職務経歴書に記載する自己PRは、簡単に言えば「自分はこういう人間で、採用するとこんなメリットがありますよ!」と採用担当者に売り込むための文章です。
応募先が未経験の施設形態であっても、これまで得たスキルや経験からくる理学療法士(PT)としての力は必ず役に立ちます。そうした情報や熱意を記載することが、良い自己PR作成の近道になります。
ちょっとしたポイントを抑えることで簡単に作成できますので、この記事を参考にぜひ挑戦してみてください。
目次
1.自己PRはスキル・経験・熱意が大切
理学療法士(PT)が転職時に求められることは、スキル・経験・熱意の3つです。
履歴書の志望動機や職務経歴書の経歴からもこれらは読み取ることができますが、自己PR欄を使って自分の言葉で伝えることがとても重要です。
具体例は次の章でご紹介しますので、まずはそれぞれポイントを見ていきましょう。
スキルのアピール方法
スキルでは、リハビリを提供する中で知識を深めた方が良いと考えた領域や不足していると感じたスキルに対し、自主的に習得したもの記載します。
資格情報があれば理想的ですが、院内外の勉強会に自主的に参加した、先輩や他チームのスタッフに教えを乞いた、などで得た知識もスキルとしてアピールできます。
具体的にスキルアップした実感がない場合でも、提供できるリハビリテーションの幅が広がっていればスキルと言えるでしょう。
経験のアピール方法
患者様と携わる中で得た経験は、どんな業界であっても必ず役に立ちます。同業他社の実績がなくとも、病期や症状、患者様の特徴など共通を見つけてアピールしていきましょう。
また、教育やマネジメントも立派な経験です。明確な役職がなくとも、後輩の指導や周辺スタッフのモチベーション管理などの実績があれば、経験としてアピールできます。
熱意のアピール方法
熱意を伝えることは、意外と難しくありません。
事業所が掲げている理念やリハビリに対する信念、リハビリテーション科トップの理想など、あなたがその事業所に対して共感した部分がきっとあるはずです。
共感した部分とその理由を丁寧に記載することで、その事業所でなくてはならない理由が自然と明確になります。
2.理学療法士(PT)の自己PRの具体例~スキル編~
それでは、自己PRの具体的な例文を見ていきましょう。
まずはスキルのアピール方法を解説していきます。
資格取得をスキルとしてアピール
脳卒中認定理学療法士や臨床実習指導講習会の経験をスキルとしています。
回復期病棟に就職し、リハビリテーション業務に従事。
現在は脳卒中の患者様のリハビリテーションをメインで行っており、脳卒中認定理学療法士の資格を取得。またチームリーダーとして新人の育成に従事し、臨床実習指導講習会も修了しております。
自主的な勉強をスキルとしてアピール
外部研修への参加や先輩との個人勉強会での経験をスキルとしています。
院内での勉強会の他、外部研修に月2回は参加し臨床技術向上に取り組んだ。また、患者様ごとの身体機能や環境面の改善ポイント先輩に共有することで、自身では気がつかなかった点を見直し、さらなる知識の向上に努めた。
3.理学療法士(PT)の自己PRの具体例~経験編~
PTは日々さまざまな経験を積んでいると思います。
意識していることや気づきを記載するだけでも、あなたにしかない経験としてアピールできます。
コミュニケーション能力の高さを経験からアピール
精神的なケアの必要性に気づき、良好な関係構築を意識した取り組みができることを経験から訴求しています。
時には終末期の患者様に関わる事もあり、その中で身体的なリハビリテーションの提供だけでなく、精神的なケアや介入が重要であると学びました。
また、ご家族様への接遇や丁寧な説明、共に働くスタッフへのコミュニケーションも医療の一環であると考え、自ら積極的に他者との関係性を構築できるよう心がけております。
経験から能力の高さをアピール
リハビリテーションを提供していた環境から、対応力の高さや求められるスキルの高さを訴求しています。
急性期病棟、特に救急外来においては合併症を多数有している患者様が多く、担当するにあたり呼吸器や循環器疾患の知識も必要とされるケースが大半であったため、幅広い疾患に対するリハビリに対応して参りました。
これまでの経験を他業種にも活かせることをアピール
異なる施設形態や業界からの転職でも、経験をアピールできる具体例を3つご紹介します。
病院から介護施設へ転職
患者様の症状に対する理解の深さを強みとして訴求しています。
