最近は病院や福祉施設などに就職して働く理学療法士(PT)だけでなく、独立開業して活躍している方も増えてきています。
しかし、「日本では開業権がないにもかかわらず、なぜ開業できるの?」と疑問を持つ方も少なくありません。
今回はPTが独立開業する方法と注意点について解説していきます。独立開業や起業に興味のある人は参考にしてください!
目次
1.理学療法で開業はできない
リハビリ先進国ではPTにも開業権があり医師を介さずに診断や治療ができる国もありますが、日本では医師の指示なく理学療法を提供することはできず、PTが理学療法を提供できるのは医師の指示の下と法律で定められているためです。
しかし近年は介護予防分野などで開業する際など「理学療法士」を名乗ることは認められるなど、時代とともに変化している部分もあります。
このように理学療法を提供せずPTとしての知見を活かして開業している人も多くいます。では、実際にどのような解釈のもと開業しているのか詳しくみていきましょう。
2.理学療法士(PT)が開業する方法
前述したようにPTには開業権がありませんが、開業している方が増えています。ここでは、どのように開業しているのか詳しく見ていきましょう。
理学療法を提供せず、独立する
厳密にいえば理学療法を提供しなければPTは開業することができます。例えば無資格者でも施術ができる整体院として開業するほか、介護予防事業において開業しているPTもいます。
介護予防事業においては、平成25年に厚生労働省から「理学療法士の名称の使用等について」の通知があり、PTが介護予防事業等において身体に障がいのない人に対して行う、転倒防止の指導など診療の補助に該当しない範囲であれば「理学療法士」と名乗ることは問題がないと周知されています。
そのため介護予防事業に関しては開業後も「理学療法士」を名乗ることが可能です。
このように理学療法を提供しなければPTでも開業することができ、場合によっては「理学療法士」を名乗って開業することもできます。
(出典:理学療法士の名称の使用等について(通知)(◆平成25年11月27日医政医発第1127003号) | 厚生労働省)
開業資格がある資格取得をめざす
PTと同様に徒手療法を業とする国家資格には開業権を持つ資格が多くあります。具体的には、柔道整復師やあん摩マッサージ指圧師、鍼灸師などの国家資格です。
こうした資格を新たに取得することで、これらの専門家として開業しつつPTとしての知見を活かすことができます。
ただし、あくまでも開業権のある資格で開業をしているため、PTとして理学療法を提供できわけではないので注意しましょう。
また、近年は柔道整復師が開業する際の条件が厳しくなっているなど時代とともに法律も変化しています。開業するにあたり法律の改定についても把握しておくことが大切です。
3.理学療法士(PT)が開業する強み
PTは作業療法士(OT)や言語聴覚士(ST)に比べて、コンディショニングや介護予防など幅広い分野に対しても適応がある点が大きな強みとなります。
OTやSTの業務は、PTに比べると健常者へ訴求できるアプローチが限られていることもありターゲットが狭くなりがちですが、PTが開業する際には広いターゲット層を狙って開業することが可能です。
また、日常生活における動作分析を行い適切なプログラムを立案できる点も強みといえるでしょう。
4.理学療法士(PT)が開業する際の注意点

開業をするにあたり、法律的に問題がないか把握しておくことは非常に重要です。
この章では、PTの独立・開業におけるリスクマネジメントのために注意すべき事をまとめましたので、解説していきます。
医療保険や介護保険は利用できない
前述のように、PTが理学療法を提供できるのは医師の指示の下と法律で定められているため、開業はできても保険を使った診療は実施できず、あくまで利用者の全額自費負担という形になります。
(出典:自費リハビリってやって良いの? | 一般社団法人日本リハフィット協会)
広告表現にも注意が必要
開業すると看板や広告などで集客をするケースが多くありますが、表現やメッセージには注意が必要です。
PTが独立開業して理学療法や医療行為を提供することは認められませんので、利用者が誤解してしまうような表現は避けたほうが良いでしょう。
開業可能な職業の広告表現は、医師法や柔道整復師法、あん摩マッサージ指圧師はり師きゅう師等に関する法律、医薬品医療機器法など複数の法律により規制されており、知らずに使ってしまうと法律違反となる表現もあります。
広告表現に関するガイドラインは随時変更があるため、厚生労働省のホームーページなどから最新情報を入手することも重要です。誇大広告や違法な広告とならないよう注意しましょう。
トラブル対応は慎重に
病院や介護施設に勤務している場合には、母体となる組織により様々なサポートを受けています。
トラブルに関しても施設としてトラブルに対応する体制が整っている場合がほとんどですが、独立開業後はすべて自分自身で対応しなければなりません。
また、PTとして加入している賠償責任保険の中には、独立開業して行う業務は保障対象外となっている場合があります。
万が一に備えて保障問題にどのように対応していくのかも考えておくことが大切です。整体師などが加入できる賠償責任保険もあるので、それらの加入も検討しておきましょう。
5.まとめ
現在の日本のPTは医師の指示がなければ保険診療下で理学療法を提供することはできませんが、開業すること自体は可能です。
PTとして培った知識や経験を必要とする人は多くおり、ニーズに応えることで開業後の活躍が期待できます。
開業にはリスクが伴いますので、法律を遵守し安全にサービスを提供できるような開業を目指しましょう。
まず、キャリアアップからお考えの方はPTOT人材バンクのキャリアパートナーに遠慮なくご相談ください。

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