はOTとして働く中で最も現実的な年収と言えます。
今の50代のOTの平均年収は550万程度であり、病院や施設で長く勤めキャリアを重ねていくことで年収500万は十分狙える範囲内です。
しかし、有資格者の増加によって今後は今の50代よりも競争は激しくなることが予測され、長く勤めていくためにはOTとして研鑽を続けることや得意分野を作ること等の努力が必要となってきます。
若いうちから高収入を得たい場合は、インセンティブ制度のある訪問リハや訪問看護等への転職も選択肢に入れると良いでしょう。
年収700万円
病院や施設に雇用される形で勤務するOTにとって年収700万はなかなか到達が難しいラインで、訪問リハなどインセンティブ制度のある職場で高い業績を維持する、一定以上の役職を得る、リハビリではなく医療介護業界の一般企業で経験を活かす、副業に力を入れるなど相当な努力が必要と言えます。
ただし決して達成不可能な年収ではなく、努力次第で年収700万は十分に狙える範囲です。
年収1000万円
前述したようにOTで年収1000万の到達は容易なことではありませんが、700万円の項目で紹介した方法をベースにキャリアを積み重ねていくことが必要となってきます。
キャリアや知識はもちろん、専門分野を突き詰めて唯一無二のスキルや経験を持つOTになる、名前を覚えてもらえる程に有名になる、など研鑽を重ねていく必要があります。
年収1000万到達のための具体的な方法については次の章で説明していきます。
3.作業療法士(OT)が年収1000万円を目指す方法
それでは、OTが年収1000万を目指す具体的な方法について解説していきたいと思います。
開業する
日本では「理学療法士及び作業療法士法」により医師の指示の下に作業療法を行うことが定められており、開業し医師なしで作業療法を提供することはできませんが、自費診療や作業療法以外の整体院・リラクゼーションサロンなどという形を取れば開業ができます。
個人で開業する場合、経営の難しさはありますが診療報酬の壁もなくなるため努力次第では年収1000万を狙うことができます。
介護分野での経験を活かしてデイサービスを開業するという方法もあり、初期費用が高額になる点や経営者としてのマネジメント能力が必要となるためハードルは高くなりますが、高い年収を狙うことができる点は魅力的です。
OTの開業についての詳細はこちらの記事をご参照下さい。
副業する
年収700~800万円を狙うのであれば、病院や施設に勤務しながら副業することで狙えないことはありませんが、1000万円到達はかなり難しいため休日開業に近い副業が必要となってきます。
パーソナルトレーナーやヨガインストラクター等として顧客と直接契約する形で身体のケアを行うことで報酬を得て、実績を積み重ねていくことで高い収入を実現することができます。
これにはOTとしての専門知識だけでなく、プラスアルファでフィジカル・メンタルケアに精通し、顧客を満足させられるような知識と経験が必要とされます。
他にもライター・記事監修などのウェブ関連の副業という選択肢もあります。フリーランスのウェブライターはパソコンとネット環境がさえあれば始めやすい副業と言え、OTとしての知識や経験を活かして専門的な記事作成ができることは大きな強みであり、収入アップに繋げることができます。
副業に関しては勤務先の就業規則を確認し、納税・確定申告などの管理をしっかり行う必要がある点も忘れないようにしましょう。
大学教授になる
専門学校の教員クラスだと昇進したとしても年収1000万の到達は難しいのが現状ですが、私立大学の大学教授に就任できれば年収1000万を越える場合もあり得ます。
ただ、大学教授への道は簡単とは言えず、論文制作や博士号習得などいくつものハードルがあり、かなりの努力と時間が必要となってくることは想像に難しくないと思います。
海外で働く
日本ではOTに開業権はありませんが、アメリカなどでは開業権がありクリニックなどを開業することが認められています。
資金や言語の壁などのハードルは高くはありますが、OTの地位や報酬体系の異なる国で働くことは年収アップのための選択肢の1つです。
昇進する
年収アップを目指すためにOTとしてのキャリアを積み重ね、管理職への昇進を目指すという方法もあります。
スタッフの管理業務やマネジメント業務に従事する「部長」や「施設長」へ就任することで、OTとしての臨床業務に従事できなくなる可能性は高いですが、年収1000万を狙うためには役職者への昇進を目指すことは現実的な方法と言えるでしょう。
4.年収アップのためにまずは自分の将来像を描いてみよう
これまで解説してきたように、作業療法士(OT)として年収1000万を目指すことは容易ではありませんが、不可能なことでもありません。
超高齢社会の進行によって、介護予防や認知症ケアに注目が集まる昨今、OTが持っている専門性は社会から必要とされており、努力次第で収入アップだけでなく社会貢献にも繋がっていくというポジティブな側面も持ち合わせています。
年収1000万を到達するための方法である開業や副業はリスクも伴い、昇進や教授を目指すという選択肢も険しい道のりではありますが、内に秘めた能力を社会のために活かす方法や自己実現の道でもあります。
リスクやハードルを理解した上で、年収1000万という夢に向かって努力を始めることは、無駄な事ではないため、まずは自分の将来のビジョンを描くことから始めてみてはいかがでしょうか。
5.まとめ
今回は、作業療法士(OT)として年収1000万円到達が可能なのかという点や、500万・700万・1000万と収入を上げる具体的な方法、働き方について紹介しました。
専門性や自分の強みを活かして、活躍の場を広げていくことで収入アップや自己実現にも繋がっていきます。
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