小児理学療法に興味があるけれど、実際に提供している施設やサービスが分からないという方も少なくありません。

昔に比べて発達障害なども認知が高まり、対応している施設は増えているものの、実際にどのような施設で小児理学療法を実施できるのかイメージが湧きにくいですよね。

そこで今回は、小児理学療法に従事できる勤務先や小児理学療法について分かりやすく解説していきます。

1.子どもを支援できる理学療法士(PT)の勤務先

小児理学療法を提供できる施設は多岐にわたります。どのような施設があり、どのような支援をしていくことができるのか詳しくみていきましょう。

小児リハビリ科のある病院

総合病院やリハビリ病院の中には、小児リハビリを積極的に行う小児リハビリセンターをもつ施設があります。言語の遅れや運動の遅れ、発達障害の疑いなどを指摘されたお子さんや、発達で気になるところがあるお子さん及びご家族を支援していく役割を担っています。

PTとしては、運動発達に遅れがみられるお子さんや身体障がいをもつお子さんに対して、の運動機能の獲得や二次的障がいの予防などをサポートします。

外来でのリハビリが多い傾向ですが、中には集中的に介入できるよう数か月入院してリハビリを行う施設もあります。集中的にリハビリを実施したいという方は、より専門性の高い施設を検討しましょう。

総合病院など小児科のある病院

総合病院など複数の診療科をもつ急性期病院の中には、成人と同様に小児に対してのリハビリを実施しているところもあります。

急性期症状に対してのリハビリオーダーが出ることが多く、長期的なリハビリが必要なケースは別の施設への転院をすすめられるため介入できる期間が短い傾向です。

中には入退院を繰り返しているお子さんもおり断続的に介入するケースもありますが、症状が安定すると退院または転院となるため介入できる病期は限られてきます。

就職に際しては、リハビリオーダーが出る小児疾患や頻度、介入期間なども確認しておきましょう。

クリニック

規模の大きな施設だけでなく、クリニックでも小児理学療法を実施しているところはあります。小児科クリニックがリハビリを提供しているケースと、成人も通院する整形外科クリニックなどで小児へのリハビリを提供しているケースがあります。

小児科医の指示のもと介入する場合だけでなく、リハビリ専門医や整形外科医の指示のもと介入するなどクリニックによって形態が異なる点が特徴です。

対象疾患については、運動や言葉の遅れなど発達に関する問題への支援や発達障害や高次脳機能障害への支援などがあり、クリニックによっても強みが異なる傾向があります。

訪問看護ステーション(小児・リハ)

医療ケア児に対する訪問看護は医療保険下で行われており、目的地までの移動介助や入浴介助など地域で暮らす医療ケア児の在宅ケアを支援しています。

訪問看護ステーションにおけるPTの役割としては、日常生活に必要な動作の支援や基本動作の維持及び改善、ポジショニングなど介護面のサポートなどがあります。

より生活に密接したサポートになるため、お子さんの個性に寄り添ったうえで生活しやすい環境づくりをしていくことが大切です。限られた環境の中でリハビリを提供していく高いスキルが必要になります。

児童福祉施設(療育センター)

障がいのあるお子さんに対してそれぞれに合った形で治療や教育を行う施設で、地域に密着した地域療育センターや通所、短期及び長期入所が可能な療育センターなどがあります。

PTとしては、潜在能力を引き出し運動機能の改善を促すことで日常生活が過ごしやすくなるようなサポートをします。長期入所が可能な療育センターでは、リハビリ施設が充実しており、多くのアプローチ方法を検討しながらプログラムを立案できる点が魅力です。

地域療育センターにおいては月に1回の個別療育となるなど定期的な介入となるため、限られた時間の中でいかにお子さんの個性を把握し、予後予測をしていくことが重要になります。

2.小児理学療法で求められるスキル

成人とは異なるスキルが必要となる場面も多い小児理学療法ですが、実際にどのようなスキルが求められるのか詳しく紹介していきます。

子どもに合わせた理学療法

同じ小児でも、乳幼児や児童と中高生では体の大きさだけでなくバランスのとり方や筋肉の性質も全く異なります。また、障がいが先天性か後天性かでもアプローチが変わるため、成人に比べて個人差が大きく出やすいのも特徴です。

成長途中であることから、自己矯正能力が高い点も小児の特徴であり、ひとりひとりに合わせた理学療法を提供する高いスキルが必要になります。

環境や家族とのコミュニケーション

ご家族に対してお子さんの様子を聞くだけでなく、お子さんとの向き合い方のアドバイスや介助方法の指導などを行うことも小児理学療法では必要です。

学校や園などとコミュニケーションをとるケースもあり、お子さんの成長にとってより良い環境づくりしていく大きな役割を担っています。

また、成長に合わせた介助方法や介護グッズの選定においてもPTが関わるため、高い知識と経験が求められます。

遊びりテーションの理解

遊びりテーションとは、遊びとリハビリを組み合わせた造語で、遊びながらレクリエーションをするリハビリ法として理学療法士の三好春樹さんが提唱している介入方法です。

もとは高齢者のレクリエーションとして誕生しましたが、レクリエーションを通したアクティビティは子どもへのアプローチにも導入しやすい方法であるため通常のアプローチ方法以外にも学んでいく必要があります。

子どもの好奇心を引き出し、楽しくリハビリができる環境づくりも小児理学療法を提供するうえで重要な仕事です。

支援教育専門士の取得もおすすめ

支援教育専門士とは、障がいをもつ乳幼児や児童、生徒の自立や社会参加を支援する特別支援教育における専門家のことを言います。

現在の特別支援学級への支援は、理学療法士が定期的に学校へ訪れる関わり方がほとんどですが、支援教育専門士を取得し特別支援学級で教職員として学校生活全般を支援するという道もあります。

実際に特別支援学級に子どもを通わせている保護者からは、特別支援学級へのPT配置を求める声が高まっています。

3.まとめ

小児理学療法といっても、年齢層や病期、介入場所などによりPTが提供できることは大きく異なります。

まずは自分自身がどのような障がいをもつお子さんと、どのような形で関わっていきたいのかを把握することが大切です。より明確に自分の希望を掘り下げてから、就職先の検討をおすすめします。

特に、成人に比べると小児理学療法を実施している施設は少ないため、競争率が高い傾向にもあるので希望を明確にしておくことは就職活動を進めるうえでも重要です。

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