2025年に訪れると言われている超高齢社会に向けて、理学療法士(PT)の高齢者への向き合い方や求められる役割が注目されています。
そうした社会や実際に高齢者のリハビリをサポートするPTには、病気や機能面への関り以上の役割が求められます。
そこで今回は、今後求められる役割やどのようなPTを目指す必要があるのかを詳しくご紹介していきますので、この領域に進もうと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
1. 理学療法士(PT)の高齢者への向き合い方
高齢者は、若年者とは異なり身体機能の急激な向上や回復は難しく、加齢に伴う心身機能の変化への予防も必要となってきます。
そのため、高齢者に対する理学療法は「今持っている能力を維持していくこと」「QOL(生活の質)の向上」が、最大の目標です。
高齢者への理学療法を実施する際には、身体機能を理解することはもちろん、生活状況やパーソナリティ、どのような人生を歩んできたのかを十分に理解することが重要となります。
また、高齢者の多くは「もう歳だから」と、リハビリに対して消極的になる場合もあるため、意欲を高めるなど精神面への配慮も必要です。
2.理学療法士(PT)に求められる役割
団塊の世代が75歳以上となる2025年に向けて、医療分野・予防分野・介護分野でPTに求められる役割は大きくなってきています。
それぞれの分野で求められるPTの役割について詳しく見ていきましょう。
医療分野での役割
医療分野でPTに求められる役割は、怪我や病気などで入院している患者様に対して、受傷前の身体能力まで回復させ、介護を必要としない自立したADL(日常生活活動)能力を獲得させることです。
超高齢社会になれば、介護を必要とする高齢者が増え、必然的に介護者の負担も増大します。そこで、PTが中心となり介護を必要としない元気な高齢者を支援していく必要があるのです。
高齢者は、若年者と比較すると回復能力が劣るため、より専門的な知識と技術を持ってリハビリに臨むことが必要となってきます。
予防分野での役割
予防分野でPTに求められる役割は、在宅生活をしている高齢者のADL能力を向上させ、能力の「予備力」を獲得させることです。
怪我や病気などで入院している高齢者とは異なり、在宅生活をしている高齢者は、リハビリや運動の機会がないため、自立した最低限の生活は送れても、怪我や病気のリスクが高まってしまいます。
そこで、デイサービスや地域のイベントなどを通して高齢者にリハビリや適切な運動指導を行い、現在持っているADL能力を向上させる必要があるのです。
また、最低限の自立した生活能力に加えて、「予備能力」を獲得することで怪我や病気の予防にもなるので重要です。
介護分野での役割
介護分野でPTに求められる役割は、身体機能の維持及び適切な福祉用具の選定です。
介護施設に入所している高齢者は、病気や怪我、家庭の事情により在宅生活が困難になった方々になります。年齢的な問題で、ここからリハビリによる劇的な身体機能の向上や回復は難しいのが現実です。
そこで、重要となるのが現在ある機能を「維持すること」になってきます。
また、杖や歩行器など適切な福祉用具を選定したり、場合によっては在宅復帰する住宅の住宅改修などを提案したりすることも必要になります。
3.超高齢社会で求められる理学療法士(PT)像
超高齢社会に向かう中で、求められるPT像も変化してきています。
これまでは、病気や機能面に対して専門的な知識が要求されてきましたが、これからは「病気や機能面だけではなく、患者の人生について共に考え寄り添っていけるPT」が求められています。
高齢者は若年者と比較すると心身機能面の大幅な向上は難しく、家庭内での役割も少なくなっていきます。家庭内での役割がない高齢者にとっては、「私は元気になって家に帰ってもいいのだろうか?」と消極的になり、リハビリに対する意欲も低下します。
そのため、高齢者に楽しく意欲的にリハビリに参加してもらうためにも、高齢者自身の人生について理解し、役割を見つけるなど在宅復帰後の人生まで考え寄り添う姿勢が重要となってくるのです。
4.まとめ
今回は、理学療法士(PT)が超高齢社会で求められる役割について紹介してきました。
最後に要約した内容を確認していきましょう。
団塊の世代が75歳以上になる2025年以降には、医療分野・予防分野・介護分野でPTに求められる役割が変化してきています。
そのため、各分野に適した知識技術を習得することはもちろん、高齢者を理解し寄り添ったリハビリを提供できるPTが今後求められていくのです。
ぜひ、今回の記事を参考に超高齢化社会に向けて、PTに求められる役割を身につけて行ってみてください。
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