大学病院で5年間勤務しました。その間、幅広い疾患・症状に対するリハビリを経験しましたが、とくに脳卒中の後遺症に悩む方に多く携わってきました。貴施設では、脳血管障害や整形疾患の方が多く入所されていると伺っております。これまでの経験を活かし、一人ひとりの残存機能や生活に着目したリハビリを提供したいと考えております。
介護施設から訪問リハビリへ転職
患者様の背景を知っていることが強みになるということを訴求しています。
病院勤務を経て、5年間介護施設に勤務しました。介護施設では、在宅復帰を目指す方への訓練を通して、「利用者様の暮らしにより密着したリハビリを提供したい」と考えるようになりました。訪問リハビリの経験は初めてですが、介護施設で培った知識・スキルを活かせると考えております。
他業種から理学療法士への転職
患者様の思いに寄り添えるコミュニケーション能力が強みになると訴求しています。
大学を卒業後、営業として3年間働いておりました。その間、怪我で入院した際にリハビリを受ける機会があり、理学療法士の仕事に興味を持ち志すことを決意しました。理学療法士としての就職は初めてですが、患者としてつらい日々を送った経験と、営業時代に培ったコミュニケーションスキルを活かし、患者様に寄り添ったリハビリを提供することが目標です。
4.理学療法士(PT)の自己PRの具体例~熱意編~
最後に、熱意の伝え方を見ていきましょう。
意欲・熱意を理念からアピール
理念に共感していることを訴求しています。
病棟勤務と並行して地域でのリハビリに携わる中で、貴社が掲げている「私らしくが続くために」という想いに強く共感しております。
総合病院、急性期で培ってきたリスク管理、患者様、ご家族様との接し方などを活かしながら、新たな学びを得て「私らしく」を引き出す事ができる理学療法士として、長期にわたり貴社に従事させていただきたいと考えております。
目指している方向性から熱意と意欲をアピール
「ただ生活に戻すだけでいけない」というインタビュー記事があったと仮定した文章になります。
多くの患者様と関わるうちに、患者様の退院後の生活に興味が湧いてきました。今後は、患者様が住み慣れた自宅で、安心して暮らせるように、「生活に戻る」ためではなく「生活を継続」をするためのリハビリについて考えながら、患者様に満足頂けるリハビリを提供できるよう努めたいと思います。
5.これだけは避けたい自己PRのNG例
・自分を卑下しすぎている
(とくに取り柄もありませんが…、まだまだ経験不足ですが…など)
・自信のなさ・不安が透けて見える
(◯◯には不安がありますが…、人見知りですが…など)
・アピール内容に具体性がなく、採用側の得られるメリットが伝わらない
(体力には自信があります、患者さんからの評判が良かった…など)
・経歴を「盛る」内容
(過去の経歴、職務を詐称する)
・文章が長すぎる
(1つのアピールポイントが150文字以上になると要注意です)
自信のなさは採用側にも伝わります。自己PRは自分を「売り込む」文章であることを意識し、強みやアピールポイントを伝えていきましょう。
6.自己PRの前に自己分析がおすすめ
今回は自己PRの書き方に注力してお伝えしてきましたが、転職活動を始める際に一番最初におすすめしているのが自己分析です。
自己PRは、自分についてしっかり理解していないと書けないものです。なんとなく理解しているつもりでも、「あなたはどんな人間ですか?」「これまでどんな仕事をしてきて、何が得意ですか?」と聞かれて、瞬時に答えられる人は少ないのではないでしょうか。
自己PRを書くためには、自己分析をしっかりと行い、適性やアピールポイントを整理する必要があります。「自己分析なんて面倒だな…」と思わず、相手に伝わる自己PRを書くための準備だと思って取り組みましょう。自己分析を行うポイントは、たった3つです。
- 仕事の経歴を書き出す
- 印象的なエピソードを書き出す
- 自分の強みを「価値」に置き換える
7.まとめ
職務経歴書に記載する自己PRについてまとめてきましたが、いかがでしたでしょうか?
さまざまなケースで具体例を交えてご紹介してきましたので、ご自身の境遇に近しいものを参考にしながら作成いただいても大丈夫です。
PTOT人材バンクでは、こうした書類の作成サポートや添削も無料で行っていますので、気になる場合はお気軽にお問い合わせください。
関連記事
書類の書き方や転職に関するおすすめ記事をご紹介。