「理学療法士(PT)はつらい・大変」と感じてしまうこともあるのではないでしょうか?
実際に患者様の人生の大きな局面に関わる機会も多い仕事ですので、楽なことばかりではありません。
しかし、PTにはそれでも続けていきたいと思える魅力がたくさんあります。
今回はPTがつらい、大変と感じる瞬間や向き合い方、やりがいなどをご紹介していきます。PTの仕事に不安を感じている方はもちろん、PTを目指している方で、このような話を聞いて不安になった方も参考にしてみてください。
目次
1.理学療法士(PT)として働く中でつらい・大変と感じるとき
PTとして働くうえで、どのようなときに「つらい・大変」と感じるのでしょう?
まずは私の経験や友人の経験なども踏まえながら、PTの仕事をしていて「つらい・大変」だと感じる場面をご紹介していきます。
仕事内容がつらい
PTは一度に何人もの患者様を受け持ちます。1日に担当する患者数は施設の方針などによっても異なりますが、1日で10人以上のリハビリをすることも珍しくはありません。
対象者は体が不自由な方が多いため、体を支えた状態で移動や歩行の練習をする機会も多いため非常に体力を使います。経験が浅いうちは力が入りすぎてしまったり、無理な体制で介助をしたりしがちなため、自分の体を痛めてしまうケースもあります。
また、リハビリテーションの効果を実感できるまでには長い期間が必要な点も「つらい・大変」であると感じるポイントといえます。
もちろん1回のリハビリテーションでも効果は出ますが、1回では変化が分かりにくいケースや目に見える形まで改善するには長い期間を要するケースが多いといえるでしょう。
数日、数週間、数か月をかけて目標を達成していくため、何度もプログラムを変更し常に試行錯誤していきながらアプローチしていく必要があります。仮に最善をつくしたとしても思うような改善へとつながらないケースもあり、患者様だけでなく自身のモチベーションを高く保ち続けることを難しく感じる人もいます。
このように体を酷使して、どれだけ全力で頑張っても結果がついてくるとは限らない点は「つらい・大変」であると感じやすい点といえるでしょう。
人間関係がつらい
PTは多くの人と関わりながら仕事を進めていく仕事です。
リハビリテーション対象者はもちろん、ご家族などのキーパーソン、担当医師や看護師、薬剤師や栄養士など様々な背景を抱える人々と足並みをそろえながら仕事を進めていきます。
特にリハビリテーション対象者とは密に関わるため、信頼関係を築くことが重要なポイントになります。対象者との信頼関係の有無が、リハビリテーションの結果にも大きく影響を与えるといっても過言ではないほど大切な要素です。
しかし、信頼関係の構築は難しい面もあり、思ったようにコミュニケーションがとれないケースも多々あります。それでも諦めずに関係を築くこともPTの役割であり、スムーズにリハビリテーションができるよう精神面へのフォローも欠かせません。
また、他職種とも目標や情報の共有、スケジュール調整なども必要になります。日ごろのやり取りだけでなく、カンファレンスなど会議のような場面でも意見を交わし、時には険悪な雰囲気になったり、リハビリテーションが軽んじられたりして傷つく場合もあります。
このように対象者だけでなく他職種とのコミュニケーションにも気を遣いながらリハビリテーションを進めなければならないことに、つらさや大変さを感じる人もいるでしょう。
職場環境がつらい
前述したように、PTの仕事は体力・気力勝負の仕事です。
PT1人当たりが1日のうちにリハビリテーションを提供できる時間は定められていますが、例えば1人のリハビリテーションを1時間行うのと、20分×3人で1時間分のリハビリテーションを行うのでは負担が大きく異なります。
1人20分でリハビリテーションを行う場合、時間内でできることが限られてくるため、プログラムの立案遂行にも頭を悩ませがちです。
それ以外にもカルテやレントゲンなどの必要な情報を確認したり、カルテ記載をしたり、リハビリテーションを実施している時間以外にも数分~十分程度の時間がかかります。
さらに対象者毎にリハビリテーション計画書や退院指導書の作成、カンファレンスの参加なども必要になるため、勤務時間内にすべてを終わらせるのが難しく、残業をせざるを得ないPTも多くいます。
1人のPTが受け持つ患者の数は施設の方針によりバラつきがありますが、受け持ちが多い施設では外からは見えにくい忙しさに奔走しなければならない辛さや大変さが隠れている可能性があります。
2.つらい・大変だと感じた時の向き合い方
ここまで読むと理学療法士(PT)の仕事に対してネガティブな印象が強くなっているかもしれませんね。しかし実際には、それを差し引いてもやりがいを感じる仕事でもあります。
ここからは、前述したようなつらい・大変だと感じる状況に対してどのように向き合えばよいのか紹介していきます。
仕事内容がつらいと感じ時
PTの仕事は体が資本です。同じ負荷でも体のコンディションによって出来不出来が異なるのは患者様もPTも同じといえます。
