PTの仕事は対人対応がメインになるため、それに準じたトラブルに悩まされることも少なくありません。
患者さんはもちろん、同じリハビリ職や他職種のスタッフとの人間関係を円滑に進めていくコミュニケーション能力が求められますが、能力の高い人でも人間関係のトラブルに悩まされることはあります。
今回は、PTを取り巻く人間関係に潜むトラブルや、円滑な人間関係を築くためのコツについても解説していきますので、人間関係に悩んでいる人や不安を感じている人は、是非参考にしてください。
目次
1.職場でありがちなトラブル
理学療法士(PT)は、患者さんはもちろん担当医や看護師、介護士、ケアマネージャー、管理栄養士、社会福祉士など多くの専門職のスタッフと一緒に仕事を進めます。
様々な専門職のスタッフと関わる職場の中で、どのような人間関係のトラブルがあるのか、よくある3つの例から見てみましょう。
施設内の立場が低い故に…
理学療法士(PT)をはじめ作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)などのリハビリ職は、医師や看護師に比べて歴史も浅く、認知度も低い傾向があります。
時代とともに認知度は向上しているものの、「運動する人」「マッサージをする人」などと解釈されていることもあり、リハビリ職への理解はまだまだ低い状態といえるでしょう。
他職種とのコミュニケーションが取れていない施設の場合は、リハビリ職の仕事内容への理解が不十分なことにより、問題が起きてしまうケースも珍しくありません。
リハビリの必要性の認識についても誤差があるため、リハビリ職からの提案に対して他職種から「口出ししないでほしい」と言われてしまうことがあるなど、施設内での立場が低いことによるトラブルが起こりやすいといえます。
OT、STとの意見の相違で…
OTやSTと同じ患者様を担当することが多くありますが、共同で担当している患者様のリハビリテーションや退院後の生活について、意見が割れてしまうことがあります。
専門性の違いから、それぞれが異なる視点で評価や治療を進めているために生じるトラブルであり、互いの専門性への理解を深めることで回避しましょう。
同僚や先輩、上司からの助言が…
リハビリ職が少ない施設もあれば100人近いスタッフが所属している施設もあります。仕事での悩みを相談できる同僚や先輩、上司が大勢いることは心強いものの、トラブルの原因になるケースもあります。
リハビリ職に共通して言えることですが、プライドを持って仕事をし、自分の施術に対して強い理念を持っている人がたくさんいます。
PTとして信念を持っているからこそ、同僚や後輩、部下のリハビリテーション内容に対して口出しをしてしまうケースは多く、適格だとしてもトラブルもよく耳にします。
2.患者さんとの間で起こるトラブル
リハビリを提供するにあたり患者さんとの人間関係の善し悪しはリハビリの成果にも影響を与えかねないほど重要です。
どんな患者さんでも対応していく能力が求められますが、実際にはどのようなトラブルがあるのでしょうか。
担当患者さんからのリハビリ拒否
多くの施設が担当制を採用しているため、1人の患者様に対して1人のPT(症例によってはOTとST)が担当になります。患者さんが担当するPTを選べるシステムを採用している施設は少ないため、多くの場合、患者さんが担当者を選択することはできません。
そのため、経験の浅いスタッフやコミュニケーションが苦手なスタッフが担当になった際に、患者さんがリハビリテーションを行いたくないと拒否をするケースもあります。
私がいた施設では余程のことがない限り担当を変えることはなかったため、先輩や上司が一緒に介入したり、対応方法を変えるようアドバイスをしたりすることで対処していました。
リハビリテーションを拒否されてしまうと、その間のリハビリテーションが行えなくなるためリハビリ職としては、患者さんが拒否という選択をしなくて良いような対応が望まれます。
患者さんのご家族からのクレーム
リハビリテーションを進める中で、患者さん以外にも重要なキーパーソンとなるのが、患者さんのご家族です。
熱心なご家族の場合、リハビリを見学されたり、リハビリ内容について詳しく聞かれたりすることがあり、その過程でご家族から苦情が入ることもあります。
患者さんが特に問題に感じていないことでも、ご家族の視点で見たときに問題を感じられるケースや、患者さんが言いにくいことをご家族が代弁されるケースなどもあります。
3.人間関係に悩まないポイント
ここまでの人間関係のトラブルを読んで不安が強くなった人も、実際に似たようなトラブルで悩んでいる最中の人も、円滑な人間関係を築くために是非試してほしいポイントをご紹介していきます。
職場でのコミュニケーションは小まめに
リハビリ職はもちろん、他職種のスタッフとも日ごろから小まめにコミュニケーションを取ることが大切です。患者さんの担当スタッフとは、些細な変化でも共有し、PTとしての考えを理解してもらえるよう努めていきましょう。
また、こちらの考えを伝えるだけでなく、他職種の視点で気になる点がないかなども小まめに確認しておくと安心です。
それにより意見の違いに早く気づけるだけでなく、自分の視点では気が付けなかった問題点や解決策を見つけられる可能性もあります。
患者さんとはラポール形成を意識
リハビリ場面では対人対応がメインになるため、リハビリ対象者となる患者さんとのラポール形成=信頼できる関係性の構築が重要です。
相手が話しやすいように配慮したり、適切な言葉遣いや声掛けをしたりするほか、アイコンタクトやジェスチャーなど非言語的コミュニケーションも意識して、相手との親近感や安心感、無意識レベルでの深い信頼関係を形成することに努めましょう。
難しい場合は転職も視野に
自分なりに対処をしても問題が解決しない場合や、人間関係のストレスで心身の健康に支障をきたしている場合は、転職をするという選択肢もあります。施設にも様々なカラーがあるため、合う人もいれば合わないと感じる人がいるのも当然です。
合わないと感じても徐々に適応していくことはありますが、合わない場所で頑張り続けて自分が壊れてしまっては元も子もありません。
頑張ることと無理することの違いに気づき、今の職場では無理せずに働くことが難しい場合には勇気を持って転職を視野に入れることをおススメします。
お悩みの際は是非PTOT人材バンクのキャリアパートナーに遠慮なくご相談ください。
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4.まとめ
理学療法士(PT)として働く上で切っても切れない人間関係。
人間関係に問題があると働くことへのストレスにもつながり、仕事へのモチベーションにも大きく影響します。
コミュニケーションを取ることが苦手な人もいるかと思いますが、上手く話せないときにはボディランゲージなど非言語的コミュニケーションを多用するなど、上手く考えや気持ちを伝える自分に合った手段を見つけていくことが大切です。
1度こじれると修復が難しいことが多いので、先手として小まめにコミュニケーションを取り良好な人間関係で気持ちよく仕事をしていきたいですね。
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