「理学療法士(PT)の整形外科での仕事内容は?」

「どのような役割があるの?」

整形外科で勤務したいと考えているPTの中には、仕事内容などについて疑問を持つ方も多いでしょう。

そこで今回は、整形外科での仕事内容や役割、働く魅力について紹介していきます。

ぜひ記事を最後まで読んで、整形外科で働いてみる参考にしてみてください。

1.理学療法士(PT)が整形外科で求められる役割

日本整形外科学会によると整形外科の対象となる患者さんは、打撲や捻挫、骨折などの怪我を呈した方や、変形性膝関節症やリウマチなどの骨・靭帯・筋肉などに関する病気などの運動器疾患を呈した方となります。

リハビリ実施期間は、厚生労働省により次のように明記され、運動器疾患で入院してから150日間、リハビリを実施できるよう定められています。

手術若しくは急性増悪又は最初に診断された日から150日を限度 として所定点数を算定する。

また、厚生労働大臣が治療を継続することで状態の改善が見込めると判断した場合には、150日を超えてのリハビリが可能となります。

整形外科のリハビリテーションに携わるPTは、中枢系疾患や内部疾患のリハビリとは異なり、生活場面での禁忌肢位・動作などの指導も必要になります。

2.理学療法士(PT)の整形外科での仕事

PTの整形外科での仕事内容は、術前からの理学療法評価に始まり、術後の身体機能向上を目的とした運動療法や物理療法など多岐にわたります。

「〇〇の疾患にはこのリハビリ内容」のようなクリニカルパスは、一応は存在していますが、実際には、患者さんの性別や年齢などの特徴、元々の身体機能などにより関わり方が大きく異なってきます。

患者さんの特徴

整形外科でリハビリを受ける患者さんは、怪我や病気などの運動器疾患を患ってから間もない急性期の方や回復期、維持期の方など幅広く、運動器疾患以外の基礎疾患を患っている場合も多くあります。

また、整形外科でのリハビリは老若男女問わず、部活動に打ち込む学生やプロスポーツ選手を担当することも。

整形外科で行う理学療法

基本的には受傷前の身体機能に戻すことを目的とした運動療法や、物理療法を実施しますが、患者さんの症状や元々の身体機能によりリハビリ内容は異なります。

例えば、変形性股関節症に対して人工関節全置換術を施行する患者さんの場合には、術前に脚の長さや周径、関節の動きを確認(評価)し、手術翌日からベッドサイドで、関節可動域訓練や車椅子への移乗練習を実施します。

術後2日目以降からは、リハビリ室で平行棒や歩行器を使用した本格的なリハビリを実施し、回復具合に合わせて、最終的には術前の歩行(身体機能)を目標に杖歩行や独歩の練習を実施していきます。

また、人工股関節全置換術の場合は、あぐらや深屈曲によって人工関節が脱臼しないように禁忌肢位の指導も並行して行います。

チーム医療の中で求められる役割

整形外科で働くPTは、他職種と協力しチーム医療を提供する必要があります。

まず、医師から術式やリハビリの方針を確認します。看護師は、患者さんの状態管理や心理面の変化に対応しているため、普段の様子の共有を受けたり病棟内で行える生活リハビリの協力を仰いだりします。

また、基礎疾患などの影響で栄養状態が悪い場合などには、管理栄養士と協力し栄養評価や食事内容の検討を行い、リハビリの効果を高めるようにしていきます。

3.整形外科のスケジュールや勤務イメージ

整形外科における理学療法士(PT)の1日の勤務スケジュールは、以下の通りです。

基本的には、整形外科としての特別な勤務スケジュールはなく、病院に勤めるPTと同じですが、運動器疾患に対する手術を実施した患者さんを担当する場合には、業務の合間を見て医師や看護師からの情報収集を行う必要があります。

時間業務内容
08:30~09:00出勤、準備
09:00~09:15全体朝礼に参加
09:15~09:30リハビリテーション科ミーティング
09:30~12:00午前のリハビリ開始
12:00〜13:00昼休み
13:00~18:00午後のリハビリ開始(リハビリの合間に書類業務やカンファレンスへも参加)
18:00終業。記録業務などがあることも

4.理学療法士(PT)が整形外科で働く魅力

整形外科と一口に言っても、病院やクリニックがあり、老若男女問わず様々な方が利用するため、疾患に対する幅広い知識と治療技術が要求されます。

年齢や性別に合わせた適切なコミュニケーションスキルも必要となるなど、PTとして必要なスキルを幅広く学べる魅力があります。

手術を扱う整形外科病院であれば、術前・術後の理学療法はもちろん、禁忌肢位を防ぐ動作指導を行う必要があり、自分のスキルや努力次第で患者さんの人生を左右する責任を背負います。

その責任を果たすことによる達成感は、PTが整形外科で働く大きな魅力とも言えるでしょう。

5.まとめ

今回は、理学療法士(PT)の整形外科での仕事と役割、働く魅力について紹介してきました。

整形外科に勤めるPTは、怪我やリウマチなどの運動器疾患を呈した患者さんに対して、基本的には150日間にわたり、運動療法や物理療法、禁忌肢位を意識した動作指導などのリハビリを実施します。

整形外科は、老若男女さまざまなであり、基礎疾患を呈している場合も多くあるため、複合的に患者さんを評価する必要があります。

また、医師や看護師、管理栄養士とも協力して患者さんの早期回復に務めていく必要があるため、他職種とのコミュニケーションスキルも求められます。

整形外科では、PTに必要な「評価」「治療」「コミュニケーション」スキルが総合的に身に付けられる魅力があります。

ぜひ、この記事を整形外科で働いてみる参考にしてみてください。

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【参照サイト】
日本整形外科学会 よくある質問

【引用サイト】
厚生労働省第7部リハビリテーション 3ページ目 運動器リハビリテーション料