理学療法士(PT)の就職先として病院についで多いとされるクリニック(診療所)ですが、病院のリハビリテーションとの違いが分からないという方も少なくありません。
クリニック=整形外科とうイメージを持つ人も多くいますが、実際にはどのような診療科のクリニックでPTが求められているのでしょうか。
今回は、業務内容とともにそうしたクリニックについて解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
1.そもそもクリニックとは
私たちが普段利用する医療機関は主に「病院」と「クリニック(診療所、医院)」の二つに分けられます。
複数の診療科と20床以上の病床を持つのが病院であり、国立病院や企業病院などの大規模病院や地域の中核病院、地域密着型病院などを指します。一方クリニックとは、病床数が19床以下の有床診療所と病床を持たない無床診療所のことをいいます。
理学療法士が働くクリニックは整形外科のほかに循環器内科や脳神経外科などがあり、勤務するクリニックの診療科によって担当する疾患も異なります。
2.クリニックにおける理学療法士(PT)の業務内容
クリニックにおけるPTの業務内容は診療科によって異なり、提供するリハビリテーションも大きく変わります。
整形外科クリニック
骨折やアキレス腱断裂などの外傷のほか、五十肩や変形性関節症、関節リウマチなどの整形外科疾患に対するリハビリテーションを提供します。
病院から退院した患者様だけでなく、慢性疾患の保存療法としてリハビリテーションを実施するケースも多くあります。
脳神経外科クリニック
脳卒中を中心とした脳血管疾患のリハビリテーションを実施します。
主に急性期病院を退院後の患者様のフォローアップを行うことが多いものの、クリニックによっては整形外科疾患のリハビリテーションも実施している場合があります。
患者様の状態を診て訪問ケアサービスと連携取り、介護環境の調整を働きかける役割も担います。
循環器内科クリニック
循環器内科クリニックにおける心臓リハビリテーションを理学療法士が担当します。
病院で心臓手術をした人に対して退院後のフォローアップを行うことも多く、心疾患に対する専門的な知識や経験が求められます。
小児クリニック
小児科クリニックにおいて小児リハビリテーションを実施します。
小児リハビリテーションを専門に実施している施設自体が少ないためPTを募集している小児クリニックは多くありませんが、発達障害における小児リハビリテーションの認知度向上により需要は高まっています。
3.クリニックで働く理学療法士(PT)のタイムスケジュール
訪問リハビリテーションセンターを併設しているリニックなどは訪問業務を兼任することもありますが、基本は外来患者様への外来リハビリテーションが中心となります。
1日の動きは施設によっても異なりますが、今回は外来リハビリテーションを提供している一般的なクリニックにおけるPTのタイムスケジュールを紹介します。
時間 | 業務内容 |
08:00~08:30 | 出勤 |
08:30~09:00 | リハビリ室の清掃、予約確認(担当の割り振りなど) |
09:00~12:00 | 外来リハビリテーション(1人の患者様にかけるリハビリテーションの時間はクリニックによって異なります。) |
12:00~13:00 | 昼食 |
13:00~17:00 | 外来リハビリテーション |
17:00 | 片付け、カルテ記入などの事務作業 |
クリニックによっては夜遅くまで診察をしているところもあり、病院勤務に比べて遅い時間でもリハビリテーション業務を行うことがあります。
4.クリニックで働くメリット
実際にクリニックで働く場合には、どのようなメリットがあるのでしょうか。詳しくみていきましょう。
多くの患者様を担当できる
病院では病床数が決まっていることから、リハビリテーションの対象者にも上限がありますが、クリニックの場合は来院数に制限がないため、混雑状況に合わせてスケジュールを調整し、リハビリテーションを提供することが多くあります。
病院では40分~60分程度かけて介入するケースが多いなか、クリニックでは20分で回すことも珍しくありません。
そのため、1日に診ることができる患者数も多くなり、特定領域で色々なケースを担当したい人にとっては大きなメリットといえる環境です。
専門性を高めることができる
クリニックは診療科が明確に分かれているため、担当する疾患もある程度絞られます。
同じ疾患のなかでも体格や既往歴などで症状が異なるケースもあるなど、クリニックの診療領域における経験値を高めることができる点もクリニックの魅力です。その分野のリハビリテーションをより深く突き詰めていきたい、専門性を高めたい人におススメです。
休日が固定している
病院では365日リハビリテーションを実施しているところも増えており、休日でも出勤することがあります。
それに対して、クリニックでは休みの日が決まっているため日曜祝日は休日となる場合がほとんどです。日曜祝日は休みたい人、休みが固定している方がプライベートとのバランスが良い人にとってはメリットといえるでしょう。
5.クリニックで働くデメリット
就職を検討するにあたりデメリットも把握しておくことは大切です。どんなデメリットがあるか確認していきましょう。
短い時間で成果を出さなければならない
クリニックにおける外来リハビリテーションは、介入できる時間が短い傾向にあり、20分(1単位)で回さなければならないクリニックも珍しくありません。
そのため、限られた時間で評価から治療を行わなければならず、経験が浅いうちは難しく感じることがあるでしょう。
担当できる疾患が限られる
病院でのリハビリテーションに比べると、クリニックでは対応している診療科に適応した疾患のリハビリテーションが中心となります。
そのため整形外科クリニックで脳血管障害や心疾患などのリハビリテーションを行うことは、ほとんどありません。
幅広く様々な疾患を経験したいと思っている人にはクリニックよりも総合病院など中~大規模病院の方が向いているでしょう。
6.まとめ
クリニック=整形外科のイメージを持つ人が多いですが、整形外科以外でもリハビリテーションを提供しているクリニックはあります。
クリニックは診療科が限定されていることから担当する疾患がある程度絞られるために、まずは自分がどのような分野で専門性を高めていきたいのか、ビジョンを明確にしてから就職先を検討すると良いでしょう。
あなたに合った職場で、患者様だけでなく自分自身も充実した時間を過ごせることを祈っています。
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