理学療法士(PT)として就職・転職する際、退職金はどの程度か気になるかもしれません。厚生労働省等のデータから、退職金の受取事情や相場、そして退職金を多く受け取るコツを解説します。
退職金制度について
退職金はどう算定するか、勤続年数などの条件があるか、そもそも退職金はあるのかどうかは、施設によって異なります。ただし、すべての職場で退職金制度があるわけではありません。小規模事業所では、退職金がない可能性もあるのです。
実際に企業規模が小さくなればなるほど、退職金制度のない割合が高まります。以下の厚生労働省の調査では29人以下の事業所についてのデータがありませんが、企業規模が30人以上の事業所よりも退職金がある割合は、低いと予想されます。
<企業規模・業種と退職金制度>
企業規模 | 退職金制度がある割合 |
---|---|
1,000人以上 | 92.3% |
300人以上999人以下 | 91.8% |
100人以上299人以下 | 84.9% |
30人以上99人以下 | 77.6% |
医療・福祉関係全体 | 87.3% |
退職金の支払方法
退職金の支払方法も、事業所によって異なります。退職金制度を実施している中小企業では約3/4が退職一時金(退職金)のみで、退職年金が支払われている職場は多くありません。
<退職金の支払い方>
退職一時金のみ | 75.9% |
退職一時金と退職年金の両方 | 20.6% |
退職年金のみ | 3.4% |
退職金の計算方法
退職一時金のある企業では、どのように退職金を計算しているのかについて見ていきましょう。もっとも多いのは「退職金算定基礎額×支給率」で、その次に多いのは「勤務年数に応じた一定額」です。
「退職金算定基礎額×支給率」で計算する場合は、給料と勤続年数、一定の割合の積で求めます。たとえば、勤続25年・月給30万円の方なら、退職金支給率が1.0の企業では25×30万×1.0=750万円の退職一時金が支払われます。この場合の計算で用いられる月給は、ほとんどが基本給で、手当などを除いた額となります。
一方、「勤続年数に応じた一定額」で計算する場合は、給料の額と退職金の間には相関はありません。勤続年数が25年なら、給与が月30万円の方も月20万円の方も同額の退職一時金を受け取ります。
<退職金の計算の仕方>
退職金算定基礎額×支給率 | 44.0% |
勤続年数に応じた一定額 | 21.5% |
ポイント制 | 15.8% |
その他 | 18.7% |
退職一時金を受け取る条件
退職一時金を受け取る条件も、事業所によって異なります。とりわけ最低勤続年数を決めている事業所は多く、短期間で辞めてしまうと退職金を受け取れないことも少なくありません。
自己都合で辞める場合は、退職金を受け取る条件として、少なくとも3年以上は勤務している必要があることが多いです。転職を考えている方は、退職一時金を受け取れる勤続年数もチェックしておきましょう。
<勤続年数と退職金支給有無>
期間 | 自己都合 | 会社都合 |
---|---|---|
1年未満 | 0.7% | 2.9% |
1年 | 17.3% | 24.7% |
2年 | 11.9% | 7.9% |
3年 | 48.8% | 29.5% |
4年 | 3.8% | 2.3% |
5年以上 | 9.7% | 7.0% |
無記入 | 7.8% | 25.8% |
理学療法士(PT)の退職金事情について
理学療法士(PT)の退職金をまとめた公的なデータはありませんが、厚生労働省と東京都産業労働局の調査から以下のことが分かります。とりわけ介護系事業所は、小規模であることが多いため、就職前に退職金について尋ねておくほうが良いでしょう。
- 小規模の事業所に勤務している場合は、退職金が支給されない可能性がある
- 3年未満で退職すると、退職金が支給されない可能性がある
- 退職金が退職金算定基礎額×支給率で計算される場合は、給料が高いほうが退職金も高い
理学療法士(PT)の退職金相場
退職金制度のある理学療法士(PT)の職場でも、「退職金算定基礎額×支給率」で退職金が計算されることが多いです。ただし、支給率が0.5~1.0と低いことが多く、30年以上勤続していても退職一時金が1,000万円未満のケースも少なくありません。
また、短期間で転職する場合も、退職金が支給されないことが多いです。退職金をなるべく多く受け取りたい方は、大規模事業所で長期間勤続するようにしたいものです。
不明点があれば、お気軽にPTOT人材バンクのキャリアパートナーに遠慮なくご相談ください。
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