どの仕事でも、一人前になろうと頑張っていても気がつかないうちに周囲に不快感を持たせたり迷惑をかけたりする言動を取ってしまう方が少なからずいます。
一般社会とは異なる業界に身を置く理学療法士(PT)では、どのような言動が残念に思われてしまうのでしょうか。
今回は残念なPTの特徴や、一人前のPTになるために必要な要素について解説していますので、ぜひ参考にしてみてくだい。
目次
1.残念な理学療法士(PT)の7つの特徴
まずは残念な理学療法士について特徴を見ていきましょう。
①.学び続ける向上心がない
国家資格を取得すれば学び続けなくてもPTとして働くこと自体は可能です。
しかし、PTを取り巻く社会情勢は時代とともに変わりつつあり、実際に診療報酬の変更に伴い、求められることは変わってきます。
PTは、このような大局的な変化に対しても柔軟に対応できる能力が求められるだけでなく、対象者のその日の状況によっても適時対応できるミクロな視点も求められます。これらの能力は、決して国家資格を取得すれば得られる能力ではありません。
学校で学んだことをベースに、働きながらも学び続けなければ、それらの能力を身につけることは難しいでしょう。
新人時代にしっかりと学ぶ習慣をつけることが大切ですが、経験年数を経ていても勉強会や研修会に参加して学ぶ習慣をつけることが望まれます。
②.自分自身の健康に無頓着
PTは介助や訓練時の負荷調整、補助など徒手的に対応する場面が多くあります。
対象疾患や個人によって介助量や補助の力は異なり、繊細な力加減が求められる場面も少なくありません。
経験による治療の出来不出来はありますが、経験年数が浅い人や徒手的な介入が苦手な人はコンディションによって治療のパフォーマンスが大きく左右され、治療効果にも影響を及ぼします。
その他にも、リハビリテーション指導を行うにあたり不健康そうな人から指導をされても説得力に欠けてしまう面もあり、健康への意識の高さは重要なポイントといえます。
③.人を思いやる気持ちが欠けている
PTは患者さんや利用者さんなどの対象者はだけでなく、そのご家族や医師、看護師などの他職種など様々なバックグラウンドを持つ人とのコミュニケーションが必要な職種です。
口下手な人や人づきあいが苦手な人でも、人を思いやる気持ちがあれば、初めは苦労しても上手くいくケースが多くあります。
逆に一見コミュニケーション能力が高いように見えても、人を思いやる気持ちが欠けている人はトラブルを起こすリスクも高く、信頼関係を築くことが難しいでしょう。
様々な人と関わる仕事であるため、何気ない振る舞いが多くの人に迷惑をかけることもあります。人を思いやる気持ちを持てない方は、PTの仕事を続けることが辛くなる可能性が高いため、研究職や他の仕事への就職・転職を検討してみることも良いかもしれません。
④.職場になじもうとしない
前述したようにPTの仕事は様々な人と関わるため、リハビリテーションさえできていれば良いという訳ではなく、同僚や他職種とのコミュニケーションが非常に重要です。
例えば、介助量が多い対象者様や急変時など1人では対応が難しいケースにおいて、同僚に助けを求めることを躊躇うような関係性では、対応が遅れ重大な事故にもつながりかねません。
人づきあいが苦手な方も、無理に慣れあわなくても良いので、職務に関して円滑なコミュニケーションが取れる関係性を築く努力は必要です。
⑤.「前の職場では~だった」といちいち言う
転職後に前の職場と比べてしまうのは仕方がないことかもしれません。
しかし、それを口に出し他の職員に言う必要はあるのでしょうか。
問題点を解決する方法として前の職場での経験が活きる場合もありますが、何かにつけて前の職場は~だったと言うことは他の職員のモチベーションを下げる行為となるでしょう。
何より自分自身のモチベーションも下がる行為になり、誰の得にもなりません。
⑥.質問せずに自分のやり方でやる
PTとしてプライドを持つことは大切ですが、分からないことや自信がないことに対して誰にも聞かずに自分の考えだけで動くことは非常に危険です。
PTが関わるなかで対象者様に不利益を与えることは絶対に避けなければならず、大切な時間だけでなく、命をお預かりしている覚悟を持ちリハビリテーションに臨まなければなりません。
分からないことを質問もせずに自分のやり方で進めていくことは下手をすれば命に関わる問題にもなりかねないため、プライドよりも責任感を大切にする心構えが必要です。
⑦.同じミスを何度も繰り返す
PTの仕事におけるミスは、対象者様が関わってくるケースがほとんどです。ミスは誰にでも起こりうることであり、避けることが非常に難しいケースもあるかもしれません。
病院や施設ではアクシデントレポートなどの事故報告書だけでなく、事故が起こりそうになった時にインシデントレポートを提出しますが、ただ書いているだけになり同じことを繰り返してしまう人が少なからずいます。
大切なのはミスをした時に、その原因とともに対処法を考え、業務のなかに対処法を落とし込むことです。
同じミスを繰り返すことなく、ミスを経験へと昇華できるようにすることが必要でしょう。
2.一人前の理学療法士(PT)になる方法