そのため、できる限り万全の状態で仕事に取り組めるよう、十分な栄養と休息をとり、体のコンディションを整えたうえで仕事ができるようにしましょう。
日々の業務のなか、新たな取り組みを習慣化したり、継続したりすることは難しい部分もあるため、「つらい・大変」と感じた時や、疲れの蓄積を実感した時には特に気を付けてバランスの良い食事や十分な睡眠を心がけるようにしてください。
疲労が蓄積すると精神的な踏ん張りも効きにくくなります。できるだけ疲労をためずに身体の専門家としてセルフケアもしっかりと行い、自分の体を整えて状況を乗り越えていきましょう。
人間関係がつらいと感じた時
患者様との信頼関係が築けていない場合は、早めに上司や先輩スタッフに相談しましょう。
対応が難しい対象者の場合は、複数のスタッフでチームを組むなど必要なケースもあるため早めの相談をおすすめします。様々なケースにおいて、経験をもとにアドバイスをもらうと早期解決への近道となるからです。
また、高次脳機能障害など対象者の疾患によってコミュニケーションがうまく取れない場合には、疾患への理解を深めると向きやいやすくなるケースもあるでしょう。
次に他職種との関係性に悩んだときですが、この場合も上司や先輩への相談が望ましいです。他職種の中にもリハビリテーションへの理解が深い人や協力的な人もたくさんいます。
話を通しやすいスタッフや注意が必要なスタッフなど教えてもらえる場合もあるため、コミュニケーションがとりにくい人がいた場合は相談してみましょう。
他職種とも日ごろから小まめにコミュニケーションを取っておくことも大切です。人となりが分かれば互いに緊張感なく関われるため、不要な争いも避けられます。
職場環境がつらいと感じた時
所属している施設の方針により、受け持ち数など忙しさに差があります。可能であれば就職前に確認しておけると良いですが、診療報酬の変更に伴って方針が変わる場合も珍しくないため、状況を読み切るのは難しいといえます。
職場環境がつらいと感じた場合の対応策としては、自分のルーティンをつくることがおすすめです。1人の患者さんに対して初期に済ませておくこと、〇週間後に済ませておくことなど、ある程度の形を決めて作業を進めていくと慌てて作業をすることも減り計画的に進められます。
もちろん急にスケジュールが変わるときもありますが、基本的な動きが決まっているとスムーズに対応可能です。
3.転職・辞めるという選択肢を常に持っておく
向き合い方を工夫しても辛さや大変さが変わらず苦しく感じるかもしれません。
その場合は、「つらい・大変」だという自分の心の声を無視せず、仕事から距離を置くことも大切です。精神的なダメージが蓄積しメンタルヘルスに不調をきたすと、仕事に復帰するまでに長い期間を要するケースも少なくありません。そうなる前に短い期間でも休養を取り、感情を整理してみてはいかがでしょうか。
今の職場で働き続けたり、PTとして働き続けたりするのが難しいと感じた場合は、転職や別業界で新たなキャリアも目指せます。
「せっかく就職したのに」「苦労してPTになったのに」などと思うかもしれませんが、今日までの経験が何に活きてくるかは分かりません。別の職場、別の業界で新たなキャリアをスタートさせた後に経験が役に立つ可能性は十分あります。
現在の職場やPTという仕事に縛られず、転職やジョブチェンジという選択肢を常に持っておくことで、気持ちが楽になり、結果として働きやすさにつながるケースもあるでしょう。あらゆる選択肢を手元におき、まずは気持ちを軽くしてみてください。
4.理学療法士(PT)はやりがいも大きい
ここまで理学療法士(PT)のつらい・大変なことばかりをあげてきましたが、実際には「つらい・大変」なことがある分、やりがいや達成感を味わえる点がPTの大きな魅力です。
患者様と小さな変化に喜びあえる瞬間や、目標を達成した瞬間、トラブルを乗り越えた瞬間などやりがいを感じられる場面は無数にあります。
患者様やご家族に感謝される機会も多く、頑張りが報われるケースも少なくありません。
どのような仕事でも経験が浅いうちはつらいことや大変なことは多いものです。更に忙しさに追われていると、「つらい・大変」に感じる機会も増えがちです。
忙しいなかでも、体のコンディションを整えやりがいを感じる余白を持てれば、良い循環を生むことができるのではないでしょうか。
5.まとめ
理学療法士(PT)の仕事は、「つらい・大変」など感じることもありますが、その分やりがいも感じることができる魅力的な仕事です。
「つらい・大変」と感じることには必原因があるはずです。その原因を分析し、向き合い方を工夫することで改善できる場合もあります。
転職やジョブチェンジも選択肢として持ちながら、自分自身がPTとして働き続ける方法を試行錯誤してみてください。それでも上手くいかないときは、次の1歩を踏み出し、新しい環境を探してみてはいかがでしょうか?
お悩みの方はお気軽に、PTOT人材バンクのキャリアパートナーにご相談ください。
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