リハビリテーションは肉体労働であると同時に、あらゆることを考察しながら進める頭脳労働でもあります。近年では感情労働という言葉でも表現もされているように、患者様に対応する際の感情をコントロール能力も求められる仕事です。
このように、理学療法士(PT)として働くためには、心身のバランスが取れていることが重要ですが、現在はまだ若い人達も将来的には、加齢によって今までのように働くことが難しくなることが懸念されます。
しかし、若い世代が多い業界のため、高齢のPTや定年を迎えるPTを見たことがない人も多く、イメージが難しい面もあるのではないでしょうか?
そこで今回は、PTの定年や定年後の生活について解説しますので、将来設計の参考にしてみてください。
目次
1.理学療法士(PT)の定年は何歳
そもそもPTは何歳まで働くことができるのでしょうか?
まずは定年についてみていきましょう。
PTの資格に定年はない
PTは国家資格であるため、国家資格を保有していれば理学療法士として働くことができます。
受験資格にも年齢制限はなく、資格そのものに定年が定められているわけではありません。
組織の中では定年ルールがある
資格そのものに定年はないものの、勤務する組織によって定年が定められている場合がほとんどです。
日本では何らかの組織に属して働いているPTが多いことから、ほとんどのPTが就業規定に従って定年年齢に退職することになるでしょう。
定年年齢は、組織によっても異なりますが60~65歳としているケースが多いとされています。
現在は、「継続雇用制度」により本人が希望すれば定年後も65歳まで引き続き雇用関係を継続できる「再雇用制度」が利用できるため、定年が60歳の場合でも65歳まで働くことが可能です。
2.定年後も理学療法士(PT)として働くために
定年後もPTとして生涯現役で働くためには、どのようなことに注目していけばよいのか考えてみましょう。
高いスキルを手にする
PTとして高い技術や知識を持つ人材を求める企業や組織は多数あるため、高いスキルを持つPTならば定年後でも現役で働くことは不可能ではありません。
技術を指導できるPTや、臨床家及び管理職としての経験が豊富なPT、事業立ち上げの経験が豊富なPTなどは、リハビリテーションを直接提供するのではなくアドバイザーといった立ち位置で雇用される場合もあります。
トレーニングで体力の維持・向上をする
実際に患者様や利用者様にリハビリテーションを提供する現場で働いている人はもちろん、教職や研究職についている人でも身体能力の維持・向上は仕事のパフォーマンスを保つためにも重要になります。
PTとして培った知識をもとに自身に適したストレッチや筋力トレーニング、有酸素運動などを行い、高齢になっても現役で働き続けられる身体と精神を維持できれば、定年後に働き続ける際にも安心です。
起業して組織に属さずに働く
日本のPTは、柔道整復師や鍼灸師のように開業権を持っていませんが、介護予防事業で理学療法士と名乗ることが認められるなど、少しずつ開業しやすい環境ができています。
PTとして開業するには制限が多くなりますが、無資格のセラピストでも開業できる整体院を運営したり、看護師の資格保有者とともに訪問介護ステーションやデイサービス事業を運営したりすることも可能です。
起業をして組織に属さず働けば、組織に属している人が定年を迎えて退職している年代でも、変わらず働き続けることができます。
3.定年も見据えた理学療法士(PT)のキャリア
定年後もPTとして働き続けるためには、どのようなキャリアが必要になるのでしょうか?
スペシャリストになる
定年後を見据えた場合に、PTとしての技術を高めてスペシャリストを目指すという選択肢があります。
PTには臨床実践分野において秀でているPTを「認定理学療法士」、学問的指向性の高いPTを「専門理学療法士」とする制度が日本理学療法士協会によって定められています。
5年毎の更新制となり常に学び続ける姿勢が求められていることから、全国のPTの中でも人数が少なく、希少性の高い人材です。そのため定年後の再就職にも有利に働くほか、学びを続ける中で人脈も広がり、再就職のチャンスも増える可能性を持っています。
ジェネラリストになる
ジェネラリストとは、幅広い知識や技術、経験などを備えた人物を指す言葉で、全体を俯瞰して状況を判断し、臨機応変な対応ができる人のことを言います。
PTというと臨床での活動がメインとなるイメージがありますが、実際には所属長や部長、科長などになりマネジメント業務を専門に行う場合もあります。
経験年数が上がることで年功序列的に役職につきマネジメント業務を行わなければならないケースが多いため、人材教育などの知識や組織運営に必要な知識を学ぶ機会がないまま業務を遂行しているケースも少なくありません。
そのため、PTとしての技術だけでなく高い管理能力や運営能力を持つジェネラリストであれば、現場をまとめる管理職としてはもちろん、大きな法人であればグループ全体のリハビリテーション職を管理する役職として定年後も在籍を求められることが期待されます。
組織や法人にとって必要とされるジェネラリストとになることも、定年後を見据えたときに大きな強みになるでしょう。
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4.まとめ
理学療法士(PT)は、資格を取得するまではもちろん、資格を取得してからも学ぶことが多く、高い知識や体力、精神力が必要とされます。
生涯現役で働き続けられるよう日頃から自身のケアをするとともに、定年後も見据えてスキルアップしていくことも重要です。
日々の業務が忙しく目の前のことで精一杯になりがちですが、自身のPT人生を長い目で見て、キャリアを構築していきましょう。
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