転職サービスを利用されている方の中には、結婚や出産、または親族の介護など、何らかの理由で一度は退職したものの、復職を考えている方もいらっしゃるかと思います。

診療業務から離れている期間が長いと、復職するのに不安があったり、以前のように働ける自信がないといった方も少なくないでしょう。

そんな方のために、復職に対する不安の解消する方法や復職先の選び方などについて紹介させていただきます。是非、参考にされてみてください。

1.理学療法士(PT)はブランクがあっても復職できる

世の中には様々な業種がありますが、PTは比較的復職しやすい業種だと考えられます。ライフベントにより、一旦退職したけど、生活が落ち着いたためPTとして復職したり、違う業界で働いた後に再びPTとして働き始めたという話もよく耳にします。

PTとしてのブランクが長くても、復職できる可能性は十分にありますので、あまり不安にならなくても大丈夫です。

2.ブランクがあっても復職できる理由

長いブランクの後でも理学療法士(PT)が復職しやすいのにはいくつか理由があります。この点について紹介していきます。

理学療法士(PT)は復職制度が充実している

PTは数年や10年以上ブランクがある場合でも復職しやすい職業です。その理由の一つとして、復職支援が充実していることが挙げられます。

例えば、いくつかの県の理学療法士協会(県士会)では復職希望者に向けた支援プログラムを実施している場合があります。復職前に最新の保険制度や、リハビリの知識や技術のアップデートを支援する制度であり、仕事に復帰することに不安を持っている方にとってはとてもありがたいプログラムになっています。

このように復職支援制度が充実している理由としては、リハビリ職として働く女性の割合が多いことが挙げられます。

四病院団体協議会の「理学療法士・作業療法士・言語聴覚士需給調査(平成28年)」によると理学療法士の約40%は女性ですし、作業療法士では約60%、言語聴覚士に至っては約70%が女性です。このようにたくさんの女性が働いているため復職支援が充実している傾向が強いと言えます。

ブランクありでの復職は雇用者側にもメリットがある

また、雇用する側にとってもそういった方を採用することにメリットがあり、それも追い風になっています。

ブランクのある方が復職すると、雇用者が助成金を受け取れるというメリットがあります。これは「トライアル雇用助成金」という制度で、理由にかかわらず離職期間が1年以上ある人を採用することによって、毎月最大4万円かつ最長で3か月まで助成金が支給されるというものです。

この制度を利用することによって、ブランクを経て復職した人に支払う給料の一部に充当できるため、雇用者にとってもメリットの大きい制度と言えます。

3.ブランクを経ての復職に不安は付き物【ケース別解消法】

退職する理由は人それぞれですが、復職する際には専門職としてしっかり働けるか、家庭と仕事を両立できるかといったことが不安の原因となってくると思います。それぞれの不安に対してどのように解消できるか考えてみましょう。

専門職としてやっていけるか不安

長く現場を離れていた場合、患者さんの評価を適切に行えるか、それに合わせたリハビリプログラムを提供できるだろうかと不安に感じることが多いでしょう。患者さんとのコミュニケーションの取り方についても、時間が空いてしまうと緊張してしまい、うまくできるだろうかと不安になることもありますよね。

また、医療・介護保険の報酬制度は数年に1回変更になるほか、最近は各種診療ガイドラインやクリニカルパスなども早いペースで刷新されていることもあり、以前の知識で対応できるか心配になるかもしれません。

休職者ではなくても新しい情報を取り入れることは重要であり大変なことですので、復職を決めたらできるだけ早い段階で新しい情報に触れておくことは大切ですが、完璧を目指さずなんとなく流れを把握するような気持でいましょう。

基本的な解剖学や生理学、運動学など理学療法にとって基本になる考え方は大きく変わることはありません。そのため、ブランクがあっても仕事をしているうちに以前の感覚を取り戻すことができます。

家庭と仕事を両立できるか不安

結婚や育児・介護などが原因で仕事を辞めた方の場合、復職しても家庭と仕事を両立できるだろうかということが大きな不安の原因になることがあります。

両立できるかどうか心配な方は正社員ではなく、派遣やパートという形で復職するのもよいですし、職場に時間短縮勤務制度などがあればそれを利用するのもよいでしょう。最近ではこういった形態での雇用も広く普及していますので、以前よりも自分に適した条件で働ける職場も増えてきていると思います。

