理学療法士(PT)の転職先として、デイケアやショートステイなどの介護保険施設も人気の選択肢の一つです。
日本でも高齢者人口の増加に伴い、介護保険分野でのリハビリの需要は高まってくることが予想されます。
今回はショートステイの形態をとる施設に焦点をあてて、PTの仕事内容や役割について紹介していきます。
目次
1.ショートステイでの理学療法士(PT)の仕事
まずは、ショートステイでのPTの仕事内容や役割について、利用者さんの特徴なども踏まえてみていきましょう。
利用者さんの特徴
ショートステイの利用者さんは、基本的には介護保険を利用できる65歳以上の高齢者の方がほとんどとなってきます。また、40〜64歳で特定疾患により要介護認定を受けた方も利用できます。
ショートステイの利用者さんは、1日〜数週間単位での比較的短期間での入所になります(最大30日)。それに合わせての介入になりますので、関われる期間もさまざまです。
また、要介護度もそれぞれで、持っている疾患の特性も個人個人で異なってくるため、利用者さん各々に合わせて対応を工夫する必要が出てきます。
ショートステイで提供する理学療法
ショートステイで提供する理学療法は、施設によっても異なってきますが、利用者さんと1対1で行う個別訓練や、集団で行う訓練、レクリエーションなどがあります。
個別のプログラムについては、利用者さんやそのご家族のニーズに合わせて、身体機能や能力を評価しながら立案するのが一般的ですが、日々利用者さんの介護にあたるスタッフからの意見などにも必要なプログラムのヒントが隠れていることがあるので、他スタッフとのコミュニケーションも重要になってきます。
また、集団で行うプログラムも、様々な要介護度の利用者さんが一緒になって行えるような工夫が必要になってきます。
2.ショートステイで求められる役割
ショートステイを利用される方のほとんどは、ある程度、症状が固定されており、理学療法士(PT)の関わりによって、飛躍的に身体機能が向上するといった方は少なくなってきます。
それでも、注意深く動作を観察すると、残存機能がうまく発揮されていないケースもあり、PTの指導によって生活の中での動きが円滑になったり、利用者さんのできることが増えたりといったポジティブな変化が見られることがあります。
専門的な視点から潜在機能を引き出すこともショートステイでのPTの役割として重要になってきます。
そして、限られた時間の中での関わりになってくるので、こういったことを比較的短期間で行う必要も出てきます。もちろん、他スタッフやケアマネージャーと関わることも多くなってくるので、しっかりとコミュニケーションを取れる能力も必要になってきます。
3.ショートステイでの勤務イメージ
ショートステイで勤務する理学療法士(PT)の勤務スケジュールの例を示します。
時間 | 業務内容 |
08:30~ | 業務開始 その日の利用者の情報収集 施設によっては利用者の送迎を行う場合もある |
09:30~12:00 | 利用者の個別リハビリ対応 |
12:00~13:00 | 休憩 利用者の食事介助に入る場合もあり その際の休憩時間は変則的 |
13:00~15:30 | 利用者の個別リハビリや集団リハビリ レクリエーション |
15:30〜17:30 | 書類業務 送迎業務 |
17:30〜 | 退社 |
平日は以上のようなタイムスケジュールで動くことが多く、残業はそれほど多くありません。施設によっては利用者の送迎業務を任されることもあり、普通運転免許が必須となってくることもあります。
多くの施設は土曜日も対応していることが多く、週休2日制の場合はシフト制になることの方が多いです。
4.理学療法士(PT)がショートステイで働く魅力
最後に、PTがショートステイで働く魅力について少し紹介しておきます。
余裕を持って仕事に取り組める
デイサービスやショートステイなどの施設では、利用者さんの1日の動きがほとんど決まっているため、時間に余裕を持って仕事をすることができます。
病院に入院している患者さんのリハビリ対応では、色々な検査や診察などとの時間の兼ね合いを気にする必要が出てきますが、そういったことがないためじっくりと関わることができます。
給与面での待遇が良い場合がある
一般的な病院と比較して、介護保険領域の職場の方が給与の相場が高い傾向があります。
病院勤務のPTの転職理由として給料の安さが挙げられることは多く、ショートステイやデイサービスなどの施設では転職後の初任給から病院勤務時の給与額を超えてくることもあり、年収アップを図りたい方にはおすすめです。
生活に寄り添ったリハビリを提供できる
病院に入院している患者さんのリハビリを行う場合、実施しているプログラムと患者さんの退院後の生活に乖離が生まれてくることがしばしばみられます。
一方、ショートステイを利用される方の場合は、生活状況をしっかり把握できるので、その方の生活場面を想定してプログラムを立案しやすく、動作指導をしたり、同居家族や介護スタッフへの介助方法の指導などを行ったりすることができます。
自分の提供したものが、その方の生活に与える影響も大きくなってくるので、病院などよりもやりがいを感じる場面が多くなる可能性があります。
5.まとめ
今回、ショートステイでの理学療法士(PT)の働き方について紹介してきました。
病院とは異なり、身体機能の向上よりも残存機能に焦点をあて、その方が持っている能力をしっかりと発揮させてあげるのがPTとしてのやりがいに繋がりそうですね。
介護保険領域でのリハビリはこれからも需要は高まっていくことが予想されます。病院とは違ったフィールドで活躍したいと考えている方は転職先の一つとして、ぜひ検討してみてください。
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