ダメなPTではなく信頼される一人前のPTになるためには、どのようにすれば良いのでしょうか。
数ある要素のなかから特に重要だと思われる要素をご紹介していきます。
コミュニケーションを大切にする
PTとして働く際には、対象者様とご家族様、医師や看護師などの他職種とのコミュニケーションは必須です。無理に親しくなろうとする必要はありませんが、業務をスムーズに進めるための信頼関係を築けることが望まれます。
例えば、対象者様やご家族に対して、不安に思っていることや、今後の生活についての考えなどを会話の中で自然に聞き出す力が身につくと、お互いにストレスなく情報収取ができます。
同業者とは、何かあった時に相談しやすい関係性を築けることで業務を進める際のストレスも減り、効率も良くなることが期待できるでしょう。
日ごろから目を見て挨拶をする、話をよく聴くなど相手を思いやりコミュニケーションを取ることで信頼関係を築くことは、互いにとってメリットが多いといえます。
他の職場と比べない
実際に他の職場の方が良い部分もあるかもしれません。
しかし、現在の職場と他の職場と比べて劣っているところを口にするのは、ただの愚痴です。
今の職場にとって有益なことがあるならば、情報を整理し業務改善の一例として提案をするなど、今の職場のためになるように経験や知識を活かしましょう。
健康への意識を高く持つ
健康的な生活を指導する立場にありますが、同じような話を聞く際に不健康そうなPTよりも健康的なPTの話の方が説得力は増しませんか?
また、限られた治療時間の中で効率よくリハビリテーションを進められるよう、自身の心身のコンディションをしっかり整えた上で日々の業務に挑むことも大切です。
日々の業務で良い結果を積み重ねていけることで、良い経験を積むことができます。
不調のなかではパフォーマンスも落ちやすく、疲れやすいなどデメリットが多くなりますので、しっかりと健康管理を行い、万全の状態で仕事ができるよう努めましょう。
健康的な見た目は清潔感もあり、信頼関係にも影響します。忙しく不規則な生活にもなりやすいですが、少しでも健康を維持できるよう日々の努力が大切になります。
基本的な礼儀作法・ビジネスマナーを身につける
PTは医療や介護の世界で仕事をするケースが多く、病院や施設を出て人と関わる機会が少ないことから井の中の蛙になりがちです。
新人教育として接遇の研修を行うところも多いですが、どれほど身についているでしょうか?
自分が一般社会でも通用するマナーや接遇を身につけているか自信がない人は、一般向けのビジネスマナー講座などの講習も検討してみると良いでしょう。
報連相を身につける
経験年数の浅い時から疑問点や不安な点があれば質問をする習慣を身につけましょう。
聞かないままに自分の知識や経験だけで判断してしまうと思わぬトラブルにもつながりかねず、結果として多くの人に迷惑をかけてしまう場合もあります。
しっかりと自分や周囲の状況を俯瞰し情報を整理することは成長にもつながります。
何を変わっていないのかを把握し、それに対するフィードバックを受ける経験を重ねるうちに自分で判断できる力も身につけることができるでしょう。
このような経験により身につけた知識や技術は自分の武器にもなる大きな財産です。
ぜひ自己完結せず、報告連絡相談を習慣化させ良い経験を積んでいきましょう。
3.もしかして自分も…と不安になった方へ
ここまで読み進めたなかで、もしかしたら自分も残念な理学療法士(PT)になるのかもしれないと不安に感じた方もいるのではないでしょうか。
例えばコミュニケーションに自信がなく口下手な方は不安も強いかと思います。
しかし、前述したように大事なことは表面的なコミュニケーションではなく、対象者さんや他職種の気持ちに寄りそって仕事ができるかどうかです。
気持ちに寄りそえるセラピストとであれば、コミュニケーションに自信がなくても気持ちが伝わり良好な関係を築くことは可能でしょう。1人前のPTとして活動するためには、1人の人間として精神的にも自立していることが大切です。
自立というのは全て1人でこなすことではなく、人の力を借りながらも自分の足で進むことです。人として1人前になる努力を惜しまず、PTとして人間性や知識、技術を磨いていきましょう。
4.まとめ
対象者様だけでなくPTも性格や得意なことは人によって様々であり、完ぺきなPTはいません。自分のことを俯瞰して見るなかで、自分に足りない部分をどのように補うか、自分の得意な部分をどのように仕事に活かしていくかが大切ではないでしょうか。
今回挙げたような視点で改めて自分の言動を振り返り、残念なポイントがないか確認してみましょう。
もし当てはまる項目がある場合は、なぜそのようになってしまっているのか分析をし、改善方法を検討していくことをおススメします。
自分自身を知ることはPTに限らず有益な経験です。
今回の記事をきっかけに自分自身と向き合い、仕事だけでなく人生も充実させてもえたら嬉しいです。
お悩みの際は、是非PTOT人材バンクのキャリアパートナーに遠慮なくご相談ください。
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