また、子育てに不安がある場合には、育児に対して理解のある職場を探すのも重要です。院内保育制度などのサポートを始め、求人情報にも育児サポートの情報が載せられていますので、事前に確認するようにしましょう。

体力的な不安

リハビリ職の業務の中には患者さんの体位を変換したり、車椅子への移乗する際の介助をしたりといった体を使う業務が含まれてきます。そのため、リハビリ職は肉体労働的な側面も持っていると言えます。

このような力を使う場面を考えると、育児や介護で仕事を離れていた場合も、他職種から再度リハビリ職として復職する場合も、体力面での不安を感じることがあるかもしれません。

体力的に不安がある場合は、介助量の少ない患者さんから担当させてもらったり、自立レベルの高い方が多い施設などを就職先の候補として選んでみても良いかもしれません。

4.ブランクのある理学療法士(PT)の復職先の選び方

ブランクにともなう不安がある方は、次の点を参考にしながら復職先を選んでみるとよいでしょう。

単発のアルバイトから始める

ブランクの期間が長く、「働く」こと自体に不安を感じる場合は、週に1~3日程度の単発のアルバイトから始めてみるのも一つの方法です。必ずしもPTの仕事をする必要はなく、自分が行えそうなアルバイトでも構いません。コミュニケーションや体力の面で「また働ける」という感覚を得てから、病院や施設での仕事に挑戦するのも悪くないと思います。

非常勤勤務・時短勤務から始める

最初からフルタイムで復帰するのではなく、非常勤や時短勤務職員として復職する方法もあります。

たとえば週2~4日程度、10時~15時までなど時短勤務で働いて業務に体を慣らしながら、家庭との両立ができることを確認してからフルタイムの働き方にシフトするという方法もあります。非常勤の場合は比較的希望休も取りやすいので、家庭との両立もしやすいです。

働く領域を選ぶ

同じ職場でも、働く領域によって忙しさが変わってくることがあります。ブランクがある場合、できるだけゆったりした領域の職場を選ぶことも大切です。たとえば急性期病院では入退院が頻繁で、患者さんの評価や書類業務などが忙しい傾向があります。一方で高齢者施設ならば利用者さんの出入りがそれほど頻繁ではなく、比較的ゆったり業務をこなすことができるでしょう。

このように復職先はさまざまです。ぜひ無理なく続けることができる勤務形態や内容を選択することをおすすめします。

もちろん、復職に関して自信がある場合は、求職前と同じ勤務形態や条件で職場を探されても大丈夫です。

5.ブランクからの復職をサポートした実例

最後に、私たちが復職をサポートさせていただいた例をいくつか紹介して行きます。

子育てでブランクあり、パートとして復帰を希望されていた方

お子様が生まれてから前職を退職し、2年以上のブランクがありました。働きたい気持ちはあったのですが、お子様や家庭のこともあり、自宅近くでパート勤務として復帰をご希望でした。

求人の少ない地域にお住まいでしたが、一つ一つの事業所に掛け合い、希望に近い形で復職することができました。

10年以上のブランクからの復帰のお手伝い

40代の方で、10年以上リハビリ職以外のお仕事に従事されていましたが、やっぱりセラピストとしての仕事に復帰したいというご希望がありました。

ブランクがあることに不安を感じていたため、その点をしっかりサポートしていただける事業所を探しておられました。

いくつか面接に進まれ、内定に至った事業所からの温かいお言葉で入職を決められました。

このようにブランクがあっても、ご希望の条件にあった施設や事業所で復職できる可能性は十分あります。諦めずにチャレンジしてみましょう。

6.まとめ

今回はブランクがある場合の復職について、ブランクに伴う不安や、復職先の選び方などを紹介させていただきました。

復職を考える際は、ご自身がどのような不安を抱えているのか、どんな条件で働きたいのかをはっきりさせてみましょう。

それに基づいて条件を絞っていくのが良い復職先に出会う近道かもしれません。

それでも不安や不明点があれば、是非PTOT人材バンクのキャリアパートナーに遠慮なくご相談ください。

転職するか迷っていてもOK

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【参照U R L】
四病院団体協議会の「理学療法士・作業療法士・言語聴覚士需給調査(平成28年)」
厚生労働省
トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)の対象者に関するリーフレット
厚生労働省
トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)